子育てアドバイス

Vol.4 携帯電話との付き合い方

質問:子どもに携帯電話を持たせるかどうか迷っています。
答えてくれたのは、鈴峯女子短期大学准教授 倉盛美穂子さん

 小学校高学年になると一人で行動する機会が増え、子どもに携帯電話を持たせることを考える親御さんも多いようです。しかし急速に進化し複雑化していく携帯電話を前にすると、その付き合い方に不安を感じずにはいられません。情報化社会の良い面を最大限利用できる土台づくりについて、鈴峯女子短期大学准教授の倉盛美穂子さんに聞きました。

■親が「持たせる」携帯と、子が「持ちたがる」携帯
 小学生高学年の携帯電話所有率は、都市部で約5割という結果が報告されています。
 地域によって差はあるとは思いますが、所有率が年々高まっていることは間違いありません。子ども専用の電話を所有していなくても、親や兄弟の電話を臨時的に持つ経験がある子どもは多いでしょう。現代の子どもたちは、生まれたときから携帯電話やインターネットなどさまざまな情報機器が身近にあります。子どもがぐずった場合に、母親が子どもに携帯でキャラクター画像を見せたり、音楽を聞かせたりする光景は珍しくありません。情報機器の急速な普及という社会的な背景とともに、親が子どもと携帯電話との接触機会を増やしている側面も見えてきます。
 子どもが携帯電話を所有している状況は、主に2つのケースがあると考えます。(1)子どもの身の安全を守るために、連絡道具として親が「持たせる」場合。そして(2)子どもがゲームなどをしたくて「持ちたがる」場合。(1)では、「塾の帰りに電話してね」「出かけるときには連絡して」など、携帯電話の使い方やルールを子どもと話し合います。しかし、エンターテインメント機能が目当ての場合、使い方やルールは子ども任せになりがち。使い方を知らないまま使い始め、携帯電話から見ず知らずの人と簡単につながりを持ってしまったり、有害情報のアクセスや高額請求、個人情報の漏えいといったトラブルに巻き込まれる可能性もあります。このように、携帯電話を所有する状況が異なると、その後の使い方、付き合い方も変わってきます。


■急速に進化、複雑化する携帯電話との付き合い方
 携帯電話はうまく活用すればとても便利ですし、かかわりを持たずに生きていくことは現実的ではありません。携帯電話に触れずに生活していくことは、もはや難しいといえます。それならば、携帯電話のメリットを適正に有効に活用できる力(メディアリテラシー)を身につける必要があると考えます。
 大人がそのお手本となることが理想ですが、メディア環境の変化に追いつくだけで精いっぱいだったり、進化の早さに追いつけない状況もあります。分からないなりに使えてしまうほど、使いやすく開発されているのも現状です。だからこそ、親と子が一緒にメディアとどう付き合っていくかを考える機会が必要でしょう。
 皆さんはお子さんが就学する前、一緒に通学路を歩かれたと思います。通学時の安全を守るために危険な場所を教え、どうすればよいのかを話し合ったのではないでしょうか。携帯電話を使う時も同じように、事前にリスクを伝え、使い方を確認してみてください。リスクを知ることで、やっていいことと悪いことを判断して行動できるようになります。

■社会的なルールを学ぶ児童期
 携帯電話では、相手にダイレクトに連絡をとることができます。かつて固定電話しかなかった時代、相手の家の食事時間を考えて電話をかける時間を調整したり、家族に挨拶をして呼び出してもらったり、不在の場合は内容を伝えて伝言を頼んでいたりしました。そういった経験によって、相手を思いやる気持ち、交渉する力や思いを伝える力が自然と育まれていたんですね。
 携帯電話は連絡手段としてとても便利ですが、連絡がとれない人とは人間関係そのものがストップしてしまうこともあります。うまくつながる人としかつながらないような人間関係では、交渉や約束をする経験が少なくなり、“耐性” が育ちにくいと心配されています。社会的なルールを学ぶ小学生の時期から、携帯電話との付き合い方を意識する必要があるかもしれません。

■メディアリテラシーは継続して磨くもの
 子どもが携帯電話を持つ時こそ、親子でメディアリテラシーを身につけるチャンスです。「どう使ったらいいと思う?」「なぜ必要なの?」と問いかけてみてください。使っていく中で問題が起こったとき、随時話し合うことも必要です。
 携帯電話をいつ持たせるべきか、持たせる場合の注意点などは、生活スタイルや各家庭の考え方によって異なります。複雑な情報化社会の中で、大人でさえ自己管理していくのは難しいといえます。親子でルールを考えて、困ったことがあればその都度ルールを変えていくといいでしょう。メディアリテラシーはいったん身に付ければ大丈夫なのではなく、環境の変化に対応して磨いていくもの。ぜひ親子で一緒に取り組んでみてください。

倉盛美穂子 鈴峯女子短期大学保育学科准教授。博士(心理学)、臨床発達心理士。
専門分野は臨床発達心理学、教育心理学、保育カウンセリング等。保育士養成校で勤務するかたわら、保育所・幼稚園・施設の先生方と連携しながら乳幼児期・児童期の社会性の発達メカニズムや保育環境・学習環境に関する研究を行っている。

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