「厳戒アラート」続く広島カキ 大量死リスクにもがく生産者、冷凍拡充で活路を切り開く加工会社を追跡

9/21(月) 18:30

「ツイセキ」です。
今年は11月に出荷が始まる広島名産のカキ。
シーズンに向けた準備のさなか、大量死のリスクが高まっているとして、県は「厳戒アラート」を発表。
生産者と加工会社の模索の日々に迫りました。

呉市音戸町。
カキの生産者たちは、今シーズンの出荷に向けて、準備作業を進めています。
今シーズンは、猛暑の影響などにより、例年より1カ月ほど遅い11月2日以降の出荷開始です。

【丸十水産 古本祐輔さん】
「全然死んでいない。ほとんど死んでいない…」

中を開けてみるとすでに大きな身が入っていました。

【丸十水産 古本祐輔さん】
「順調ですね。身もぷくぷくなんで美味しそうですよね。もうすでに」

夏場に産卵しないよう品種改良された、身が痩せにくいカキです。
音戸町の丸十水産は、シーズン開始後、「オトノセ」というブランド名をつけて売り出しています。

その一方で、すぐ隣の筏は…。

【丸十水産 古本祐輔さん】
「ほとんど死んでいますね(あ、死んでいますか)死んでいますね。これ全部殻です」

夏場に産卵をする従来の品種は、およそ半分が口を開けて死んでいました。
丸十水産のカキは、全体でみると生育は順調ですが、同じ海のはずなのに一部の筏で、こうした「ばらつき」も見られます。

【丸十水産 古本祐輔さん】
「品種の違いもあるんですかね。分からないですよね」

水温の影響を受けにくい深い位置に吊るすなど手を尽くしているといいます。
しかし、長年の経験をもってしても分からないことが多く、抜本的な対策がとれないのが実情です。

【丸十水産 古本祐輔さん】
「去年9月の終わりぐらいに大量へい死が起こったのでなんとも言えないですけど、去年よりも海の状況もいいので今のところは期待しています。もう対策としては、いかだを去年より早めに移動したり水深を下げたりして色々やったので、もうあとは待つだけですかね」

県は現在、水温や身入りの状態などから、カキの大量死のリスクが極めて高まっているとして、呉湾などを含む3つの海域に3段階で最も高いレベルの「厳戒アラート」を出しています。
県は先週の時点で「顕著な大量死は確認されていない」としていますが、予断を許さない状況です。

こうした自然環境のリスクを受けにくい形で広島のカキを全国に届けていこうと新たな動きも…。
生産者からカキを仕入れ全国に出荷している広島市の水産加工会社「カネウ」です。
来年秋をめどに、今ある作業場の隣に増設を決めたのは、「冷凍カキ専用」の作業場です。

【カネウ 村田竜彦 専務】
「生鮮で出荷する時期は少しずつずれ込んできている中で、一方で冷凍への需要は年々格段に増えてきていますので、そのへんの対応を今後もっと強くしていきたいという思いです」

作業場は現在、昨シーズン、生育が回復したときに冷凍したカキの出荷作業で大忙しです。

【カネウ 村田竜彦 専務】
「この春先、2月~4月の一番おいしい時期のカキを冷凍したものです。見栄えは大きいほうがいいと思いますので、私はいつでもどんなときでも対応できるのが冷凍カキの強みだと思います」

昨シーズンは、大量死の影響で生産者からの入荷量が減り、カキを届けたくても届けることが難しい状況が続きました。
最新鋭の3Dの冷凍機を増やし、できるだけカキが手元にある状態にすることで年間を通して飲食店などからの要望にも応えやすくなります。

【カネウ 村田竜彦・ 専務】
「食べ比べたときに、どっちが冷凍カキ、こっちが生鮮のカキか分からないぐらい、それぐらい美味しい冷凍カキが作れます。今度の工場では(新たに)4台分ぐらいの規模の機械・設備を導入しようと思っています。それぐらいの需要は確実に現時点でもあるので」

カネウでは5年以内をめどに、冷凍品の取扱量を現在の4倍から5倍に引き上げたい考えです。

【カネウ 村田竜彦 専務】
「いつでも一番美味しいときのカキを食べてもらえるということが大切だと思っています。
それが広島のカキブランドを守る守っていくことにつながるとは思っています」