密着!「犬の幼稚園」 一緒に過ごせる限られた時間を楽しく、もっと豊かなものに 広島

11/2(月) 18:46

犬を家族の一員として大切にする人が増える中、いま、注目されているのが、”犬の幼稚園”。
一体、どんなことを学んでいるのでしょうか?

朝9時前。
広島市内の住宅にとまった、一台の車。
お迎えにきたのは・・・
「おはようございます。うれしいね」
ビションフリーゼのサンゴくん(2)です。飼い主に見送られ、車に乗ります。

次のお宅でも…。
「おはようございます。お願いします」
「ワン!」
ミニチュアダックスフントのキャンディちゃん(6)は、興奮気味のようです。
【犬の幼稚園 利用歴5年 飼い主】
「ずいぶん助かっています」
Q:車で園までどのくらいかかる?
「30分はかかるね」

実はこの車、犬の送迎バスなんです。
広島市中区にある犬専門の幼稚園、「シェイクハンズ」。
2019年に開園し、小型犬から大型犬まで、現在、60匹以上が通っています。

■午前9時30分 

登園して、まず行うのが”健康チェック”
目や耳に異常はないか?体に変化はないか?1匹ずつ、丁寧に確認していきますが・・・体調を見るだけでなく、体を触られることに慣れるトレーニングにもなっています。

【シェイクハンズ ドッグトレーナー】
「体重測定をしながら、病院での診察をイメージした練習。苦手になる犬も多いので、犬の幼稚園でいいイメージを持ってもらえたら」

■午前10時

健康チェックを終えると、お待ちかねのプレイタイム!犬が自由に動き回り、お互いを知る、いわば”挨拶の時間”です。
積極的な犬もいれば、ちょっと緊張気味な犬も…。

岡野キャスター「固まって動かない。トイプードル、警戒していますか?(ちょっと気にしている)申し訳ない」

性格も、心地よい距離感も、犬によってさまざま。
こうしたふれあいを通して、相手との接し方を学んでいくと話すのは、園長の倉田さんです。

■午前11時

【シェイクハンズ 倉田駿 園長】
「犬はもともと社会性がある動物なので、ほかの犬とのふれあいで、色んなにおいとか、色んな性格の犬がいたりとか、自分がどんな行動をしたら相手がどんな行動を返してくれるのか?それがコミュニケーションになるので…」

それぞれ個性がありますが、犬はもともと群れで生きる動物。
ここではみんなで同じトイレを使い、人間と同じように、集団生活で社会性を育んでいます。

利用料は週3日、11時間預けるスタンダードコースで6万2千円ほど。
利用する人は年々増え、7年前と比べて2倍以上にまで伸びています。

■午前11時

遊んだあとは、お勉強の時間。
犬専用のバランスボールなどを使い、体幹や足腰の筋肉などを鍛えます。
年を重ねても飼い主と一緒に散歩を楽しめるよう、将来の健康を見据えた大切な運動です。

【シェイクハンズ ドッグトレーナー】
「止まる動作が結構大事で…だだだだだと走るだけでなくて、ちゃんと止まって、バランスをとるのがエクササイズだと、とても大事」

けがを防ぐためのトレーニングはほかにも。
散歩中、犬にとっては”落とし穴に見える”グレーチング対策です。
※ グレーチング…道路脇の側溝などに使われる金属製の蓋

【シェイクハンズ 倉田駿 園長】
「グレーチングがあると、犬がジャンプしてよけると、車道側に出たり、自転車が後ろから来て、横にぴょんと出るとすごく危なかったりする。そういうことがないように、歩ける、平気と教える練習」

■午後2時

お昼休憩の時間です。
この時間を利用して、トレーナーたちは飼い主に渡す、”連絡帳”を書いていました。
幼稚園での成長を伝えるだけでなく、家庭での接し方も提案しています。

【シェイクハンズ 倉田駿 園長】
「飼い主さんが喜んでくれるのもうれしいし、美容室や病院でお利口だったとほめてもらったと書いてあると、すごくやりがいがあって、うれしい
Q:交換日記のような
「宝物になるかなと」

■午後3時

お昼寝のあとは、近くの公園へお散歩です。
人の歩くペースに合わせて、並んで歩き…。

横断歩道の前では…しっかり止まって、お座り。
毎日の暮らしで役立つ習慣を、身につけていきます。

一方、園では、健康を守るために欠かせない、お手入れの仕方も習得します。
歯周病などを防ぐための歯磨きに、毛並みを整え、皮膚や被毛の健康を保つブラッシングも。

こうして、1匹1匹と向き合う倉田園長。
ドッグトレーナーとして20年以上活動し、これまで1000匹を超える犬のトレーニングに携わってきました。

【シェイクハンズ 倉田駿 園長】
「僕が飼っていた犬が、かんだり吠えたり、トイレができなかったりで、しつけに興味がわいて、ドックトレーナーとして仕事を始めて軌道に乗っていたところ、犬も同じように年を重ねていくが、犬の方が老いていくスピードが早くて、愛犬が亡くなってしまった」

14年間ともに過ごし、自分を成長させてくれた”愛犬との別れ”

「まだ自分にできることや、やるべきことがあるなら頑張ってみようと思って、犬の幼稚園を始めました」

人間よりも、早く年を重ねていく、犬。
一緒に過ごせる限られた時間をもっと楽しく、もっと豊かなものにしてほしい…。
そんな願いもこの幼稚園に込められています。

■午後4時

この日、最初に帰るのは、ジャックラッセルテリアのピケちゃん(2)。
飼い主とは10時間ぶりの再会です。

【犬の幼稚園 利用歴2年 飼い主】
「元気のいい犬種なので、家でものを壊したらいけない、ちゃんとしたしつけできたらいいなと。教育してもらって、預けて自分が仕事に行ける、安心できる。そういうところで間違いない」

■午後6時30分

朝、送迎バスに乗ったサンゴくんも、元気に帰宅。

【犬の幼稚園 利用歴1年 飼い主】
「人間の子どもが幼稚園、保育園に行くのと同じように、社会性を身につけてもらっていると思います。幼稚園で楽しんでくれたら、ほかの用事も気兼ねなくできるかなと思って通い始めた」

少子化で子どもが減る一方、全国的に都市部を中心に増えているという、犬の幼稚園。
しつけや社会性を育むだけでなく、飼い主の暮らしを支える役割も担っています。

70代の飼い主には、こんな事情が…。

【犬の幼稚園 利用歴6年 飼い主】
「年だから走れない。遊んであげられない」
さらに。
「糖尿病。ひどいんですよ」
Q:どちらが? 旦那さん
「病院は、幼稚園に行く火曜・金曜になるべく合わせて予約とっています。愛犬より絶対に先に逝きたくない」
Q:幼稚園楽しい?
【キャンデイちゃん(6)】
「・・・」
Q:なんと言っていますかね?
「楽しいって」

家族の形が変わる今、犬をペットとしてだけではなく、家族の一員として大切にする人が増え、犬に求めるものも変わりつつあります。