お母さん輝いてる!「大人の学び直し」で気づく人生の新たな可能性 夜の授業で学ぶ8割は30~40代

12/12(金) 18:59

今週は「ツイセキ特別WEEK」として受験や大学をテーマにお伝えしていますが、親世代も学ぶ時代に突入!ということで今注目されている「大人の学び直し」です。

■学生の8割は30代から40代

【鈴木記者】
「午後6時半すぎです。辺りはすっかり暗くなったんですが、こちらの講義室は電気がついていますね。仕事を終えた社会人の方々がペンを握っています」

県立広島大学の大学院で開かれている「ビジネススクール」。
県内の企業などで働く社会人が通っています。
学生の8割は30代から40代です。

■「自分が知っている世界はすごく狭かった」

【介護施設で理学療法士として働く学生】
「施設の中だけにいると見えてこないものが、外にでると見えてくるかなというのがあって…」

【ゼネコンで働く学生(30代)】
「物事が移り変わっていく中でそれ(これまでの学び)だけではこの先いきていけない(と感じる)」

【マンション管理会社で働く学生(30代)】
「ここから先まだ35年40年働くかもしれないけど、いま勉強しておいたらその40年くらい生かせる期間が長いなというのもあった」

日中は仕事に励み、夜や休日は学校で授業…。
家族の理解も必要でハードルが高いようにも感じますが、家庭内への良い影響もあるといいます。

【ゼネコンで働く学生(30代)】
「急に妻が資格の勉強をし始めたりとか、息子が小学生だがお父さんが大学院行き始めたから僕も勉強しなきゃいけないみたいなことを言ったりとか…」

■国が「学び直し」を支援

平均寿命の延びや技術革新の急速な進展などを背景に近年注目され、国も支援制度などで後押ししている大人の学び直し=リカレント教育。

【県立広島大学ビジネススクール(HBMS)江戸克栄・教授】
「特に理論や考え方も急激に進歩しているので、そこをアップデートしながら常に時代に追いついていく(ことが必要)。もう一つ大きい側面は人脈が広がるということ。お金の面はいま厚生労働省が出している教育訓練給付金というのがあるが、7割から8割くらい補助をしてくれている状況なので金銭的なハードルは下がっている」

■働きたい女性を応援

【胡子記者】
「説明会が始まりました。参加者と企業側が熱心に話を進めています」

広島市内でおととい開かれた企業と”働きたい女性限定”のマッチングイベント。
参加者の多くは30代から40代です。

【専業主婦(30代)】1歳半の子どもを持つ
「(子どもが)小さいうちから、ちょっとずつ、週に1とか週3でも、ちょっとずつキャリアを伸ばせていけたら」

【30代】3歳の子どもを持つ
「(子どもが)幼稚園に行き始めたので、自分的にも余裕が出てきたので、そういう時間を、幼稚園のお迎えいくまでの時間を、自分のために使いたいと思って、将来のステップアップというところで、就職したいと思って」

広島県では働きたい女性のおよそ6人に1人が育児や介護を理由に就職活動ができていない実態が明らかになっています。

県は問題解消のためキャリアプランの相談だけでなく、「デジタルスキル」つまりSNSマーケティングやウェブデザイン、AIやChatGPTなどを学べるプログラムを去年から参加費「無料」で行ってきました。

【広島県商工労働局人的資本経営促進課・三牧直美課長】
「デジタルスキルを学ぶことで、就職してからも場所を選ばない働き方とか、そういったことに取り組んでいただきやすいのかなと思いまして、今回のプログラムを実施しているところです」

■『うちのお母さん輝いているよね!』

参加企業からも女性の可能性に期待する声が聞かれました。

【櫟(くぬぎ)・兼田貴代会長】
「ひとりの女性には1つの可能性ではなく、たくさんの可能性を秘めていると思うので、子育てとか、家庭のために我慢するのではなく、昔はそれが美徳だったかもしれないけど、子どもたちからしても『うちのお母さん輝いているよね!』と誇りに思えるような人材がもっとたくさん、広島に増えてほしい」

実際に去年このプログラムに参加し、今回は企業側としてその体験を伝えるこちらの女性。専業主婦歴15年に不安を感じていましたが、このサポートを信じ未経験の業界に飛び込んだ1人です。

【社会保険労務士法人サトー・光延早恵さん】
「今いろんなシステムであったり、パソコンの技術もどんどん進んでいる中で、自分が役に立てるのだろうかというのがとても自信がなかった。何もない状態よりは1つ学びを得たことで、一歩踏み出したという気持ちが持てるのが一番大きかったと思います」

■スタジオ

参加した40代の女性は、「氷河期世代だったので就職活動に対してシビアなイメージしかなかったが、こうやって手助けしてくれる存在は本当にありがたいし参加して頑張ろうという気持ちになった」

「これまで家庭の都合でキャリアを中断することが多かったが、中断している間も自分のスキルを上げておくことで子どもが大きくなってから自分のために働いていけるかなと思って参加した」といった前向きな声がきかれた。

ーー早田さん、大人の学び直し、これからは本当に学び続ける、そんな時代になりそうでしょうか。

【コメンテーター:叡啓大学・早田吉伸教授】
新しい学びを得ていくっていうのは、地域にとっての企業にとっても、個人にとっても重要なんです。地域にとっては、人口減少の中で、産業を維持していくための基盤になっていきますし、企業にとってみれば、成長競争の優勢を保つための人的資本という言葉もありますが、投資の対象にもなりますし、個人にとっては、人生百年時代ですから、学び続けながらキャリアの選択肢を増やしていく。ある種、キャリアの安全装置ということにもなるんですね。

ーーまさに三方良しというふうに思いますが、未来への安心感にもつながる、そんな感じですね。

【コメンテーター:叡啓大学・早田吉伸教授】
なので、すべてのステークホルダーにとって重要なことになってくるので、これをどうやって、行政、企業、そして大学が連携しながら、この学びの場を作っていくかということが重要になってきます。

ますます、この学び直しの環境というのは、今後も整えられていきそうです。