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『blast ブラスト!』来日公演にあたって、パーカッショニストの石川 直さんにインタビュー!

『blast ブラスト!』来日公演にあたって、パーカッショニストの石川 直さんにインタビュー!

2000年に日本人初の「ブラスト!」入団を果たし、2003年の初来日公演以降、来日公演を牽引してきた石川 直さんにインタビュー! 5年ぶりの来日公演への意気込みを熱く語ってくれました。

(2024/03/09)

>>>魅せる音楽集団「ブラスト!」は、どんなカンパニーなのでしょうか。

「ブラスト!」のルーツは、アメリカ南北戦争時代のドラム・コー。軍隊の情報伝達手段であった打楽器や金管楽器、手旗信号などを大胆にショーアップしたエンターテインメントです。カンパニーの前身は「ドラム・コー・インターナショナル」1991年世界チャンピオンで、ジェームス・メイソンの演出により、1999年にロンドンのアポロシアターで初演。2001年にブロードウェイに進出。トニー賞(最優秀スペシャル・シアトリカル・イベント賞)とエミー賞(最優秀振付賞)の2冠に輝き、全米ツアーを成功させました。日本初上陸は2003年夏。過去12回の来日(880公演)で130万人以上を動員しています。

4人の日本人キャスト(パーカッションの僕、トランペットの米所裕夢と渋田華暖、ビジュアル・アンサンブルの丹澤里穂菜)以外は、全員アメリカ人。全米オーディションを勝ち抜いた総勢34人の精鋭パフォーマーが、60種類以上の楽器や色とりどりの旗やバトンを駆使して、視覚と聴覚を刺激する迫力のステージを繰り広げます。

>>>130万人以上を感動させた魅力について教えてください。

『blast ブラスト!』は、ステージを見に来てくださるお客様にとっても、演じている僕らにとっても、楽しいお祭り。立場が変わっても楽しい時空間を共有できる「究極のホームパーティ」なんです。シーンごとにテーマカラーがあり、お客様を視覚と聴覚で刺激することも特長です。たとえば、青はブルース、黒は打楽器のバトル、赤は激しい情熱の演奏…。クラシック・ジャズ・ブルース・ロック・ラテン・テクノ…、様々なジャンルの音楽を、常識では考えられない動きの中で魅せていきます。「光と音の融合が誘う、エモーショナル・ジャーニー」というキャッチコピーがありますが、僕らにとっては「音楽とスポーツの融合」でもあります。それぐらいアクロバットな動きをしながら、音を合わせていくのです。

ドラムに関して言えば、殺陣をやるように、スティックを手に立ち回るシーンもあります。展開が早いので「気づいたら終わっている」「2時間に思えない」という声をよく頂戴しますし、それが楽しんでいただいた証拠だと思っています。あと、休憩時間のロビーパフォーマンスや、終演後のキャストとのミート&グリートも他では体験できない特長かと。カーテンコールの後、僕たちキャストが客席の通路を通ってそのままロビーへ出向き、お客様と交流しながらお見送りをするんです。このように舞台と客席の垣根を取り払ったパフォーマンスは、世界のエンターテインメントの中でも珍しいと思います。

>>>2019年の来日公演のとき、最後の出演になると伺っていましたが…。

僕の「ブラスト!」入団が2000年だったので、前回の来日公演でちょうど20年。これを1つの節目と捉え、前回のツアーを最後にキャストとしては身を引くつもりでいたのですが、このたび光栄なことに再度『blast ブラスト!』への出演オファーをいただき、引き受けさせていただくことにしました。コロナ禍で公演が難しくなり、「ブラスト!」がなくなるかもしれないという噂もあった中、このたびの来日公演と出演の話を聞いて、シンプルに嬉しかったです。この感謝すべき機会に、明るい未来に向けた力強いパフォーマンスをお届けしたいし、今の自分にできる最高の挑戦をしたいと思っています。

>>>石川さんにとって『blast ブラスト!』はどんな存在でしょうか?

