【NPT=核拡散防止条約 再検討会議】まもなく開幕 改めてどんな会議? 専門家はどう見る? 広島

4/27(月) 19:22

NPT=核拡散防止条約再検討会議が、アメリカニューヨークでおよそ5時間後に始まります。
広島からも横田知事や広島市の松井市長、被爆者など多くの人が現地を訪れています。
TSSニューヨーク支局古賀記者のリポートです。

【古賀 颯祐 記者】
「核をめぐる国際情勢がかつてないほど厳しい状況の中、こちらの国連本部では間も無く1ヶ月に及ぶNPT再検討会議が開幕します」

会議を前に現地時間・26日未明、県被団協の佐久間邦彦理事長や県原水協の代表団がニューヨークのホテルに到着しました。

【県被団協(生後9か月で被爆) 佐久間邦彦 理事長】
「危機感と同時に、われわれの言っていることが間違っていないと感じてもらえるような運動をしていきたい」

佐久間さんは、「今回、広島から駆けつけた被爆者は他にいないと思うので会議の傍聴や、被爆証言の機会を通し積極的に発信をしていきたい」と話していました。

前々回・前回の会議はそれぞれ、地元広島選出の岸田文雄元総理が、2015年は外務大臣2022年は総理として出席しました。
今回、日本は、総理も外務大臣も出席せず外務副大臣の派遣となり、広島からは、政府の本気度を問う声もあがっていました。
一方、開催を前に、国連の中満泉事務次長が会見を開きました。

【国連 中満泉 事務次長】
「この条約の再検討会議も非常に重要であり、今日の複雑で、言ってよいなら極めて挑戦的な国際平和・安全保障環境において、なおさら重要性が増しています」
その上でイランが会議に参加する意向であり、積極的に関与するように見えると述べました。
「なぜ、私は希望を持っているのか。1つの理由は、締約国すべてにある種の危機意識が共有されていると感じているからです。すべての締約国は、核兵器や原子力の平和的利用に関するあらゆる問題においてNPTが基礎的かつ極めて重要な枠組みであると依然として信じているように見えます」

【古賀 颯祐 記者】
「中満氏が今回の会議の重要性を強調する中、現地では日本から訪れた被爆者たちが早速声をあげています」

【パレード】
「ノーモアヒロシマノーモアナガサキ」

開幕に合わせ、現地時間・26日ニューヨーク中心部で行われた行進には、現地の平和団体のほか、日本から訪れている日本被団協や県被団協、高校生平和大使などが参加。
核兵器廃絶などを訴えおよそ1キロを行進し集会も開きました。

【日本被団協(広島原爆の体内被爆者)濱住治郎 事務局長】
「世界の人々が力を合わせて何とか核のない世界を実現するんだという、そういう気持ちでやってほしい進めてほしいと思っています」

NPT再検討会議は、このあと国連本部で開幕し、横田知事や広島市の松井市長、被爆者などが初日の会議を傍聴する予定です。

【古賀 颯祐 記者】
「決裂に終わった前回の再検討会議からおよそ4年。この間もウクライナ情勢、中東情勢などの問題をめぐり、ここ国連では各国が激しく議論や時には非難の応酬を繰り広げてきました。そうした対立を超えて改めてNPTの原点に立ち戻り、核軍縮や不拡散の議論を少しでも前に進めることができるのか、各国には真摯な姿勢が求められます」

■■■ スタジオ ■■■

NYから古賀記者がお伝えしました。
さて、この後開幕するNPT再検討会議。
改めてどんな会議なのかおさらいをしておきましょう。
NPTは、「核兵器の拡散防止に関する条約」です。
1970年に発効し、現在、世界191の国と地域が締約しています。
アメリカ、ロシア、フランスなど核保有国5カ国に核軍縮を科す唯一の国際法ですが、核実験を行い核兵器をもつインド・パキスタン、そして、事実上の核保有国と言われているイスラエルは入っていません。
また、核実験を繰り返している北朝鮮は加入していましたが2003年に脱退を宣言しています。

NPT再検討会議の目的と内容はこちらです。
三本柱と言われている一つ目が「核不拡散」。
アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国を「核兵器国」と定め、「核兵器国」以外への核兵器の拡散を防止するとしています。

そして2つ目が「核軍縮」で締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を設けています。
3つ目が「原子力の平和的利用」です。

原子力の平和的利用は締約国の「奪い得ない権利」と定めています。
NPT再検討会議は5年に1度開かれていて今回が11回目です。
27日から来月22日までおよそ1カ月間議論が交わされます。
今週1週目は、各国のトップがスピーチする一般討論や知事や市長も登壇するNGOの参加者によるスピーチそして2週目・3週目は3つの主要委員会に分かれ議論が行われ、最終週となる4週目は、議長による最終文書案を検討・交渉し全会一致の合意のもと成果文書の発出を目指すというものです。
しかし現状は厳しいままです。

というのも前々回2015年、前回2022年は「合意文書」を採択できませんでした。
さらに今年2月に核保有国のアメリカが核兵器の開発を進めているとされるイランを武力攻撃し今も争いが続いていて、NPT体制の根幹にかかわる問題が起きています。
こうした状況を専門家はどう見ているのでしょうか?

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【広島市立大学 広島平和研究所 梅原季哉 教授】
「NPT自体がこれから、本当に最悪の場合崩壊してしまうところに向かうのか、それとも踏みとどまれるのかというところにやっぱり最大のポイントはあると思います。一般的な目安としてこれまでの再検討会議で言われてきたのは、いわゆる最終文書というのが採択できるかどうかなんですけれども、おそらくかなり難しいというかもしかして出ないかもしれないです。最終文書は出なくても何らかの形で踏みとどまるというような形の代わりになる文書とか、あるいは声明みたいなものが出せるのか、まったくの別の完全のけんか別れになってしまうのかというところが最大のポイント」