「人前で演奏する機会を増やそう!」 音楽大学OBの取り組みに密着 広島・エリザベト音楽大学

4/22(水) 18:03

コロナ禍以降、若手音楽家たちの活動の場は減少傾向にあります。
人前で演奏する機会を増やそうと立ち上がった音楽大学OBの取り組みに密着しました。

広島市中区の店舗で開催されたイベント。

【男性のお客さん】
「優雅な気持ちになりました。気持ちよかったです」
【外国人観光客】
「とてもいいです。ここで音楽が聴けると思っていなかったので、とてもうれしいサプライズです」

演奏しているのは、市内の音楽大学の学生たちです。
広島市中区にあるエリザベト音楽大学。
終戦から、3年後の1948年、ベルギー人の神父により広島音楽学校として設立されました。
音楽学校は、その後短大から、4年生大学となり、被爆から立ち直る広島の街に音楽を届け続けました。
広島の街と人が、音楽家たちを育ててきました。
現在、およそ250人の学生が学んでいます。

【エリザベト音楽大学 折河宏治 学長補佐】
「大学はどの様な学生を育てていくのかがすごく大事で、学内だけでそれが学べるのかというとなかなかそれも難しい。誰か第3者に見られることに対して、例えばこれをやった時にうまくいかなかったとか、なかなかお客さんは分かってもらえなかったとか、間近ですのですごく感じると思う。これがレッスン室だけではなかなか感じる事ができないので」

しかし、コロナ禍の4年間演奏の機会がなくなった事で、その伝統が失われました。
今も、若手音楽家の演奏の機会は、決して、多くありません。

【エリザベト音楽大学 折河宏治 学長補佐】
「受身的に言えば、向こうから何かこれをやってくださいということが全ての音楽家に行き渡るかといえば、それは難しいかもしれないが、(社会的な)関係性をどうつないでいくか作っていくかという事が重要と思う。でも難しい関係をどう作るかは難しい」

「音楽家と社会をつなぐ」。
課題の解決に立ち上がったのは、大学のOB達でした。
有留純さんと濱島亮太さん。
同級生2人が企画した音大生による演奏会が5日後に開催されます。

【ミュージックノア 企画制作 統括 濱島亮太さん】
「一応、四方には壁はあるんだけど、たぶん通常演奏している時よりも音が後ろとか横とかにどんどん飛んでいく感覚に襲われると思うので」

大学で音楽学やアートマネージメントを学んだ濱島さんは、卒業後、音楽の舞台演出や進行を手掛けてきました。
作曲を専攻した有留さんは、楽曲の制作の傍ら、若手音楽家の活動をサポートする(チーム)を立ち上げました。
今回、彼らが企画したのは、店舗のイベントとコラボしたコンサート。
屋外で、お客さんを前に演奏します。

【エリザベト音楽大学 3年 北尾柚笑さん】
「緊張した時に自分がどうなるのか本番で分かるようになるので、今後に活きてくる」
【エリザベト音楽大学 2年 荊尾勘太さん】
「自分がいい演奏をしたらいいリアクションが返ってくるし、あんまりよくなかったらよくないリアクションが返ってくるという意味では、いい現場になっているんだと思う」
【学生たち】
Q:プレッシャーを感じますか?
A:ドキドキはします。

今回のイベントは学生たちにとって貴重な舞台です。

【女子学生】
Q:演奏する機会はあるんですか?
A:あまりなくて。学生のうちは少ないです。自分たちだけでできないことが多いので、自分たちが企画しても手伝ってもらう人がいないとできないので、やろうと言ってすぐできるということは難しい。

【ミュージックノア 有留純 代表】
「コンサートホールで演奏するのと、外で自分の事も知らない人たちに聞いてもらうのは全然違うものなので、それを学ぶという事もすごく必要な事だと思う」

【ミュージックノア 有留純代表&濱島亮太統括】
学生さんにひと言ないですか?
「土曜日よろしくお願いします。重く考えないで何度も言うように本当に素直な音で楽しくやってもらえたら、それが本当にお客さんに届くし、だから本当に素直に楽しくやってもらったらそれで十分です」

いよいよ、演奏会当日。
店舗で開催されているのは、バラのイベントです。
バラの販売だけではなく、生産者を招いてのセミナーやフラワーアレンジメントのワークショップなどが行われます。
花のイベントと演奏会をコラボさせるのは初めての試みです。

【学生】
「がんばります」

思いに賛同する企業が、学生たちに活躍の場を与えてくれました。
演奏会があると聞いて、みんな興味深そう。
お客さんとの距離感がいつもと違います。

【学生】
Q:お客さん近い?
A:近いです。

若手音楽家たちの活躍の場を作り、音楽を身近に感じられる街にしたい。
そのために、初めて企画した演奏会。
本番がやってきました。
(※演奏)
演奏に合わせて、お客さんの表情が変わってきました。
こんな時間と空間をこの街に、もっと多く作りたいのです。

【ミュージックノア 有留純代表&濱島亮太さん】
「誰かがやらないといけない時期なんです。今はエリザベトで学んできた事が活かせたりするので、それを活かした上で自分たちがやるべきかなと思う。僕らも挑戦です。音楽大学で勉強してきた事、その上で社会に出て直面した事・感じた事・得た事が、どこまで通用するのか。というのもチャレンジだと思っている」

【演奏者】
「(お客さんとの距離が)めっちゃ近くて目が合いました。表情が直に感じられるので、冷や汗です。にこやかに聞いてくださっている方が、笑顔で聞いてくださっている方が多かったので、ちょっと安心したけど近いから緊張しました」

【男性のお客さん】
「あまり普段は聞く機会もないので、こういった形で身近に聞けるというのは興味も持てる」
【外国人観光客】
「私はフロリダ州のタンパに住んでますが、音楽のライブ演奏はたくさんあります。でもフルートの演奏はあまりない」
【女性のお客さん】
「街中で気軽に聞ける。もっとこういうものが増えたら、すごく幸せな気持ちになると思いました」

【広島アンデルセン 寺戸正三 フラワーデザイナー】
「耳から心地いい感じ。バラを目で見て心地いい感じ。バラの香りをかいで心地いい感じ。すごく良かったと思います」
【エリザベト音楽大学 折河宏治 学長補佐】
「学内で学んだことを地域社会に提供して貢献して、そこで本人たちは足りない事に気づくと思う。それをまた学んで地域に貢献するような人材になっていくと、(そのような)循環が生まれたらいいと思いながら、いつも地域連携や社会貢献の事は考えてやっています」

音楽を身近に感じられる街にしたい。
その担い手は、若き音楽家たちです。
彼らの活躍する場所を増やす活動は、今、始まったばかりです。