ライフワークそのものですね。僕がパーカッションを始めたのは15歳のときですが、中学~高校時代にのめり込んだことを今もずっと続けられていることは光栄であり幸運。そして、それを生業にできていることは、とても幸せなことだと思っています。ふりかえれば、僕と「ブラスト!」との出会いは、大学時代。僕がドラム・コーの世界大会で優勝した頃、「ブラスト!」発足時のパーカッション・ディレクターに、「これからこういう舞台をつくるんだけれど…」と、オーディションに誘ってもらったのがきっかけです。学生だったので、学業に専念したい旨を伝えると、「卒業後に興味があれば是非連絡を!」と名刺をくれて、卒業時に連絡をしたら、第2期キャスト募集のタイミングで、今に至ります。

それが今では「ブラスト!」のスタッフ&キャストの中でも最年長だったりします。主要スタッフも僕のあとに入ってきたメンバーばかり。かつて僕の弟や妹だった距離感の人たちが軸になってカンパニーを回しているので、ファミリー感が強いし、一緒にできるのは楽しいです。僕も最年長スタッフとして、カラダのケアの仕方などの知識をメンバーに伝えたいと思っています。立場が違うと観点が違うし、言葉の壁がある中、どれだけ相手に効率よく思いを伝えるか。長年の経験でコミュニケーション力も培われたと思っています。

>>>今回は、おふたりの日本人キャストが新たに入団されたそうですね。

トランペットの渋田華暖さんと、ビジュアル・アンサンブルの丹澤里穂菜さんです。今年の新人は2人とも、過去に『blast ブラスト!』を見て、人生の目標を決めたという筋金入りの“ブラスト!チルドレン"です。憧れの「ブラスト!」の一員になれるなんてと喜んでいるようですが、僕を見たら「まだコイツがいるの!?」とびっくりするかもしれませんね。ともあれ、それぞれ高校時代に全国大会で優勝したり、全国トップレベルを経験している人たちなので、期待しています。もう一人の日本人キャスト、最年少(19歳)で入団したトランペットの米所裕夢さんも、気がつけば32歳。器用でどんなジャンルの音楽も吹けるし、何が起きてもなんとかする力を持っている。今では頼りになる仲間です。

「ブラスト!」のメンバーは、公演のたびに3分の1残って、3分の2入れ替わる感じ。メンバーは変わっても、キャストのバックグラウンドは一緒。わかりやすく言えば、「全員、甲子園経験者!」みたいなトップレベルばかりなので、安心しています。あと、音楽教育に携わっている人が多いのも特長です。パフォーマーであり、クリエイターであり、指導者であるプロ集団なんです。新人たちもそんな先輩たちの教えのもと成長し、ファミリーになっていくし、そんなメンバーが寝食をともにしてリハーサルを重ねて、ステージを作り上げていくわけです。今回もどんな化学反応が起きるか、とても楽しみです。

>>>最後に、広島の皆様へのメッセージをお願いします。

吹奏楽やマーチングをやっている小学生や中学生、高校生や大学生はもちろん、セミプロやプロの方も、『blast ブラスト!』を体験して、音楽や表現の自由を感じて欲しい。そして、音楽を全くやっていない人も、是非見に来てもらいたいです。『blast ブラスト!』は、音楽のサーカスのようなもの。音楽の知識ゼロでも楽しめるエンターテイメントです。夏祭りに行くのに誰も勉強しないのと一緒。気軽に見に来て十分に楽しめるステージです。アメリカでは、親子3代で楽しめるエンターテイメントと言われています。家族と、友達と、恋人と、みんなで見に来てください。

『blast ブラスト!』公演は5年ぶりですが、オリジナル作品は10年ぶりです。2016年、17年、19年はディズニーバージョンだったので、トニー賞とエミー賞を受賞したオリジナル作品を見たことがない人もたくさんいるはず。なんでもリモートでできる時代ですが、この機会に劇場まで出向いていただき、リアルエンターテインメントを体感してもらいたいと思っています。

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