犯罪心理学で恐怖倍増!ユニークな「お化け屋敷」が登場 犯罪不安を逆手に最大限の恐怖をあなたに 広島

8/19(火) 18:25

夏の風物詩といえば…「お化け屋敷」ですが、福山市の歴史博物館では”犯罪心理学”を取り入れたユニークなお化け屋敷が登場。その全容に迫ります。

広島県の東部、福山市を流れる一級河川「芦田川」。
その昔、この川底におよそ300年間存在した大規模集落がありました。

広島県立歴史博物館・石橋健太郎さん
「ここは福山市を流れている芦田川の中州から発見された草戸千軒という町。そこを30数年発掘調査をしまして、街並みを復元した場所です。当時は港町で、港でいろんなものを陸あげしたり、中継地点になって山間部に送る市場町でもあった。実物の大きさで草戸千軒の町を実感してもらうというのがこの展示のコンセプトです」

中世の瀬戸内に栄えた港町の暮らしを今に伝える広島県立歴史博物館の「よみがえる草戸千軒」。ここでこの夏…

閉館後の展示室で黙々と作業を進める若者たち。
彼らは地元福山大学の学生です。
一体ここで何を行っているのでしょうか。

男子学生
「8月に始まるお化け屋敷の準備をしています」

この夏、歴史博物館と福山大学が協働で開催する「草戸千軒お化け屋敷」。
展示室を舞台に学生たちが主体となって企画運営を行うのですが…

男子学生
「私たちは心理学科の学生です。犯罪心理学をいかして最大限の恐怖を味わっていただこうと思っています」

人の恐怖を減らすための様々な研究を行う犯罪心理学。
これがお化け屋敷にどういかされているのでしょう。

心理学科4年・藤原彰紘さん
「自分が犯罪にあってしまう、巻き込まれてしまうんじゃないかという不安や恐怖という感情のことを犯罪不安と言います。一本道で帰れないということだったり、暗がりに人が隠れているんじゃないかというものなんですけども、そうした犯罪不安を逆手にとった仕掛けというのが散りばめられているというのが、このお化け屋敷の怖さの秘訣となっています」

参加するのは事前の抽選に選ばれた小学生。暗闇にどんな危険や不安要素が潜んでいるのかをお化け屋敷を通して認識。日頃の防犯意識を高めてもらうのが狙いです。

今年4月から心理学科の有志およそ50人で準備を進めてきたお化け屋敷。
どんな仕上がりになっているのか彼らの元を訪ねました。

西田杏優アナウンサー「よろしくお願いします。今日はここで何が行われているんですか?」
心理学科2年阿部栞和さん「今日はお化け屋敷のリハーサルを行っています」
西田アナ「ぶっちゃけ怖いですか?」
阿部さん「ぶっちゃけ怖いです」
西田アナ「ちょっと私、お風呂でシャワーして目を開ける時すごく緊張するタイプなんですけど…帰りたいです」

もちろん帰れるはずもなく、リハーサルに参加!
まずは舞台となる草戸千軒の歴史、お化け屋敷のストーリーについての説明を受けます。

男子学生「かつて草戸千軒町では天候不良により食べ物がなくなってしまい村人たちが苦しんで亡くなってしまいました。村人たちの魂は食べ物を探してさまよっています」

参加者に与えられるミッションは、飢え死にした村人の魂を救う「ごちそうカード」を祠に納めること。西田アナはどんなごちそうを持って挑むのでしょうか。

西田アナ「今食べたいものを描いてみます」
石橋さん「絵はお好きですか?」
西田アナ「好きです。美術部も入っていました」
石橋さん「じゃあうまいですよね。はんぺん?」
西田アナ「もうちょっと待ってくださいね」
石橋さん「マグロ?え?湯気が出てる。ごはんと食べるもの?海苔!」
西田アナ「焼肉です」
石橋さん「ちょっと厳しいかもしれません」

何はともあれ、これで準備完了!案内役の学生と共にいざ会場へ。

男子学生「お化け屋敷はどうですか?楽しみですか?」
西田アナ「いや…ちょっと緊張しています」
男子学生「怖いとかそういう気持ち?」
西田アナ「苦手なんですよ怖いのが」

会話で緊張を緩めてもらい、いよいよ草戸千軒の世界へと入ります。

西田アナ「わー」
石橋さん「思いっきり声出してください」
男子学生「行ってらっしゃい」
西田アナ&石橋さん「行ってきます」
西田アナ「真っ暗ですよ…キャー!!真っ暗じゃないですか石橋さん」
石橋さん「そうですか?」
西田アナ「ちょっと待って…キャー!キャーごめんなさい」

暗闇で不意に襲ってくる恐怖の演出。
その怖さはホンモノだったようです。

西田アナ「これをじゃあ…(ごちそうカードを祠へ)ワッ!」
石橋さん「カメラさんがいた」
西田アナ「カメラでした」
石橋さん「素晴らしい。反応がいいお客さんで。お化けもすごいやりがいが。仕上がりバッチリです」

おばけ役の学生「ありがとうございます」
西田アナ「気が抜けた瞬間というかタイミングが怖いですね」
石橋さん「それが心理学」
西田アナ「すごい疲れました」

■8月2日草戸千軒お化け屋敷初日

福山大学人間文化学部心理学科中島学教授
「いよいよ始まります。これが一番大切。一人一人が楽しんでください。楽しまないといい仕事はできません」

石橋さん
「ボランティアでもない館の仕事です。そこを皆さんにお任せしているので私たちに代わってお客様のおもてなしをしてください」

開場1時間前、裏方班・演出班それぞれの持ち場で急ピッチに準備が行われます。

心理学科3年大島祐香さん「緊張してます。いっぱい驚かせていきたいと思います」
心理学科4年谷邊彩音さん「4月から準備を行ってきて、やっと今日の本番を迎えるので、とても緊張しているんですけど、子供たちに楽しみながら防犯意識を高めてもらえたらなと思っています」

午後6時、いよいよ参加者が会場に。
この日を楽しみにやって来た子供たちに夏休みの最高の思い出を作ってもらいたい…学生全員が心を一つに精いっぱいのおもてなしをします。

※お化け屋敷を体験する参加者

恐怖体験のあとは心理学の解説。お化け屋敷の仕掛けを日常生活に置き換え、夜道で気を付けるポイントについてわかりやすく説明します。

参加者(小学生)「一本道とか人けのない場所とか、そういう所は気を付けようと思いました」
参加者(小学生)「楽しかったです」
参加者(保護者)「うしろからお化けが来られたのがすごく怖くて。鳥肌が立ったので日常生活でも気を付けないといけないな」
スタッフ「お母さんが怖がる様子を見てどう思った?」
参加者(小学生)「そっちも怖かったです。キャーキャー言いすぎて倒れちゃうんじゃないか」

■午後8時草戸千軒お化け屋敷初日終了

心理学科3年大島祐香さん
「叫んでくれたりとかすごい怖がってくれて。脅かしすぎてごめんねみたいな感じの気持ちもあったんですけど、こっちとしてはすごい嬉しかったです」

心理学科3年佐藤謙太さん
「事前説明班で注意事項を説明したり物語を説明したりだったんですけど、先生とか先輩方からサポートを受けながらですけど、結構うまくいったかなと思います」

石橋さん
「地元の福山大学さんと一緒にこういう授業ができる。それを地元に還元ができる、皆さんに楽しんでもらえるということでとても意味があることだと思っております。できる限り続けていきたいなと思っております」