宮島・包ヶ浦自然公園はどうなる? 「利活用で財源確保」「美しいまま保全」廿日市市と住民の思いは…

6/5(木) 18:41

「ツイセキ」です。
宮島の包ヶ浦自然公園をめぐり廿日市市が利活用を進めようとしている背景と懸念を示す住民の思いを「ツイセキ」します。

【廿日市市・松本太郎 市長】
「魅力ある場所として再生・維持していくためには多くの財源が必要であり、収入を確保する収益事業の必要性は一定の理解を得られたと考えています」

4日夜、宮島で開かれた包ヶ浦自然公園の利活用をめぐる説明会で住民らおよそ100人に今後のスケジュールが示されました。
廿日市市が利活用したいと計画する島の東側の包ヶ浦自然公園。

【五十川記者】
「公園の中は立ち入りができますが、元あった施設は老朽化していまして立ち入り禁止となっています。海水浴場やキャンプ場の利用は停止しています」

施設の老朽化などで近年、公園は利用者数の低迷が続き年間およそ2000万円の赤字を計上、去年3月には指定管理者が撤退するなど、維持・管理に向けた財源確保が課題となっています。
そんな中、市は3年前に、1室1泊平均10万円以上の高級宿泊施設を誘致し、主に海外から富裕層を呼び込む構想を掲げました。
しかし、「自然破壊を招く」などと反対する住民も多く、ことし2月、キャンプ場などにも公募の対象を広げる案に修正。

【参加者】
「美しいまま保全しようじゃないか、これはとてもいいと思うんです。いったん決まってしまい公募をされてしまうと抜き差しならないようになると思うんですよ」

6月議会に関連の補正予算案が提案されるのを前に4日開かれた説明会では、参加者から公園の土地を民間に貸し出すことに不安の声が上がりました。

【参加者】
「もっと住民と話をして、考えていかないといけないのに(収益事業エリアの)土地を貸す発想は一方的なやり方…」

【廿日市市・松本太郎 市長】
「行き着いた先は包ヶ浦の底地(貸した土地)の一部を使って賃借料であったり、固定資産税を得ていきながら公園全体をまわしていく。これが一番合理的な考え方だろうと」

市は当初、今回の補正予算案に利活用する事業者の公募に向けた手続きを盛り込む予定でしたが「丁寧に進める必要がある」として今年度の計上は見送りました。

【市と協議を重ねてきた住民 正木文雄さん】
「少し前進したかなと思いますけど、(住民の)一定の理解を得たという部分はちょっと違うなと感触をもっています」

【廿日市市・松本太郎 市長】
Q:来年春に公募手続きの予算を通すスケジュールありきではない?
「決してありきではありません。しっかり令和7年度の中で地元・関係者の皆さんの声をしっかり聞かせていただいて、準備期間をゆっくりととっていますので、その中で濃縮した時間にしていきたいと考えています」

包ヶ浦自然公園の利活用に関連する調査費などを盛り込んだ補正予算案は今月10日、開会する市議会に提案されます。

<スタジオ>

【五十川記者・取材メモ】
取材した五十川ディレクターによりますと当初の「高級宿泊施設」一択の公園の利活用案から「キャンプ場など」を含む案に修正されても、4日の説明会では「やはり高級宿泊施設ができるのでは」と心配の質問が飛び出した。
包ヶ浦自然公園の維持・管理に必要な財源確保を掲げる廿日市市と市の進め方に不信感を持つ反対住民との溝は修正案や話し合いを重ねても平行線の部分が未だに残る。