「広島弁」に戸惑う外国人介護職員に強い味方「ひろしま方言ハンドブック」イラスト付で解説 広島市が作成

4/6(月) 18:51

広島に住む人にとってはなじみのある「広島弁」。その理解に悩んでいるのが外国からきた介護職員の人たちです。言葉の壁を解消するある取り組みに注目します。

【方言会話】
「はようようせんけえね。こういうことしよるんです。紙がありゃーこしらえてね」

※早くできないからね、こういうことをしているのです。紙があったら作ってね

広島市安佐北区の介護施設で働くロシダさん。
インドネシアから技能実習生として広島に来て3年が経ちます。
食べ物など文化の違いに戸惑う毎日ですが、中でも苦労しているのが施設を利用する人との「コミュニケーション」です。

【技能実習生・ロシダさん(22)】
「(日本に)来るときは普通の日本語を勉強しましたから。初めて来たときは、いろいろな広島弁を利用者から言われたけどわからなかった…。「ようけ」とか」

※ようけ=たくさん

「日本語」を来日する前から勉強していましたが、介護現場で実際に飛び交うのは「広島弁」。勉強したはずの標準語はほとんど聞こえてこず…

【利用者との会話】
「昔は花火ありました?」
「花火いうて、こうやって(※手で持つ格好)やりよったけど、そがーになかったようねえ。うちらがこまーときにゃー」

※(訳)花火といったら、こうやってやっていたけど、そんなになかったよね。私たちが小さい(子どもの)ときには

【ロシダさん】
Q:わからないところはあった?
「あります、いっぱいですね…。知らん、とかはわかるけど、ほかの言葉とかはすごいいっぱいわからない言葉あります」

※知らん=知らない

すべては聞き取れません。理解できた言葉と言葉を頭の中で繋ぎ合わせ、会話の内容をなんとか理解しようとしています。

【介護施設に勤めて6年・栗原優菜さん】
「じゃけえも来たばかりの外国人にとっては、そのつなぎ言葉がわからなかったりとか、たいぎい、てごうしてといわれたけど、どうしたらいいですかという質問はありました。会話の間に入って、外国から来たから広島弁がわからないというのを伝えながら、利用者さんに教えてもらいながらお話をしている」

※じゃけえ=だから
※たいぎい=面倒くさい、だるい、おっくうだ
※てごうする=手伝う

職員と利用者の会話が重要となってくる介護現場。
コミュニケーションに「方言」という壁が立ちはだかっている現実があります。

「こんばんは、晩御飯来ましたので」

介護現場の人手不足によって増加している外国人の介護職員。

日本語、というより広島弁への理解が求められる中、広島市が作製したのが「ひろしま方言ハンドブック」です。

動きや行動、気持ちや様子など介護現場で聞かれる68の単語と例文が場面を表すイラストとともにまとめられています。

【広島市 介護保険課・木原一行 課長】
「標準語を学んでこられた外国人が、いざ現場に行かれると方言に戸惑うケースが多いという話を聞いた。こうしたことから広島市では方言を学ぶ教材がつくれないかということでこの取り組みを行った」

ロシダさんもこのガイドブックを使って広島弁の勉強に励んでいます。
このガイドブック、見たり読んだりするだけではありません。

【音声】
「使いよったら杖の先がはーちびてしもうた。たちまちは。これでえーが、買い替えよーおもーたら、なんぼいるんかいね?」

※(訳)使っていたら杖の先がもうすり減ってきた(しまった)な。とりあえず(は)これでいいけど、買い替えようと思ったら、いくら(必要なの)ですか?

広島に暮らす人が読んだ生粋の広島弁を聞くこともできます。

【ロシダさん】
「めっちゃ助かりました。勉強になりましたし、イラストと例文があるからすごくわかりやすい」

広島市はこのハンドブックの効果に期待を膨らませます。

【広島市 介護保険課・木原一行 課長】
「このハンドブックを通じて外国人の方が少しでも介護の仕事を選択肢に入れていただければ、働きやすさにつながればいい」

対話が欠かせない介護現場。
このガイドブックが広島弁の壁に悩む外国人を「てごう」してくれるかもしれません。

※てごう=手伝う

■介護現場で外国人職員が増加

このハンドブックが作られた背景には人手不足が問題となっている介護現場でいま、外国人職員が増え続けているという実態があります。

厚労省の調査では介護職における「特定技能外国人」は2019年に受け入れを始めてから、右肩上がりとなっていて2024年12月末にはおよそ4万4000人と過去最高を更新しています。

■県内の介護施設で働く外国人は約4000人

「広島県医療福祉人材協会」によりますと技能実習生や特定技能外国人などすべて合わせると県内の介護施設で働く外国人は現在、およそ4000人ということで2019年ごろと比べその人数は8倍以上増えているそうなんです。
人材不足などから今後も増えていくと予想されています。

このハンドブックは介護現場の団体のほか県内の大学や地元の人など協力を得て制作されたものだということで、ぜひいろんな現場で活用されてほしいですね。