TSSテレビ新広島

2001年5月度 TSS番組審議会報告

とき:2001年5月29日(火)午前11時から

ところ:テレビ新広島会議室

議題

  1. <西ブロック4局共同制作番組>
    「感動恩返しバラエティー あなたのために働きたい!」について
  2. 映像のモザイク加工について

審議に先立ち事務局から4月のBROの活動、青少年委員会に寄せられた意見、またTSSの視聴者対応が526件であったことなどを報告した。

(1)「感動恩返しバラエティー あなたのために働きたい!」について
平成13年5月20日(日)16時05分~17時20分 放送

  • 前半(女性3人)と後半(少年)があまりにも違うのに驚かされた。「同じ現代の若者でもこれだけ違う」ということが言いたかったのかと思った。
  • 恩返しをバラエティーにしてしまってよいものだろうか。「恩返し」とは人に見せびらかすものでも、他人にお膳立てしてもらってやるものでもないだろう。
  • 「バラエティー」というタイトルは制作者の逃げでずるい。制作者の意図が見えない。
  • 後半の少年は素材として良いものをもっており、むしろドキュメンタリーでふだんの生活を見せた方がよかった。
  • 前、後半のギャップは構成としては良かった。
  • 少年がどうしてこんなにも立派で、素直に感謝の気持ちをもてるのか不思議だったが、大きな不幸(阪神大震災)を体験しそれを乗り越えてきたことで、他人を思いやる気持ちを自然に身に付けたのだと思った。
  • スタジオ部分でタレントが「母に電話をしようと思った」「働くことの意味を考えさせられた」と言っていたのは自然なコメントではないか。自分も同じことを考えた。
  • 前半の3人はプロフィールがよく見えない。自分の意志で働こうとしているようには思えなかった。なぜ泣いているのかよくわからない。感動が伝わらない。後半との落差が大きかった。後半の少年によって番組全体が救われた。
  • 前半の3人の途中の働いているシーンが少なかった。もっとしごかれている部分があればよかった。3人それぞれ普通の子で、やさしさも持っていることがわかったが、そこまでのそれぞれの葛藤が見たかった。
  • 少年の社長への本当の恩返しは「1日も早く一人前になる」ことではないか。勤めをしながらアルバイトをして「恩返し」ということに疑問をもった。ゆがんだ「恩返し」で変な感動を呼んでいるような気がした。

制作を担当した川上伸一プロデューサーは「恩返し」をバラエティーにすることへの疑問はあったが、リストラがあったり、定職につかない若者が多い時代に「働くことの喜び」を描き、伝えたかったと、制作意図を述べた。

(2)映像のモザイク加工について

  • 映像は真実を写し、伝えるためにあるのであり、それにモザイクをかけること自体おかしい。影響が大きいことはわかるが、結果を意識しすぎて多くなりすぎている。
  • モザイクをかけることを前提にした勝手な発言が多すぎる。
  • マスコミにとって情報源をどこまで隠すかということは重要な問題。ケースごとに現場で判断していくしかない。そのためには作り手側の意識の向上が必要。
  • 撮る人も、出す人も安易過ぎる。覚悟と責任をもって欲しい。
  • TVにリスクは宿命。裁判の結果を恐れ、いたずらに自粛すべきでない。

会社側からは「撮る側が考えて撮る必要がある」「きれいな映像を出すための努力が必要」などの発言があり、活発に意見を交換した。

出席者は以下のとおり
岸田俊輔(委員長)、上野淳次(副委員長)、蔵本順子、福島光宏、末長昌子、原口倫子、 村上栄一、元廣和弘

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