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後世につなぐ 朱のシンボル ~よみがえる宮島大鳥居 3年半の記録~

2023年1月2日(月) 午前7時~7時30分
【再放送】2023年1月10日(火) 深夜0時55分~1時25分

3年半におよぶ修復を経て、2022年12月によみがえった世界文化遺産・厳島神社のシンボル「大鳥居」。この70年ぶりとなる“令和の大修復”には、全国からのべ1万人もの職人たちが集結した。

2019年に始まった修復工事。当初1年半だった予定期間は、工事が始まるとシロアリによる深刻な被害が判明し、終了時期は未定に。鳥居を支える主柱部分は大きな空洞になっていた。

棟梁として宮大工の統括を務めた村瀬好之さん(54)は「想像を超えるぐらい傷みが大きかった。これは大変だ」と話した。それでも熟練の職人たちの知恵と技術で、前例を見ない修復工事は進められた。文化財継承のために伝統技術を駆使し、課題となった耐震補強にはあらゆる最新技術も導入された。

修復に携わったのは熟練の職人だけではない。一宮祐衣さん(26)は、その若さで鳥居の見た目にも大きく関わる朱色の塗装を任され、現場のリーダーとして後輩たちをまとめた。地道で体力勝負の修復現場だが、一宮さんは「過去から受け継がれてきた建造物を次世代に残していけることは誇りに思う」と、真摯に向き合い続けた。

歴史の価値を理解して元の美しい姿に戻していく修復作業。いまを生きる職人たちが過去に、未来に、馳せる思いとは。番組では修復の過程をテレビ初公開の映像を交えて公開。歴史に残る職人たちの3年半を記録した。

【胡子美佳ディレクター(テレビ新広島報道部)コメント】

いくつもの大きな壁を乗り越えながらようやく完成した大鳥居ですが、その裏には、技術だけでなく「匠の熱意」があったからこそ成し遂げられた修復だと、取材を通して感じました。一番印象的だったのは宮大工の方が、「補修というのは外から見た人がわからないようにするのが職人の腕。元々の鳥居が戻ってきたと思ってもらえたら嬉しい」と言っていたことです。広島のシンボルを大切に思い、後世に残すために尽力した人たちの姿をたくさんの人に知ってもらい、宮島を訪れた際に、大鳥居を見て少しでも職人たちの姿に思いを馳せていただければと思います。

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