大和ミュージアム休館でも宿泊客増加の呉市 “艦娘”の『艦隊これくしょん』で 過去最高稼働率のホテルも

9/22(月) 18:34

多くの観光客でにぎわいをみせていた広島県呉市の大和ミュージアムが今年2月に休館してからも、呉市への観光客は好調だといいます。
その背景にはあるイベントが関係していました。

<大和ミュージアム休館前最後の営業日>

【大和ミュージアム・戸高一成館長】
「こんなに新しくなった、内容も本当に面白くなったという館にしたいと思って1年間作業をさせていただきます。本当にどうもありがとうございました」

今年2月、設備の更新や展示の魅力向上のため、およそ1年間の休館に入った呉市の大和ミュージアム。
昨年度はおよそ72万人が訪れるなど呉市の観光を支える施設です。

そんなミュージアムの休館で最も心配されたのは宿泊事業者への影響ですが、市の観光振興課は…。

【呉市 観光振興課・瀧川雅子 課長】
「かなりの観光客が減るのではないかと危惧をしていたが、予想数以上の方に来て楽しんでいただいていることが分かって、ほっとしている」

呉市が市内5施設の宿泊施設におこなった調査によりますと、ミュージアム休館後の3月から7月の宿泊者数はあわせて4万5272人と、前の年の同じ時期に比べて9%増加しているといいます。

ミュージアム休館で新たにオープンした、仮展示室「大和ミュージアムサテライト」への来館者が順調に伸びていて、8月末までにおよそ13万4000人が来館。

当初の年度目標を達成していることも功を奏しているといいますが、8月はそれまでを上回るペースで予約が入っていたといいます。

一体、ナゼ…?。

【呉市 観光振興課・瀧川雅子 課長】
「一つは観光振興課の方で、マイクレの『とくとくキャンペーン』をやって、5000円のクーポンを差し上げているので、その効果も多少出ているのではないかと思いますし、あとは『艦これ』のイベントも今月されているということで、そういった効果が大きいと思っている」

「艦隊これくしょん」通称「艦これ」実在の軍艦をキャラクター化した「艦娘(かんむす)」を集めて育成しながら敵と戦う人気オンラインゲームです。

実はこの夏、ミュージアム休館中の呉市を支援しようと、様々なコラボイベントが行われていました。

中でも市立美術館で開催された公式『艦これ』展は大人気で、週末には『提督』と呼ばれるファンが朝から長蛇の列を作っていました。

【訪れたファンは】
Q:どちらから
「群馬県からです。6月に来ていて、その時はこういうイベントをやっていなかったので、ただ単に来たいなと思っていたんですけど、また8月にイベントをやると聞いて、改めて来た」
「埼玉県から来ました。呉市は8回目です。『艦これ』だけじゃなくて呉市のファンなので、食べ物がおいしい、景色がきれい、地元の方が親切、言うことないじゃないですか」

主催者によりますと『艦これ』展を訪れた人はおよそ1万5000人。
過去に美術館で開いたイベントでもトップクラスに多い来館者数だといいます。

さらにコラボイベントはホテルでも…。

<コラボイベントの様子>
「お待たせしました。こちらゼロ戦スカッシュと瑞雲スカッシュになります」

こちらのホテルではゲームに登場する航空機「ゼロ戦」と「瑞雲」をイメージしたコラボドリンクを提供しました。

【クレイトンベイホテル・熊高英樹 副支配人】
「過去に例を見ないぐらい宿泊の予約が入ってきて、稼働率も過去最高を記録しているところ。(ミュージアムが)休館となると、観光のお客様がどうかなという心配があったんですけど、それ以上に『艦これ』のユーザー『提督』さまが、呉にお越しいただいているので、例年以上に呉市全体が盛り上がっているところ」

『艦これ効果』で予想外の盛り上がりを見せた呉市。
市はこうした取り組みをミュージアム改修後まで続けたいとしています。

【呉市 観光振興課・瀧川雅子課長】
「過ごしていただく方は増えているので、大和ミュージアムがリニューアルした後も、一極集中になるのではなくて、ほかの観光資源にも目を向けて、新たな発見というのをしていただく流れを今年度で止めることの無いように、さらに相乗効果を狙っていくことが出来ればと思っている」