「性的だ」「見ていて恥ずかしい」 全国で議論呼ぶ”裸婦像”撤去 時代の変化?芸術? 考える機会に… 

8/28(木) 20:30

広島駅の北口にある女性の像です。
駅前や公園などにあるこういった裸の女性をモチーフにした”裸婦像”を見かける方も多いのではないでしょうか。
その存在が今、議論を呼んでいます。

「あ、こちらですね。服を着ていない女の子の銅像が2体あります」

香川県高松市内の公園に2人の少女が向かい合って立つ像があります。
作品名は「女の子・二人」。
1989年ごろに設置されたといいます。
実は、今月末、この作品の撤去が決まっています。
その理由が…。

【高松市公園緑地課・岡田光信課長】
「少女の裸が刺激的では、という意見が多い」
Q:設置時は反対意見なかった?
「そうですね、その時の美術の流行だと思う」

昨今、”性的ではないか”という意見が寄せられていると言います。
小学生からは「見ていて恥ずかしくなる」との声もあり、公園のリニューアル工事に伴い、この場所からの撤去を決めました。
高松市はこの作品を別の場所への移設も含めて調整していくとしています。

撤去について作者は何を思うのか…?
94歳の彫刻家・阿部誠一さんが、取材に応じました。
瀬戸大橋の完成を記念して作られた今回の作品。

【彫刻家・阿部誠一さん】
「(作品は)海峡を挟んでお互いが呼びかけている。幼い子はどんどん成長していく、その地域が成長するということに引っかけている」

”性的である”などの理由から撤去されることについて聞くと…

【彫刻家・阿部誠一さん】
「残念、極めて残念です。裸を軽蔑してはいけません。女性の体を卑しいや恥ずかしいということには抗議したい」

こういった裸婦像は、広島にも多く存在しています。
広島駅のほか、平和大通りにも…裸婦像が街中に置かれるようになった経緯について、専門家はこう指摘します。

【亜細亜大学・高山陽子教授】
「戦前に政治家とか軍人の騎馬像が日本各地にいっぱいあった。そのあとに女性像が”平和の象徴”として使われるようになっていって、1970年代にパブリックアートを置くと街が文化的になるといわれて、その中で女性裸体像が増えていきました」

公共空間での裸婦像の捉え方が時代とともに変わってきています。

《スタジオ》
改めて裸婦像について亜細亜大学の高山陽子教授に聞くと、海外には公共空間にはこのような展示はほとんどないということです。

今回議論を呼んでいるということで、街にどんなアートを置くかを考える機会にするのが良いのではないかということです。

元々平和の象徴として使われるようになったという経緯もあるようですから、時代とともにね価値観も変わるわけですからね。

子供の頃に友達と公園に遊びに行った時に初めて裸婦像を目にして、ちょっと驚いたことを思い出しました。やはり時代の移り変わりとともに、見方も変わっているので、そのバランスをどう取っていくかというところですね。

受け取り方は人によって違うし、表現の自由をどのように確保していくかという議論にも繋がってきます。
まずはどういったものが良くて、どういうものが悪いのか、一概には言えません。深い議論が必要なのかなと感じました。