「覚えられない」高次脳機能障がいの42歳の息子と71歳の母 「知って欲しい、大半は交通事故が原因」
10/20(月) 19:05
特集です。
事故や病気で脳に損傷を負い、記憶などに問題が生じる高次脳機能障がい。
外見では分かりにくく、「見えない障がい」と言われています。
シリーズ「彷徨う居場所」第10弾、その障がいに向き合う家族を見つめました。
事故や病気で脳に損傷を負い、記憶などに問題が生じる高次脳機能障がい。
外見では分かりにくく、「見えない障がい」と言われています。
シリーズ「彷徨う居場所」第10弾、その障がいに向き合う家族を見つめました。
広島市の人材サービス会社。
封筒の在庫を確認している、一人の男性。
中村亮太さん、42歳。
1年前からここで働いています。
在庫を記入する紙には、封筒の種類によって異なる保管場所が書き込まれています。
【中村亮太さん(42)】
「右側の上の一段目、二段目、下から何段目を書いています」
亮太さんには高次脳機能障がいという障がいがあります。
保管場所を正確に覚えることが難しいといいます。
【中村亮太さん(42)】
「探すのを苦労するので場所があった方が分かりやすい」
封筒の在庫を確認している、一人の男性。
中村亮太さん、42歳。
1年前からここで働いています。
在庫を記入する紙には、封筒の種類によって異なる保管場所が書き込まれています。
【中村亮太さん(42)】
「右側の上の一段目、二段目、下から何段目を書いています」
亮太さんには高次脳機能障がいという障がいがあります。
保管場所を正確に覚えることが難しいといいます。
【中村亮太さん(42)】
「探すのを苦労するので場所があった方が分かりやすい」
高次脳機能障がいとはいったいどんな障がいなのか。
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「交通事故や転落事故で脳が損傷して回復しにくい部分があります。認知機能・感情の機能・行動をコントロールする機能が障がいを受けた状態が高次脳機能障がい」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「交通事故や転落事故で脳が損傷して回復しにくい部分があります。認知機能・感情の機能・行動をコントロールする機能が障がいを受けた状態が高次脳機能障がい」
亮太さんの障がいは先天的なものではありません。
発症したきっかけは23歳のとき、仕事から帰宅中に青信号の横断歩道を渡っていたときでした。バイクと衝突。頭を強く打った亮太さんの意識は戻らず、およそ3カ月間、病院で過ごしました。
今でも定期的に病院に通っています。
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「最近の調子はどうですか?」
【中村亮太さん(42)】
「問題ないです。体調も問題ない」
母の、きみ枝さん71歳。
【中村きみ枝さん(71)】
「忘れ物が多い」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「本人1人で忘れ物をゼロにするのは難しい」
【中村きみ枝さん(71)】
「食事は出かけるときに必ず食べるように言っている」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「前は言わないと食べないでそのままになった」
【中村きみ枝さん(71)】
「周りが気を付けないと難しい」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「一見普通に喋られる。行動もできるから、普通にできると思うけど」
発症したきっかけは23歳のとき、仕事から帰宅中に青信号の横断歩道を渡っていたときでした。バイクと衝突。頭を強く打った亮太さんの意識は戻らず、およそ3カ月間、病院で過ごしました。
今でも定期的に病院に通っています。
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「最近の調子はどうですか?」
【中村亮太さん(42)】
「問題ないです。体調も問題ない」
母の、きみ枝さん71歳。
【中村きみ枝さん(71)】
「忘れ物が多い」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「本人1人で忘れ物をゼロにするのは難しい」
【中村きみ枝さん(71)】
「食事は出かけるときに必ず食べるように言っている」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「前は言わないと食べないでそのままになった」
【中村きみ枝さん(71)】
「周りが気を付けないと難しい」
【横田メンタルクリニック・横田則夫 院長】
「一見普通に喋られる。行動もできるから、普通にできると思うけど」
亮太さんはいつもユーチューブに夢中になっています。
空腹を感じにくいため声をかけないと何も食べずに、そのまま過ごしてしまう…。
きみ枝さんは息子の食事を懸命に作り続けています。
【中村亮太さん(42)】
Q:おいしい?
「普通」
空腹を感じにくいため声をかけないと何も食べずに、そのまま過ごしてしまう…。
きみ枝さんは息子の食事を懸命に作り続けています。
【中村亮太さん(42)】
Q:おいしい?
