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「夜間中学」は今 目標に向かって懸命に生きる…”学びの原点” 

10/1(木)  19:11 掲載

戦争による混乱や貧困などの理由で義務教育を終えられなかった人の学び直しの場として夜間中学というものがあります。しかし時代を経てその需要に変化が生まれてきています。夜間中学の今を取材しました。

陽も沈み始める午後5時。人気のなくなった校舎の一角で授業がまだ行われています。

【教師と生徒】
「今日はどうしたんですか?いつもより遅い」「仕事がね」「長かった?」

ここは、全国でもめずらしい公立の夜間中学です。戦後の経済的な理由などで学校に通えなかった人たちのために1953年に開校しましたが最近ある変化が起きています。

【授業】
「立ちます」「オッケー、立ちます」

母国で義務教育を終えずに来日する外国人が増えていて観音中学校でも21人の生徒のうち20人が外国人です。しかし、夜間中学は、日本語だけを教える語学学校ではありません。中学卒業レベルの学習内容だけでなく日本独特のこんな慣習も・・・

【授業】
「8時に集合してください。ジョユウは何時に集合しますか?」「7時55分」「グッジョブ」

日本語のレベルによってクラス分けされていますが、その中に2人だけのクラスで授業を受けている少年がいました。

サプコタ・ナビン君、17歳。去年、ネパールから来日し現在夜間中学の2年生です。一年前は全く話せなかった日本語でしたが現在は漢字も書けるまでになりました。

【ナビン君】
「初めは不安だった。今は慣れてきたから大丈夫。皆優しいし、聞いたこと全部答えてくれる」

ネパールで生まれたナビン君は4人家族。父親のラビラルさんが原爆から復興した広島の姿に感銘を受け12年前に一人で日本に来日しカレー屋で働き始めました。去年、ラビラルさんが日本の永住権をとったため家族皆で住むことに。妹のムナさんは中学入学前の12歳だったため広島市内の公立中学校に通えましたがナビン君は15歳で入学できませんでした。

【ラビラルさん】
「日本の法律知らなくてあの時は。15歳過ぎてる外国人の子供は簡単に中学校入れない」

ナビン君は当初、学校に入学出来ないと知り、ネパールに帰りたいと口にしていたと言います。しかし夜間中学の存在がナビン君を変えてくれました。

【ナビン君】
「助かったと思った最初は。そんな学校があってよかった」

【ラビラルさん】
「良かったそういう学校があって。外国人皆助かるそういう学校は」

しかし、学校だけでは中々皆に追いつけません。昼間は家で勉強。祝日だったこの日はムナさんと一緒に二人で宿題です。

【勉強】
「一番社会を頑張ってる。とても難しい。全部漢字ばっかりで」「全部日本の歴史だから難しい侍とか色んなこと」「お兄ちゃんが分からないことは私が分かる。私が分からないことはお兄ちゃんが分かる。だから一緒に勉強したら全部分かる」

異国で暮らしていくこと…。ラビラルさんは二人には同じ苦労を味わってほしくないという思いがあります。

【父親のラビラルさん】
「勉強したかったけど仕事行かないといけなくて時間がなかった」「ひらがなカタカナは書けるけど漢字がちょっと難しい。書き方が分からない」(そういうこともあってナビン君たちには勉強してもらいたい?)「そうですね。きつく言って勉強させてます」

大変だった経験があるからこそ二人には今、日本の学校でしっかり学んでほしいと願っています。

文部科学省は各都道府県に1校は夜間中学が設置されるよう自治体に促していますが、夜間中学は現在10都道府県34校にとどまっています。外国人労働者の受け入れ拡大を図る改正出入国管理法が去年施行され、より多くの外国人が来日することなどからその生活の基盤を作ることは急務となっています。

【観音中学校・川本尚樹校長】
「日本で就労する。日本に入国して経済的な自立を果たしながら日本の社会で生活をしていく生徒が増えてくると思うのでますますこの夜間学級の重要性は高まっていくと思う。日本で学ぼうとする子供たちは国籍を問わずとにかく幅広く受け入れをして日本で経済的な自立。精神的な自立がはかれるように学習面でのサポート、生活面でのサポートを含めて取り組んでいきたい」

かつてネパールに帰りたいと言っていたナビン君。今、新たな目標ができました。

【ナビン君】
「(将来は)コンピュータープログラマーになりたい。(行きたい)高校はまだ決めてないけど3年生になってから決めようと思う」

高校受験に挑戦することにしたのです。

年齢も国籍も関係なくそれぞれの目標に向かって勉強に励む夜間中学。学びの原点がそこにはありました。

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