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被爆75年TSS報道特別番組「誰がための放影研」

8月6日(木) 午前9時50分~10時45分

《再放送》 8月8日(土)午前4時~4時55分

放射線影響研究所 外観

広島市内を一望する比治山にその施設はある。放射線影響研究所、通称「放影研」。放射線が人体に及ぼす影響などを調査する、日米共同の研究機関だ。

被爆者の平均年齢が83歳を超える現在、放影研がたどってきた歴史を知る人は少なくなっている。その前身は、1947年にアメリカが設立した「原爆傷害調査委員会」。略称の「ABCC」と呼ばれてきた。アメリカは原爆を実戦で使用する前から、放射線が人体に影響を与えることを把握していた。そして広島・長崎に原爆を投下後、その兵器の長期的な影響調査を行うために設けたのがABCCだったのだ。

ここでは被爆者の検診や遺体の病理解剖が行われ、膨大な数の血液や尿のサンプルが収集された。しかし、被爆者が望んだ“治療”は行われなかった。ABCCが被爆者をいわば「モルモット」として扱ったことは、ヒロシマの人々に大きな怒りと悲しみを与えることになった。

生後8カ月の時に広島市内で被爆した近藤紘子さん(75)もその一人。中学生の時、強引にABCCに連れていかれ、下着一枚の姿で検査をされた。屈辱的な経験を忘れることはできないが、現在の放影研に思うことは…。

番組では、ABCCの検査によって心に深い傷を負った被爆者や、放影研で働く研究員、放影研の最高意思決定機関のアメリカ側のトップを取材。放影研は誰のために、何のために存在したのか。被爆者を70年以上見つめてきたこの研究機関の過去から現在までの歩みを振り返るとともに、これからのあり方について考える。

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