「普通」
息子の亮太さんが目を覚ますことなく、ベットに横たわっていたあの時の気持ちは今も忘れられません
【中村きみ枝さん(71)】
「JRのホームに立つと息子と同じ年代23、24歳の男性がスーツを着て鞄を持ってホームに立っている。その姿を見たときに、どうしてうちの子だけ、うちの子が…という思いが強くなって線路に引き込まれそうになった。自殺願望はなかったけど、このつらさから解放されたいというのが無意識のうちにあった」
【中村きみ枝さん(71)】
「JRのホームに立つと息子と同じ年代23、24歳の男性がスーツを着て鞄を持ってホームに立っている。その姿を見たときに、どうしてうちの子だけ、うちの子が…という思いが強くなって線路に引き込まれそうになった。自殺願望はなかったけど、このつらさから解放されたいというのが無意識のうちにあった」
意識が戻った今も心配は尽きません。
新しいことを覚えられない亮太さんはメモを書き続けています。
覚えられないと仕事ができないと思われ、数日で解雇されたことが2度もあります。
【中村きみ枝さん(71)】
「意識不明の重体で病院に入院しました。大変なのはその後なんです」
新しいことを覚えられない亮太さんはメモを書き続けています。
覚えられないと仕事ができないと思われ、数日で解雇されたことが2度もあります。
【中村きみ枝さん(71)】
「意識不明の重体で病院に入院しました。大変なのはその後なんです」
きみ枝さんは同じ高次脳機能障がいのある家族を支える人たちが集まる相談会に参加しました。
【中村きみ枝さん(71)】
「疲れが分からない。歩き回っても疲れを感じないので、倒れないとたぶん分からない」
【参加者】
「(そう)自分がそれだけしんどかったのが。真夏にヒートテック。暑いでしょ、真夏のヒートテックありますよね。まかせていたら」
【中村きみ枝さん(71)】
「疲れが分からない。歩き回っても疲れを感じないので、倒れないとたぶん分からない」
【参加者】
「(そう)自分がそれだけしんどかったのが。真夏にヒートテック。暑いでしょ、真夏のヒートテックありますよね。まかせていたら」
【中村きみ枝さん(71)】
「切符やホテルを自分でとれる。なぜそれができるのか」
【参加者】
「私が死んだら、主人は施設でないと一人では無理かな。買い物もできない」
【参加者】
「主人の記憶があるのが20代前半まで、その後の記憶がほとんどない状態。私も子供もきれいに忘れてしまっている。子供も知らない『捨ててこい』と子供の目の前で言う感情のコントロールができないので、気に入らないと暴力で手が上がる。ここは同じような経験をしている方が多い。ここは話せる場所。自分だけじゃないんだな」
誰にも理解されず、同じ悩みを抱えてきた人たちが…ここにはいます。
「切符やホテルを自分でとれる。なぜそれができるのか」
【参加者】
「私が死んだら、主人は施設でないと一人では無理かな。買い物もできない」
【参加者】
「主人の記憶があるのが20代前半まで、その後の記憶がほとんどない状態。私も子供もきれいに忘れてしまっている。子供も知らない『捨ててこい』と子供の目の前で言う感情のコントロールができないので、気に入らないと暴力で手が上がる。ここは同じような経験をしている方が多い。ここは話せる場所。自分だけじゃないんだな」
誰にも理解されず、同じ悩みを抱えてきた人たちが…ここにはいます。
【中村きみ枝さん(71)】
「知り合いに話しても、理解してもらえないところがいっぱいある、高次脳機能障がいは交通事故がほとんど。交通事故はいつ誰があうか分からない。そういうところを知っていただきたい」
外見では分かりづらく、「見えない障がい」とも言われる高次脳機能障がい。
家族は社会がこの障がいのことを少しでも知ってくれて、少しでも理解が深まることを願っています。
「知り合いに話しても、理解してもらえないところがいっぱいある、高次脳機能障がいは交通事故がほとんど。交通事故はいつ誰があうか分からない。そういうところを知っていただきたい」
外見では分かりづらく、「見えない障がい」とも言われる高次脳機能障がい。
家族は社会がこの障がいのことを少しでも知ってくれて、少しでも理解が深まることを願っています。
<スタジオ>
厚生労働省によりますと高次脳機能障がいと診断された人は2022年12月時点で全国に22万7000人いるということで、新川さんこれだけ多くの方が戦っている。そう考えると社会の理解というのがもっともっと必要かなと思いますね。
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「障がいの種類は違うんですけど、以前、自分の組織の中で障がいのある方が内部向けに勉強会してくれて、こういう障がいだからこういうふうに話しかけられたらわかりやすい。こういう仕様だと読みやすい。というのを教えてくれたことがあったんです。多分、同情だけだとみんな続かないと思うので、きちんとした障がいの理解と接し方というのを学んでいって理解を深められるといいなと思いますね」
友の会で、ご家族がお話をされて、ようやく自分の気持ちを解放できる。そんなふうにも見えましたけれども、同じような経験をした人たちで支え合って、乗り越えていくためにこちら、広島県内でも相談会が行われているということで、
不安を抱えている方「高次脳機能障害友の会ひろしま」090-1331-5204
までお問い合わせください。
厚生労働省によりますと高次脳機能障がいと診断された人は2022年12月時点で全国に22万7000人いるということで、新川さんこれだけ多くの方が戦っている。そう考えると社会の理解というのがもっともっと必要かなと思いますね。
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「障がいの種類は違うんですけど、以前、自分の組織の中で障がいのある方が内部向けに勉強会してくれて、こういう障がいだからこういうふうに話しかけられたらわかりやすい。こういう仕様だと読みやすい。というのを教えてくれたことがあったんです。多分、同情だけだとみんな続かないと思うので、きちんとした障がいの理解と接し方というのを学んでいって理解を深められるといいなと思いますね」
友の会で、ご家族がお話をされて、ようやく自分の気持ちを解放できる。そんなふうにも見えましたけれども、同じような経験をした人たちで支え合って、乗り越えていくためにこちら、広島県内でも相談会が行われているということで、
不安を抱えている方「高次脳機能障害友の会ひろしま」090-1331-5204
までお問い合わせください。