京都出身移住者が世界遺産と温泉の町・温泉津に作った無料シェア文庫「本と舎」が話題【広島発しまね情報】

9/14(月) 17:48

「ひろしま満点ママ!!」からおとなり島根県の情報をお届けします。大田市の温泉津温泉にできたちょっと変わった施設が注目を集めています。

広島市内から車で高速道路を使っておよそ2時間、大田市にある温泉津温泉は石見銀山の一角にある江戸から昭和までの建物が立ち並ぶノスタルジックな温泉街です。
そんな街で注目のスポットとは?

【西田杏優アナウンサー・本と舎 西田優花さん】
「さあ、少し奥まったところにやってきました。昔ながらの建物がここもずっと続いてるんですが、ちょっと見てください。本がたくさん並んでます。これは本屋さんなんですかね?あ、こんにちは。西田と申します。よろしくお願いします」
「私も西田と申します。よろしくお願いします」
「同じお名前ですか?」
「はい。私、下の名前は西田優花と申します」
「私は西田杏優と申します。遠い親戚かもしれないですね」
「そうですか、ははは」

若干の愛想笑いでしたが…ここは一体どんな場所なのでしょうか?

【西田アナ・西田優花さん】
「ここは本屋さんですか?」
「はい。ここはですね、シェア文庫『本と舎(あらか)』と申します」
「シェア文庫?シェア文庫って何ですか? 」
「はい。みんなで本を読んだり、この場を活用したりできる、そんな場所です」

無料のシェア文庫「本と舎」。去年6月にクラウドファンディングによってできた貸本の施設です。
早速、中に入ってみると…

【西田アナ・西田優花さん】
「すごい。本が本当にたくさんありますね。いろんな本がありそうですけど、これちなみに何冊くらいあるんですか?」
「もともと自分が持っていた本が約1000冊ぐらいあって、その後皆様の寄贈であったりとか、『あ、これは!』と思ったものをコレクションして、今や1200~1300冊になりました」
「すごい数ですね」

中でも、西田さん、イチオシのコーナーがこちら!

【西田アナ・西田優花さん】
「あら、なんかお勉強の本が多いですか?」
「と思うじゃないですか。実は全部、温泉津の地元の方々の本、つまりこの棚一つがその人の棚なんですね。自分の棚として自分の好きな本を並べてくれている」
「そういうことなんですか」
「例えばこの人、近江さん、住職さんですね。なので『聖☆お兄さん』があったり、仏教の本もあったりします。そして野球の監督もされてるから、『さよなら長嶋茂雄』、こういうのもあったりします。その人の半生が表れていたり、その人のやっていることが本を通してすごく透けて見えてくるんですね」
「他人の本棚を覗いている感覚ですよね」
「そうなんです。温泉津に住んでいると、なかなか人も減っていきますけど、本を通すとどこか趣味が同じ方と出会ったりできるわけです。そういう時に、例えばある人がこのノートにコメントを残してくれます」

こちらのノートには、本を読んだ人が棚主に向けて書いた感想がびっしり。まるで、交換日記のようなノートです。

【西田優花さん】
「自分と同じ趣味を持つ人が、こことは違うコミュニティにまたいらっしゃって、でもなんかどっかでつながってる気がするっていう、そういう心の接続のようなものを楽しんでもらえたらなって思ってたらまさにそれがここで起こっていて」

こちらの施設2階もあるので階段を上ってみます。

【西田アナ・西田優花さん】
「2階はこんな感じになっています」
「畳なんですね!」
「はい。ソファを置いて畳にしてちょっと静かな感じで本が読めるように。1階は縁側があったと思うんですけど、砂利が敷かれてあって、砂利があると足音がジャリジャリジャリとしてちょっとノイジーになる。あそこは会話をしたりしてもいいなと思って、あのような形にしてます」
「置かれてる本の種類の区別っていうのはあるんですか?」
「あります。全然違うんです。美術とかアート、写真、絵画、あとは詩、そういった本をラインナップしていて、いずれもかなり専門的なものが多いです。 一方で、あっち側はですね、工芸であったりとか、いわゆる郷土芸能とか伝統芸能とか分野を分けている」

「本と舎」をつくったきっかけは?

【西田アナ・西田優花さん】
「実はこの温泉津はもともと図書館が一つあったんですね。 あったんですが、それこそ昨年でしょうか、閉鎖が決まりまして。 で、それの時にちょうど私が本をキーコンテンツにした何か場作りができないかなということをぼんやりと考えていたんです。その時にちょうど聞いた話で、なかなか地元の方が気軽に行ける場所って実は少ないなということに気づいたんです。本をメインとしたコンテンツでもしたいし、地元の方が気軽に集まれるようにもしたい。そうすると本屋さんでもないし、じゃあ何か本をここでお金を払って借りるカフェでもない。そう思った時に、貸本屋さんをやろう、しかも無料でやろうと思ったんです」
「優花さんのお話の中に地元の方っていうワード結構出てきましたけど、優花さんもここのご出身ってことですか?」
「私はですね、実は京都府福知山市出身でして」
「京都なんですか?」
「そうなんです。しかもその後18歳から20年ほど東京に働きに出ていて」
「じゃあ縁もゆかりもない?」
「全くないのが、実は。 もともと石州和紙という島根県の伝統工芸品の調査の仕事に関わっていてですね、その帰りに温泉津温泉に入って帰るというふうな習慣があって、はまっていってしまったんです。温泉がとにかく良くてですね、 一ヶ月ぐらい滞在するようになっちゃって。そうすると、どんどんどんどんこの街の人の面白さとか温かさとか、この地域の人が当たり前にやっている暮らしの仕方にすごく憧れを抱くようになってきて、それでもう移住をしようって決めました」
「すごい素敵です」
「ありがとうございます」
「紙じゃなくてデジタルで本を読む時代じゃないですか。そういう中で、紙の本で人と地域が繋がっていくっていうのが、またそういう場所を作られてるっていうのも本当に素敵ですね」