ピン芸人の日本一を決める大会「Ｒ－１ぐらんぷり」で２０１３年に優勝した三浦マイルドさん。
日本一のピン芸人となった三浦さんは、今、江田島市で暮らしています。

※散らかった室内
【三浦マイルドさん】
「うわーこれをやめてくれと言っている。食べるのはいいけど食べるんだったら１個丸々食べきって、食べきれなかったら冷蔵庫に戻して」

【母】「うん」

母は一日にアイスクリームを何個も食べ続けてしまいます。
以前とは別人のようになりました。
この日も、言うことは聞いてくれません。

【三浦マイルドさん】
「正直腹が立ちますけど怒ってもしょうがない。怒って食べてくれるなら何度でも怒ります。余計心を閉ざしてしまう」

認知症と言っても症状は様々です。
一緒に暮らすようになってその進行の速さを実感します。

【三浦マイルドさん】
「認知症は、ものすごく嫌がったり風呂に入れようとしたら拒絶したり、偏食になる症状がある。母はそれがひどい。冷蔵庫にハーゲンダッツが５、６個あるようにしている。それ以上置いたら全部食べてしまう。あったらあっただけ食べちゃう。こまめに毎日買いに行かないといけない。よくこんな面倒くさいことをしている毎日毎日」

面倒くさいと言いながらアイスを買うのが日課になりました。

今後、三浦さんのように多くの人が認知症という現実に直面する日が迫っています。

厚生労働省は２０４０年に６５歳以上の高齢者の３人に１人は認知症か、もしくはそれに近い症状が出ると予測しています。
離れて暮らす親が認知症になったとき、家族は、住む場所や仕事など難しい決断を迫られることになります。

母子家庭で育った一人息子の三浦さん。
幼い頃、お笑いコンビのダウンタウンの魅力に心を奪われました。
母の介護と東京での仕事、そのはざまで心は揺れ動きます。

【三浦マイルドさん】
「戻ってきたときは負けて戻ってきた。東京の街で売れることができなかった」

お笑いの道を極めるため、人生をかけて挑んだ東京。
その街に、三浦さんの姿がありました。

【三浦マイルドさん】
「芸人が副業。本業はＸで暴言をはく。レギュラーはＹａｈｏｏ！ニュース」

【芸人】
「ゴディバの列が軍隊みたいに並んでいて…」

【三浦マイルドさん】
「刺激をもらえます。皆おもしろい。ここで切磋琢磨して成長できた部分がすごくある。ここでやれていることはうらやましい。母親の体が悪くなる前に東京で成功できていたら呼んで一緒にここで生活する道も、もしかしたらあったのかな」

東京にいる間、母の介護はヘルパーさんに任せています。
しかし、心配がつきることはありません。
三浦さんは家にカメラを置いて、いつでも母の様子を見られるようにしています。

【三浦マイルドさん】
「転んだりして自分で起き上がれない状況になっていたら怖いな東京や他県の仕事は今後少なくしていこうかな」

番組では超高齢化社会に生きる三浦さんを通して認知症の親を介護する現実を映し出しています。

番組の制作陣のコメントです。
取材を担当した高橋ディレクターは、

認知症の人を介護する家族を取材していると、救いを求める多くの人たちと出会いました。「腹が立つことばかり…５０年連れ添った妻への愛情がなくなったかもしれない」「夫婦で一緒に死にたいと思った」と話す人がいます。葛藤を抱えながら介護をする人たちの声を聞いてほしいです。

ＴＳＳライクの総合演出で今回のドキュメンタリー番組の企画と構成を担当した田中プロデューサーは、

２０２５年の今年、いわゆる「団塊の世代」はすべて７５歳以上となり、かつて経験したことない超高齢化社会に突入しました。その時、家族は…、社会は…、「親」をどう支えていくのか・・・多くの人が直面する現実です。”老いゆく”ニッポン社会に翻弄されながらも「笑い」を追い求める彼の日常から、大切なことは何なのか、考えるきっかけになればと思います。

ドキュメンタリー番組「笑いと償いマイルド故郷に帰る～認知症の母が教えてくれたこと～」はＴＳＳ開局５０周年記念番組として５月３１日午前１０時２５分から放送です。ぜひご覧ください。