「ありがとう」遂にラストラン、アストラムライン6000系 最後の1日を野川アナ「てつたま」が総力取材

5/21(水) 20:30

てつたま。野川さんお願いします。

【野川アナ】
前回の放送でお伝えした通り、アストラムライン6000系の最後の運行日をチームてつたま、総力を挙げて密着取材しました。
それでは…出発進行!

月が沈み、空が白み始めた午前5時過ぎ…

《朝点呼》
「回送05041K。5時44分、18編成3A線からの出庫になります。
ただ今の時刻は5時11分、まもなく20秒になります」
「はい。本日30年の役目を終える6000系最後の旅です。30年走り続けたその思いを胸に、安全第一で誇りを持って送り出してあげましょう。いってらっしゃい」
「いってきます」

6000系の運行最終日…朝の一番列車のハンドルを握るのは、アストラムラインが開業した1994年に入社した中村さんです。

【広島高速交通乗務課・中村隆志さん】
Q:どんな気持ちですか?
「そうですね。今はまだ特別な思いは無いのですけど、いつも通り安全運行を心がけて、これから乗務してきたいと思います。で、終わった後ですね、次の乗務員に渡したあとに見送る時に、感謝の気持ちで見送りたいなという風に思います」

6000系は、広域公園前駅発、午前6時6分の運行に向け、車両基地を出発。
引退へのカウントダウンが始まりました。
6000系車両は1994年、広島市中心部と安佐南区を結ぶ新交通システム、アストラムラインに導入され、丸みを帯びた愛嬌のあるフォルムで広島市民から親しまれました。

【広島高速交通乗務課・中村隆志さん】「出発進行」

2020年には新型車両、7000系への更新が始まり、最後の1編成を残すのみとなっていました。
運行最終日は6000系最後の勇姿を見てもらおうと、ダイヤを事前にホームページで公開していたこともあって、沿線には朝早くから別れを惜しむファンの姿が見られました。

【専門学校生】
「アストラムラインは6000系だってイメージがあったんで、めちゃくちゃ悲しいです」
「幼い頃からずっとお世話になっている車両でもありますし、全部7000系になってしまうとなると、もう時代が変わっていくんだなという感じがしますね」

この日はどこに行っても、まるで6000系の撮影会。
特に人気の撮影スポットはこの状態です。
6000系が駆け抜ければ…ファンも走ります。

【中学生】
Q:なんで来ようと思った?
「ラストランなんで最後ぐらい写真に収めたいな。このあとはいろんなところ回って、14時ぐらいにアストラムラインまた撮ろうかな」

【野川アナ】
「毘沙門台駅の改札に来ております。この先、ちょっと上がったところにですね、町がまた広がっているんですが、駅からそこまで連絡通路が伸びてまして、眺めがいいということで、アストラムラインの撮影スポットになっていると。
階段も結構、登っていくので高さありますからね、相当いい写真が撮れるスポットですよ。
どうでしょう?いらっしゃいますね。
この6000系の最後の一日をしっかり収めようと、皆さん待っていますね。

【ファン】
Q:この場所を選んだ理由は?
「高い場所から撮影できる場所がアストラムライン中々ない。ここが一番よく取れる、昔から知っている場所でもあったし、私自身のお気に入りの場所でもあったので、ここを選びました」
Q:鉄道ファンの間では本当のラストランの列車に乗るか、撮るかって、こうね、究極の選択を迫られる時があるんですけども、どうしますか?
「本通駅で見送ります」

6000系が午前中の走行を終えたその頃…広島高速交通の車両基地でも、およそ31年間の感謝の気持ちを込め、送別会が開かれていました。
かつてアストラムラインで働いていたOB、さらには現役の社員たちも6000系に乗り込み、車内で別れの時を過ごします。

【野川アナ】
「今、私ですね、特別団体列車に乗車しています。『6000系18編成。こんな子だったよ』というエピソードをぜひ聞き出せればと」

雨の日も風の日も休むことなくおよそ31年間…市民の足として走り続けた6000系への思い出は、ファンとはまた違ったものがありました。

【退職まで車両の点検や修理を担当・坂本 耕三さん】
「一番はお客様が乗られてる時に冷房壊れたりとか、ドアが開かなくなったりとか、そういった時に応急処置してその場だけでも、ちょっとでもクーラーが効くようにするとか、営業電車に添乗をして修理してきたなとか、色んな思い出がありますね。改めて乗ってみると、すごくまだまだ元気で、もっと走れるねっていう感じがしました」

【広島高速交通乗務課・一色 宏泰さん】
「今思い返せば、(入社して)25年間の中でそういうトラブルを一緒に乗り越えてきたかなっていう感覚があって、この電車に自分は育てられたのかなと思いますね」

Q:開業時から支えてきた6000系の引退に立ち会う、どんな思いをお持ちですか?
【広島高速交通・政氏昭夫社長】
「この6000系については社員の色んな思いが詰まっているですよね。社員が企画して、こういうラストランに向けた取り組みを進めるのは、とても嬉しいですね」

6000系はこの後も夕方まで運行を続け、最後の運行の前には出発式が行われました。
本通駅、午後6時発…これが最後の運行です。
記念のセレモニーには、アストラムラインを運行する広島高速交通の社員の人たちの6000系への熱い思いがあふれています。
駅のホームには入りきれないほどのファンが集まり、そしてまもなく、定刻の午後6時を迎えます。

【田川浩司駅長】「出発!」

【ファン】「ありがとーう!」

本通駅に集まったファンのうち、およそ290人が、6000系最後の運行に乗り込み、車内は超満員。沿線の至る場所でファンが、6000系最後の雄姿を目に焼き付けます。
終点までの37分間はあっという間に過ぎ去り、定刻の午後6時37分、6000系は最後の旅路を終え、広域公園前駅へ到着。
その役割を終えました。

【ファン】
Q:ラストランいかがでしたか?
「僕が小学校低学年のころから何十年乗ってきたものなので、寂しい思いもありますし、またどこかで会えたらいいなという期待感もある」

すべての運行を終えた6000系18編成。
導入からすでに30年以上…まだ走れると感じさせる車体もよく見ると時の経過を隠すことができません。
【最終運転を担当 広島高速交通・金谷征治さん・野川アナ】
Q:ラストラン運転されながらどんなことを感じましたか?
「17時22分に到着した時点でホームが真っ黒になってるっていうか、もう人の熱気に溢れいた。もう本当、どう言ったらいいんですかね?もう感謝の気持ち。こんなに多くの人が見守ってくれてる。特に子供さんがすごく見てくれてるってのは嬉しかったですね。6000系、ありがとう。最後まで見送ってくれた皆様に感謝。この一言ですね」

6000系の引退でアストラムラインは新型7000系へ完全に世代交代しました。

しかし…

「ありがとう」
「ありがとう」
「ありがとう。6000系」
「30年もの長い間」
「お疲れ様」
「これまで本当にありがとう」
「感謝しきれないものがある」
「あとは後輩に託してゆっくりしてください」
「ありがとう。お疲れ様」

広島市民から親しまれた6000系はファンの心の中でこれからも生き続けます。