医師が考案 人気漫画「はたらく細胞」とコラボ 小児がん患者にエールを送るゲームを開発 広島大学病院

4/7(火) 17:47

広島大学病院の医師が、人気漫画とコラボして病気と闘う子供たちにエールを送る新たなゲームを開発しました。
世界で初めて作られたというそのソフトとは?

7日、広島大学病院で開かれた記者会見。
【広島大学病院小児外科・佐伯勇医師】
「理想的には子供たちにプレーしてもらって、がんをやっつけてもらう体験をしてほしい。
このキャラクターを生かすことができれば、小児がんの子供たちに非常にわかりやすく体のことを伝えることができる」

発表されたのは人気漫画「はたらく細胞」の協力を得て、小児がん患者向けに開発された治療支援用のVRソフトです。
VR=仮想現実で、子供たちはキャラクターと一緒にクイズ形式で体の仕組みを学びながら細菌やがん細胞と戦うなど、ゲームの主人公になった気分を味わえます。
この企画を立ち上げストーリーも自ら作ったのが、小児外科医の佐伯勇医師。
ゲーム開発の『きっかけ』は?

さかのぼること3年前。
小児外科医として治療にあたる一方、プライベートでは大のゲーム好きという佐伯医師。
好きが講じて医療現場にもVR技術を取り入れてきました。

「体重の変化とかはありましたか?」
「体重は最近変わらないですよ」

こちらは、医師と患者とのやり取りを想定した診察シミュレーションソフト。
佐伯医師の考案で2021年、コロナ禍で人の接触が限られる中、医師の育成に役立てようと制作されたものです。
こういった経験を小児がんの子供たちに生かしたいと考えるようになりました。

中国・四国地方で唯一の小児がん拠点病院広島大学病院。
ここでは多くの子供たちが治療を受けています。
小児がんは15歳未満で発症するがんで、白血病や脳腫瘍など症状は様々です。
国内では毎年2000人以上の患者が確認されています。

【佐伯勇医師(2023年当時)】
「治療が大人より厳しいの一言に尽きるかなと思います。子供のがんの治療は、がんをこの時点で完全にやっつけてしまわないともう次がないという考え方になるので、抗がん剤の量もスパンもものすごく成人よりきつい量ということになって、そういった苦しい治療に耐えなくてはならない」

子供たちは長期の入院生活を余儀なくされ、学校に通えずに院内学級で学ぶ日々が続きます。
体の負担だけでなく心のケアも課題となる中、佐伯医師は子供たちを励ますVRゲームの制作を計画。
会見で寄付を呼びかけました。

【広島大学病院小児外科・佐伯勇医師】
「このプロジェクトで、がんの子供たちに笑顔を届けていけるそういった未来があったらいいなと僕は思っています」

すると1500万円を超える善意が集まったのです。
そして、ゲームの製作が進む中、アニメの声優も制作に協力。
こうして、本格的なゲームが完成しました。

「はたらく細胞のゲームでございます」
「やったぁ」

この日、子供たちが完成したゲームを初めて体験しました。
小学3年生の篤人くんは足のがん「骨肉腫」と闘い去年退院し、今は、定期的に通院しています。

「音でも難しい」
「正解」
「おー素晴らしいね」

【篤人君(8)】
「ちょっと難しかったけど楽しかった。本当に働く細胞のアニメみたいに身体の中に入っているみたいですごかったです」

【篤人君のお母さん】
「この薬を使ったことにより、元気な細胞をどう補っていくのかという流れもちゃんと子供にもわかりやすく、私たちにもわかりやすく書かれていたので改めて勉強になりました」

【広島大学病院小児外科・佐伯勇医師】
「すごい頑張って戦ってくれて楽しそうにしてくれているのがうれしかったし、本当に僕が伝えたいなって思っていることを無理せず自然に吸収してくれてるんじゃないかと思ってそれを見ていてうれしかった。全国の子供たちにこれをプレイしてもらいたいなと思っています」

病気と闘ってきた2人の子どもたちがゲームを体験し、楽しみながら知識も身に着けていました。
今後は、全国に15ある小児がん拠点病院へ活用を広げる予定で、臨床研究も進め患者の心や体への効果を検証していく方針です。

【広島大学病院小児外科・佐伯勇医師】
「実際に体験してもらってこれはよかったと思っていますので、全国の子供たちにこれをプレイしてもらいたいと思っています」
■■■ メモ ■■■

さてこちらの言葉ご存じでしょうか。
【デジタルメディシン】。
実はアメリカではすでにパニック障害などの治療薬としてVRゲームが処方されているそうなんです。
今回の広島大学病院の取り組みは、日本初の「デジタルメディシン」にという思いも載せて研究を進めていくということです。