知られざる巨匠!呉市出身・藤井清水の音楽祭に密着!「西洋と東洋の融合みたいな不思議な世界」広島

10/21(水) 17:55

特集は、日本古来の民謡と西洋音楽が融合した、不思議な音の世界の魅力に迫ります。大正から昭和初期に活躍した、呉市出身の作曲家の功績を伝える音楽祭に密着しました。

先週、呉市で開催された音楽祭。

呉市出身の作曲家、藤井清水(ふじいきよみ)の功績を讃えて開催されたこの音楽祭は、今回が25回目になります。

生涯に、約1900曲もの作品を作曲、編曲しながら、藤井清水は、あまり世に知られることがありませんでした。

音楽祭の総合プロデューサーとして、演出や脚本も担当する上垣内寿光さん。藤井清水の音楽を、こう評価します。

【総合プロデューサー 上垣内寿光さん】
「藤井清水が全国の民謡を楽譜に起こして、かつ自分の音楽性で伴奏を付けている。民謡は日本の土着の昔からあるメロディーだが、ついている伴奏は、クラシカルな西洋の音楽のエッセンスが入っている。西洋と東洋の融合みたいな不思議な世界に連れていかれる感じ」

清水は、1889年、安芸郡焼山村、現在の呉市焼山に、医師の三男として誕生しました。音楽学校に学び、作曲活動をする一方、全国の民謡を楽譜にする活動にも尽力。1944年、戦時下の東京で病気のために亡くなります。55歳でした。

開催前日のリハーサル。今回の演奏会、実は、音楽だけではありません。

藤井清水の生涯を、本人役の役者が語りながら進行したり、映像などを組み合わせた演出が取り入れられています。

新たな舞台を作る挑戦。脚本から演出までをこなす上垣内さんも奔走します。

一方、民謡と西洋音楽を融合した清水の作品を、どのように表現するか、音楽家たちも悩んでいました。

【ピアニスト 福政 歩さん】
「和音の使い方が全然クラシックとは違っていて…」

【声楽家 ソプラノ 乗松 恵美さん】 
「あまりにも音が、民謡の音は、予測が西洋音楽の予測と違うので、(歌っていて)おっとと思う事がある」

リハーサルを終えた上垣内さん。

【総合プロデューサー 上垣内寿光さん】
「本当に才能のある人たちを集めているので、どれだけ彼らが楽しく仕事が出来るのかを、お手伝いさせてもらっている感じ。何とかきょうは帰れそうです」

演奏会、当日。開場前の受付には、行列が出来ていました。

【総合プロデューサー 上垣内寿光さん】
「これを見るのが最高ですね。来場してくださっている人の導線が見えるのが。まだまだ来てますね!」

演奏会が始まりました。

【俳優 河野寛さん】
「私の名前は、藤井清水と申します。作曲をすることに生涯を捧げました」

進行するのは、藤井清水を演じる俳優の河野寛さん。

スクリーンに映されたアニメーションは、今回、上垣内さんが特に、こだわった演出です。

そして、清水が全国から集めて譜面にした、西洋と日本の音楽が融合された民謡。歌のトリを務めるのは、ベテランの音楽家の2人です。

そして、演奏会の最後に奏でられたのは、清水が作曲した西洋音楽。

広島交響楽団で、ソロ・コンサートマスターを務める北田千尋さん。清水が残した楽譜から、その人柄が偲ばれると言います。

【広島交響楽団 ソロ・コンサートマスター 北田千尋さん】
「楽譜を見たら、クラシックの音楽と似た感じですが、音を鳴らしたらとっても日本を感じる。自分の中にある日本らしさ、民謡からのエッセンスなど、そういうものを素直に自分の作品の中に取り入れた人だったのかなと思う」

日本のメロディーと西洋音楽を融合した藤井清水の音楽の世界。知られざる巨匠の功績が、音楽家たちによって、現代に、紡がれています。