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『在米被爆者・据石和江さん被爆証言』

被爆地・広島の放送局 テレビ新広島(TSS)が、長崎大学と共同で米国広島・長崎原爆被爆者協会 元会長の据石和江(すえいし かずえ)さんの被爆証言動画を制作。2024年1月31日(水)からTSSアーカイブプロジェクト公式サイトで世界に向けて配信する。2022年度からスタートした「次世代継承プロジェクト」は、若い世代の人たちとともに被爆証言や平和関連ニュースの英訳をし、次世代に被爆の実相を継承していく企画で、広島大学平和センター(川野ゼミ)、アメリカ・アイダホ大学に続き、今回が3回目の実施となる。

【被爆者・据石和江(すえいし かずえ)さん プロフィール(1927-2017)】

米国広島・長崎原爆被爆者協会の元会長。1927年アメリカ・カリフォルニア州パサデナ生まれ。

生後9カ月で日本に帰国し、18歳の時、爆心地から2.2キロメートルのところにある広島市西区南観音町で被爆。戦後渡米し、1970年代から医療保険に加入できない在米被爆者のための被爆者検診の実現に尽力した。ロサンゼルスを中心に、40年以上にわたり子供たちへ核兵器の惨禍を伝える平和特別授業を行い、日本の外務省から委嘱された「非核特使」として国連の被爆証言イベントで証言するなど、世界に向けて核廃絶の重要性を訴え続けた。愛称は「かずママ」。

【制作協力】

長崎大学核兵器廃絶研究センター
センター長・教授 吉田文彦(よしだ ふみひこ)

据石さんの人生体験を通して、アメリカ国籍を持つ被爆者のことについて多くの日本人、世界の方にもっと知ってもらえたらと思います。原爆を投下した国の国民であり、同時に被爆者であるという現実は、想像を超えるような重荷であったかと拝察します。また、据石さんの語りが、核兵器の使用が人間に何をもたらすのかという問題を、国境を越えた新たな視点から考えるきっかけとなってくれればと願っています。

《プロフィール》

主に核戦略と核軍縮の関係、核兵器が使用されるリスクを減らす方法について調査研究を行っている。

長崎大学大学院多文化社会学研究科博士前期課程
核軍縮・不拡散科目群 黒崎寛子(くろさき ひろこ)

据石さんの活動を多くの方に知って頂けるプロジェクトに携われたことを嬉しく思います。

今回の共同制作から、据石さんをはじめとする在米被爆者が、原爆投下国と被爆国との狭間で生きたことの苦難を改めて実感しました。在米被爆者の全体像を理解することは難しいです。しかし、この難しさこそが、彼らの苦悩を代弁しています。

私は据石さんの生涯を通して、在米・在外被爆者は、核兵器が無差別兵器であることを強く示す存在であると感じました。大量殺りく兵器が使用されれば、人種、国籍、信仰、貧富の差に関わらず全ての命が奪われてしまう。人間は決して核兵器と共存できません。だからこそ、核兵器は廃絶されなければならないのだと思います。

最後に、据石さんのスピーチには「戦争はいかなる問題でも解決策にはならない。解決策にしてはいけない」との強い思いが込められています。私は据石さんの考えから「憎しみ合うのではなく、互いを尊重し、愛をもって接する。そうすれば平和は必ず訪れる。」ということを学びました。彼女が残したメッセージが皆さんのもとへも届くことを願っています。

【翻 訳】

レイチェル・ニコルソン

据石さんの証言と平和活動よりも、「人生はこれからだ」「諦めたら何の意味もない」と当たり前のように前向きな発言をする彼女の力強い姿に感動いたしました。想像を絶するほどのつらい思いをしながらも、相手に憎しみを抱かず、次世代教育や医療ケアの提供に尽力し、愛情を込めて平和の種を丁寧に蒔いてきました。
「戦争は好き?」と子供に質問する据石さん。世界で戦争が激化する今こそ、もう一度その誰でも「ノー」と答えるはずの質問に込めた意味をよく考えるべきです。

【取材・監修】

若木憲子(わかき のりこ)

先輩から引き継いで、「かずママ(据石さんの愛称)」の取材を始めたのは15年近く前になります。初めてお会いした時から、とっても気さくで、聞いたことには何でも正面から受け止めて答えてくれる、そして、時々、冗談を交える、チャーミングな方でした。被爆体験を語るときも、相手が外交官であろうが、小学生であろうが、同じように「私たちが最後の被爆者でなければならない」という思いを、小柄な体で、力いっぱい訴えられていた姿が鮮明に記憶に残っています。「私は数少ないアメリカ人被爆者だ」とおっしゃっていたかずママ。かずママの蒔いた「平和の種」を実らせる努力を続けなければいけない、と被爆地で取材する記者として実感しています。

《プロフィール》

入社当初から報道記者として報道制作に関わる。FNN海外特派員として2010年~2013年までアメリカ・ニューヨークでの取材を経験した後、『TSSスーパーニュースFNN』のメインキャスターとして活躍。現在は記者として行政取材を行うほか、企画デスクとして地域情報やタレントを起用した企画などを独自の切り口で伝える。

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