【西日本豪雨から8年】「災害による死者をゼロにしたい」被災地の小学生が経験を生かして考えた防災バッグ

7/6(月) 17:38

「ツイセキ」です。
雨が降り続く中、授業を終えて自宅に帰る小学生…。

「このくらいの雨だったら平気かと思うけど、ひどくなったら不安に思う」
廣藤諒さん、11歳。
「笑顔で声かけてくれる優しい人が多い。この地域は好きですね」

そんな廣藤さんが暮らす坂町の小屋浦地区もいまから8年前、土石流によって街一帯が茶色い土砂に飲み込まれました。

Q:土砂でいっぱいだったのは信じられない?
「はい。いまは、土砂で覆われていたとは思えないほどきれいになっている」

災害当時3歳だった廣藤さん…。
あの日の記憶は鮮明でなく、数年後にお母さんから教えてもらったといいます。

「なんかここくらいまで水で浸かっていたと聞いた。お母さんに抱かれてあそこらへんで救命ボートに乗ったから、もし抱きかかえられてなかったら溺れて死んでいたかもしれない」

※被災後に撮影された写真、右側に写っているのが廣藤さんの自宅です。

2メートル近い高さまで泥水が流れ込んできたため、家族は2階に垂直避難しました。
当時をあまり覚えていない廣藤さんですが、このときの「ある経験」はいまも脳裏に刻まれています。

その時の思いを作文にしたためていました。

※作文
「母が災害前から防災バッグを用意してくれていたため、それを背負って2階にあがりました。しかし、防災バッグにはあまり食料は入っておらず、必要なものも揃っていませんでした。食べる物がなくて困っていた時、友達のお父さんがボートに乗って食べ物を家に届けに来てくれました。あの時食べた焼きそばの味は忘れられません」

廣藤さんはこの経験をもとに5年生になった去年、総合的な学習のリーダーに立候補。
クラスメートたちと取り組んだのが、「命をつなぐ防災セット」です。
11人で住民110人に話を聞き、災害時に必要なものを考えました。

「ラップを入れてみようかなと思って…。ラップを紙皿に敷いたら汚れてもラップを捨てるだけで良いし、箸とかにも巻けば汚れずに済む。新聞紙はいろんなことに使えて、例えばトイレとか詰まったらそこに敷いて、簡易トイレもあるがどちらでも使える」

避難所への避難と自宅での垂直避難、それぞれに必要なものをチェックリスト形式で記載したパンフレットをつくり学校のHPにも掲載して広く紹介しています。

6日朝、町内の自然災害伝承公園を訪れた、小屋浦小学校の全校児童およそ50人。
この地区で犠牲となった15人を悼み、花を手向けました。
そして場所を移して児童たちの前に立った廣藤さん。
当時の忘れられない記憶と、仲間と考えた防災セットの活動について書いた作文が坂町内で「特選」に選ばれ、きょう披露しました。

※作文
「僕は災害を経験して日頃の備えの重要性を知りました。これからは僕たちが考えた防災バッグを多くの人に知ってもらい、いつくるかわからない災害に備え日頃から準備しておくことの大切さを伝えていきたいです」

過去の教訓を胸にこの地が大好きな廣藤さんが願うのは、ただ1つでです。
「災害による死者をゼロにしたい」