ミュージカル『RENT』でマーク役を務める俳優・鈴木福さんに突撃インタビュー!

1996年の初演以来、ブロードウェイで12年4ヶ月のロングランを記録し、世界40ヶ国以上で各国語版が上演されるなど、世界中で愛され続けるミュージカル『RENT』。日本でも度々再演が重ねられてきた名作の広島・呉公演が決定し、マーク役を演じる鈴木 福さんに、作品への熱い思いを伺いました。
>>>『RENT』への出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
本当にたくさんの方に愛されていて、歴代ものすごく素敵な俳優さんたちによって演じてこられた作品なので、この役を受け継ぐことができてすごくうれしいです。特に東宝のミュージカルで、重要な役をやらせていただけるので、すごくうれしかったです。
>>>『RENT』のオーディションを受けようと思った理由は?
「ミュージカルをやりたい!」という気持ちが、もともとすごく強くありました。『RENT』という作品についても知っていましたし、特に日本語版初演でマークを演じられた山本耕史さんにはずっとお世話になっていて、耕史さんから『RENT』への思いも聞いていましたので、「自分もいつか絶対にやりたい!」と思っていました。
>>>鈴木さんが感じる『RENT』の魅力とは?
一日一日を大切に、今日という日を精一杯生きることへのエネルギーでしょうか。登場人物たちは、夢に向かって、やりたいことに向かって、どう生きていきたいかを模索しながら、精一杯生きています。そんな魅力的なキャラクターたちが、素敵な音楽によって紡がれていく。1990年代に描かれた作品で、当時と今で社会情勢が変わっていても、その核にある本質は変わらない。何年経っても色褪せていません。それが愛され続けている理由だと感じています。
>>>初めて『RENT』に触れた時、どのように感じましたか?
いろんな人が、大小あるけれど、いろんなものを抱えて生きていて、一人ひとり違う。それぞれが生きている世界の中で、自分がどう生きていきたいのか。そこに情熱を注いで生きている人たちの力強さをすごく感じました。何かに情熱を燃やして、一生懸命今を生きている人というのは魅力的だなと感じました。
>>>鈴木さんが演じるマークには、どんな魅力を感じていますか?
映像作家志望のマークは、家賃(レント)も払えないような生活をしていますが、すごく野心や熱意を持っている人物です。周囲の人々や日々の出来事に影響されて、ものすごく揺れ動きながらも、自分はどう生きていくのかを模索し続ける。その姿がすごく人間味にあふれていて、魅力的だと感じています。個性豊かなキャラクターが多い作品ですが、その中でもマークは一番親しみを持っていただける人物なのかなとも思っています。だからこそ、観客の皆さんにもマークに自分自身を重ねていただけるように演じたいと考えています。
>>>役づくりのために、何かされていることはありますか?
歌のレッスンを今一生懸命にやっています。あとは、ニューヨークのイーストビレッジに行って、街並みを見たり、ライフカフェの跡地に足を運んだり、本場ブロードウェイでミュージカルを観たりしました。イーストビレッジもきれいになっていて、『RENT』で描かれている当時と今とでは全然違っています。そこに対する感覚は少し違うと思いながらも、舞台装置や映画で見たような景色を目の前で見ることができました。そういう経験によって、自分の中で作品の空間のイメージが広がったと思います。
>>>『RENT』では、貧困・エイズなど重いテーマも描かれます。それを届ける「音楽の力」について、どう感じていますか?
多種多様な音楽ジャンルでありながら、一貫性を持って物語を進めていく音楽構成になっているのが、すごいと思います。メッセージ性が強く、かつセンシティブ。言葉として強い歌詞もたくさんあるので、そのあたりを皆さんがどう受け取ってくださるのか、改めて楽しみなところでもあります。
>>>マークが歌う曲で、特に印象に残っているナンバーは?
マークは、この物語のナレーション役、語り役のような面もあるので、そういった曲もありますし、マーク自身の思いが吐露される曲もありますし、自分と周囲の関係を歌う曲もあります。演じる上で楽しみな曲はたくさんありますが、ボヘミアンな生活、芸術家として生きていく決意を歌ったナンバーもすごく印象的です。
>>>カンパニーの皆さんと、どんな舞台をつくっていきたいですか?
稽古はこれからで、まだ皆さんにお会いしていないので分からない部分もありますが、個性豊かな方々が揃っていると思います。お芝居の経験が豊富な方もいれば、歌うことをメインに活動されている方もいる。『RENT』の経験という意味では僕は初めてですが、以前の公演に出演されている方もたくさんいらっしゃいます。こうした皆さんの中で2026年版の『RENT』が生まれる雰囲気をキャッチして、その中にしっかり入り込んで、みんなでその輪を広げていけたらいいなと思っています。
>>>歴代の素晴らしいキャストから作品を受け継ぐことへのプレッシャーは?
これまでの皆さんが素晴らしかったからこそ、また再演を重ねてきた作品だと思います。そこで「ちょっと残念だったね」とは言わせられないので、プレッシャーも感じています。ただ、僕がやれば僕のマークになると思います。それを楽しみにしながら、『RENT』の世界観をしっかり自分の中に入れ込んで、表現できたらいいなと思っています。
>>>『RENT』を象徴する「No day but today」という言葉があります。「過去もない、未来もない。今日という日を精一杯生きる」というメッセージは、 今の鈴木さん自身と重なる部分がありますか?
自分に重ねるのであれば、この1年ぐらい、今と未来について考える時間がすごく増えていると実感しています。未来の自分をイメージしながら、そのために今、自分が何をすべきかを考える。ただ漠然と未来ばかりを追いかけて、今の自分が自分として生きることができていなければ本末転倒だし、そんな人生で終えたくないという思いもあります。未来のための今であり、今をどう生きていくかでその先も変わるし、今という人生の満足度も上がると思う。そこはすごく重要なテーマですし、今の僕にすごくぴったりだなと思います。
>>>どんな方にこの作品を観てほしいですか?
『RENT』ファンの方はもちろん、楽曲やキャストの皆さんに惹かれている方々ですね。今生きることに対して少し不満があったり、何がしたいのか、どう生きていくべきなのか迷ったり、悩んでいる人には、一度観てほしいと思います。
>>>『RENT』を通して、一番お客様に伝えたいことは何でしょうか?
まだ台本をもらったばかりで、それをここで言い切れるほど稽古も進んでいないですし、今の段階で「これです」と言い切ってしまうのはちょっと違うかなと思っています。今はまだ言葉にはできないですけど、これから僕が演じる上で出てくるものを大切にしたい。とにかく観て、感じ取ってもらえるように。そういった思いを自分の中でつくって、初日に臨みたいと思います。
>>>最後に、広島で公演できることについてはいかがですか?
うれしいですね。最近は、鈴木 福といえば、広島カープファンと言っていただけるようになりました。僕は「一番広島県民に近い、何のゆかりもない東京人」だと思っています(笑)。広島の皆さんもすごく近しい存在だと感じてくださっていると思います。皆さん親戚だと思って見に来てくれるんじゃないかと思っています。この広島公演、劇場まで見に来ていただけたらうれしいです。

