「熊本地震」被災地で給水支援 広島の企業が現地に届けたものは? 防災士の社長「確保困難な生活用水」

9/14(月) 18:26

特集です。

熊本地震の被災地で、給水支援に当たった広島の企業。

彼らが、被災地に届けたのは水だけではありません。

改めて、災害支援について考えます。

今月、広島市内の小学校で行われた授業。
5年生、およそ90人が、防災について学びます。

【サンボレ 小田 修久社長】
「熊本の地震。被災地に行って、ちょっと頑張ってきたので、みんなに聞いてもらおうと思います」

講師を務めるのは、小田修久さん。
広島市内で、自動車販売会社「サンボレ」を経営しています。

7月28日、熊本で発生した震度7を観測した地震。

発生から、72時間後、小田さんは被災地に、支援部隊を送りました。

「サンボレ」は自動車販売だけでなく、浄水器を独自に開発しています。熊本地震では、小田さん自身もこの浄水器をもって、被災地に入りました。

【サンボレ 小田 修久社長】
「この機械で、1日に20トン。飲料水では1万人分。生活用水では1000人分。飲料水までは(使用できる)適合をもらっていますが、(今回は被災地で)検査が出来ないので、生活用水としてシャワーやトイレを流すなどに使ってもらおうと思います」

サンボレが開発した災害用浄水器「あかり」。車などで運搬できるサイズの浄水器で、1日20トン以上の水を浄化して、生活用水として提供する事ができます。また、電源がない場所でも、手動で操作する事ができるのも特徴です。

小田さんたちは、これまで、被災地で車の修理を依頼され、「もっと水があれば」と思った経験から、短時間で大量の水を浄化できる機械を、独自で開発しました。

広島市から熊本市内まで、400キロ以上。

先月2日。地震の被害が残る道路を車で走り、およそ7時間半かけて、到着しました。

被災地に入ると、想像を超える被害を目の当たりにします。

【サンボレ 小田 修久社長】
「熊本の街に行くと、家は壊れているし、みんな大変な思いをした時に避難する体育館は、ただシートが敷いてあるだけの場所。段ボールで囲ってあるだけで、立ったら中が丸見えです。そんな避難場所にみんな身を寄せています」

小田さんたちは、被災地からの要請で、宇城市と八代市の避難所に、1台ずつ浄水器を設置。シャワールームを作りました。

【サンボレ 小田 修久社長】
「水はないです。蛇口をひねっても(水が)出ないし、このプールから水を取って、シャワールーム、生活用水。飲料には使わないが、手洗いとか生活用水」

最高気温が、35度を越える猛暑日が続く被災地。小田さんは、改めて、水の大切さを感じたと言います。

【サンボレ 小田 修久社長】
「家屋の崩壊を掃除するのに汗だくになりますから、お父さんもお母さんも汗だくなんです。子供たちも汗を流す場所がない」

飲料水は、支援物資としてペットボトルなどが供給されますが、飲料水より大量に必要になるシャワーや洗濯に使う生活用水の確保は、被災地では困難でした」

【サンボレ 小田 修久社長】
「災害が起きた時に亡くなる人、災害が起きたあとに亡くなる人、どちらが多いか分かる人はいますか? 避難所や家に帰って亡くなる人を災害関連死者数といいますが、約6割の人が災害のあとに亡くなります」

大地震発生後の環境の変化は、被災者の健康に大きく影響します。

実は、防災士でもある小田さん。10年前の熊本地震でも、地震で直接亡くなった人が50人なのに対して、災害関連死が200人以上に上る現実を危惧していました。

【サンボレ 小田 修久社長】
「災害関連死者数が6割以上と言われていて、その中の約9割は、65歳以上の高齢者です。だから僕たちは「おじい」「おばあ」と呼んで、地元の言葉をできるだけ使って、高齢者の居場所を作ろうという事を、水を使って挑戦してきました」

水を通して、被災者を少しでも元気づけようと奮闘した小田さん。子供たちに、「人のつながりが命を救う」ということを伝えます。

【サンボレ 小田 修久社長】
「小学校5年生が小さい子供を一緒に遊んであげて、おじいとおばあを元気にしてあげる事が、災害関連死者数を1人でも減らすために大切です」

普段、当たり前に使っている水の大切さ、そして、被災地の現状を知った子供たち。

【授業を受けた児童】
「人間は水がとても大事だと思いました」

「きれいな水が、この機械でできる事を知って良かった」

「普通に手洗いや顔を洗ったりする水と同じような水で、こんな小さな機械でも人を救えるんだと思いました」

熊本地震での給水支援を経て、小田さん自身も今、災害支援のあり方を見つめ直しています。

【サンボレ 小田 修久社長】
「1人では避難所で(浄水器を)運営する事はできないので、僕たちももっと仲間を増やしたり、勉強する事がたくさんあるので、子供から大人まで伝える機会をたくさんもらって、何とか仲間を増やしていきたいと思っています」

災害時に最も必要とされる「水」。

被災者に透明な水を届けるため、サンボレの支援は続きます。