8月5日に、アイダホ大学のスコット・グリーン学長と同大学の関係者および学生代表3名が、被爆地にあるテレビ新広島(TSS)を表敬訪問した。
TSSでは、平和関連ニュースや被爆証言などを若い世代の人たちと共に英訳し、世界へ向けて発信していくTSSアーカイブプロジェクトの関連企画「次世代継承プロジェクト」を実施しており、2024年1月から、アイダホ大学がこの企画を大学の日本語プログラムの公式教材として採用。日本語を学ぶ学生20名が2作品を英訳した。このたび、教材のひとつとなった、「元広島市長・浜井信三さんの被爆証言」の作品上映と浜井信三さんの著書の研究発表を行うため、原爆の日に合わせて学生代表3名が来広し、広島県内2か所で成果を発表した。
発表会の発端は、被爆者・小倉桂子さんが、2年前にアイダホ大学で被爆証言をしたことである。小倉さんは学生に、自身の被爆体験を描いた紙芝居を英訳し、地元の子供たちへの伝承を依頼。学生たちはその約束を成し遂げ、今年、後輩たちが、この伝承活動を引き継いだ。
研究発表会「Passing the Torch of Peace ヒロシマを忘れない」は、長年広島で食品を通じて人々に幸せを届けてきたバッケンモーツアルトが趣旨に賛同して実現した。8月5日に広島国際会議場内バッケンモーツアルトカフェで開催し、8月7日には宮島・大聖院でも関連イベントを開催。会場では、国内外の来場者が真剣な表情で英語字幕付きの被爆証言映像を視聴し、学生たちの研究発表やゲストの被爆者・小倉桂子さん、浜井順三さん(浜井信三さんのご長男)の話に熱心に耳を傾けていた。
アイダホ大学 学生による研究発表の様子
左から、カルヴィン・データーさん、チャドウィック・グッダルさん、パーカー・ハンセンさん
宮島・大聖院での研究発表の様子
【アイダホ大学 スコット・グリーン学長】
スコット・グリーン学長は、「学生たちは今回の研究と広島に来ることで、被爆の実相を次世代に伝える重要性を学んだ。私たちは、今、非常に危険な時代にいる。広島に来て原爆の影響を見れば、核兵器を使うという選択肢は絶対になく、二度とこのようなことがあってはいけないと強く思う。」と感想を述べた。
【アイダホ大学】
1889年創立。米国アイダホ州北西部に位置する州立の研究型総合大学。州内トップの研究機関として地元の雇用や経済に大きく貢献している。多様な視点、革新的で創造的な考え方を育くむことに重点を置き、学部生および大学院生を対象に200以上の専攻科目を提供している。モスコー市のメインキャンパスの他、州内各地にキャンパスと研究施設を備えている。