部活動が変わる。学校から地域へ――広島の子どもたちの「居場所」はどこへ
7/19(日) 09:00
少子化などの背景により、子どもたちの部活動のカタチが大きく変わろうとしている。学校から地域へ――その活動の場はどう変わっていくのか?広島県内の現状と課題を取材した。
少子化と教員不足が直撃する『部活の危機』
県内の中学生の人口が今後10年間でおよそ3割減る見込みだ。こうした少子化の進行と、教員の業務負担の増大を背景に、広島県は「部活動改革推進計画」を策定し、休日の部活動を学校から地域へ移す「地域展開」に向けた本格的な動きを始めた。
文科省の発表によれば、公立中学校の教師の残業時間はおよそ4割が月45時間を超え、さらに担当する部活動の競技経験がない教員が半数以上いるというデータもある。運動部だけでなく、吹奏楽などの文化部でも同様の課題を抱えており、学校だけで部活動を支える時代は、もう限界を迎えようとしている。
文科省の発表によれば、公立中学校の教師の残業時間はおよそ4割が月45時間を超え、さらに担当する部活動の競技経験がない教員が半数以上いるというデータもある。運動部だけでなく、吹奏楽などの文化部でも同様の課題を抱えており、学校だけで部活動を支える時代は、もう限界を迎えようとしている。
「地域展開」って何? 土日は『みんなのクラブ』へ
「地域展開」とは、平日は各学校で部活動を行い、土日・祝日は複数の学校の生徒が合同で地域クラブで活動するしくみだ。異なる学校の仲間と交わることで交流が広がり、専門的な指導者から本格的な指導が受けられるメリットもある。
国は2023年度から2025年度までを「改革推進期間」、今年度から2031年度までを「改革実行期間」と位置づけ、2031年度末までに全ての部活動で休日の地域展開を目指している。ところが広島県内では、今年度時点で「検討中」の自治体が広島市・福山市・呉市・府中町・熊野町など13市町にのぼる。庄原市は今年度から順次、三原・尾道・三次は2027年度以降、東広島・廿日市は2028年度中を想定時期としている。スポーツ教育学が専門の広島大学大学院・齊藤一彦教授は「広島県は受け皿となる地域クラブが少ないところからのスタートで、今まさに検討の真っ最中」と話す。
国は2023年度から2025年度までを「改革推進期間」、今年度から2031年度までを「改革実行期間」と位置づけ、2031年度末までに全ての部活動で休日の地域展開を目指している。ところが広島県内では、今年度時点で「検討中」の自治体が広島市・福山市・呉市・府中町・熊野町など13市町にのぼる。庄原市は今年度から順次、三原・尾道・三次は2027年度以降、東広島・廿日市は2028年度中を想定時期としている。スポーツ教育学が専門の広島大学大学院・齊藤一彦教授は「広島県は受け皿となる地域クラブが少ないところからのスタートで、今まさに検討の真っ最中」と話す。
コーディネーターが奔走! 廿日市市の挑戦と壁
2028年度末の地域展開を目指す廿日市市では、今年度から新たに部活動地域展開コーディネーターを配置。藤森憲也さんが学校と地域クラブをつなぐ橋渡し役として奮闘している。市内の地域クラブを視察し、受け皿としての環境整備を進める中で、すでに見えてきた課題がある。
一つは保護者の送迎負担。学校と違い地域クラブへの移動が遠くなるため「仕事が終わってすぐ来る」という声も聞かれた。そしてより深刻なのが指導者の確保だ。先行する山口県でも「思ったより指導者登録が集まらない」という現実があり、広島でも同様の壁にぶつかっている。藤森さんは「一番困るのは子どもたち。週末の子どもたちの時間の過ごし方を、学校だけでなく家庭や地域で支えなくてはいけない」と力を込める。
一つは保護者の送迎負担。学校と違い地域クラブへの移動が遠くなるため「仕事が終わってすぐ来る」という声も聞かれた。そしてより深刻なのが指導者の確保だ。先行する山口県でも「思ったより指導者登録が集まらない」という現実があり、広島でも同様の壁にぶつかっている。藤森さんは「一番困るのは子どもたち。週末の子どもたちの時間の過ごし方を、学校だけでなく家庭や地域で支えなくてはいけない」と力を込める。
地域展開「しない」を選んだ坂町――もう一つの答え
県内で唯一、地域展開を「しない」方針を打ち出したのが坂町だ。同町が選んだのは、1995年度から導入してきた外部部活動指導員との連携モデル。現在は運動部・文化部合わせた6つの部活動で、平日・休日を問わず指導員が専門的な技術指導を担い、教員は生活面のサポートに集中することで、お互いの負担を分散させている。
吉田隆行町長は「子ども第一!環境を大人たちがスクラムを組んで作っていくことが、この国の発展につながる」と地域展開には否定的な立場を貫く。指導員の人件費や送迎の財政支援も町が担う方針だ。齊藤教授は「学校の教員以外が子どもたちを指導しているという意味では、これも地域展開の一形態と言える。地域の実情に合ったやり方があるということだ」と分析する。
吉田隆行町長は「子ども第一!環境を大人たちがスクラムを組んで作っていくことが、この国の発展につながる」と地域展開には否定的な立場を貫く。指導員の人件費や送迎の財政支援も町が担う方針だ。齊藤教授は「学校の教員以外が子どもたちを指導しているという意味では、これも地域展開の一形態と言える。地域の実情に合ったやり方があるということだ」と分析する。
「残す」ための改革――地域全体で子どもたちを育てる時代へ
自治体からは「指導者が確保できない」「持続可能な運営ができるか」「中山間地と都市部では事情が違う」といった切実なホンネも漏れる。県はこうした声を受け、今年2月から指導者リストの登録募集を開始するなど、指導者確保や地域クラブへの経費補助といった支援策を打ち出した。
齊藤教授は「地域展開の目的は、子どもたちの活動をなくすことではなく、残すことだ」と力を込める。吹奏楽など文化部の楽器管理といった固有の課題も山積するなかで、部活動の地域展開は単に「学校の負担を減らす」話ではない。地域が子どもたちの成長を支え、市民がスポーツや文化芸術に触れる機会を増やし、地域そのものが活性化していく――そんな大きな可能性を秘めた改革の、広島の挑戦は今始まったばかりだ。
齊藤教授は「地域展開の目的は、子どもたちの活動をなくすことではなく、残すことだ」と力を込める。吹奏楽など文化部の楽器管理といった固有の課題も山積するなかで、部活動の地域展開は単に「学校の負担を減らす」話ではない。地域が子どもたちの成長を支え、市民がスポーツや文化芸術に触れる機会を増やし、地域そのものが活性化していく――そんな大きな可能性を秘めた改革の、広島の挑戦は今始まったばかりだ。
