手術せず性別変更認める高裁決定 専門家は「非常に良い決定」手術受けた人は「議論が活発になれば嬉しい」

7/10(水) 19:10

性器の見た目を変える手術をしなかった人が戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事裁判で、広島高裁は10日、性別の変更を認める決定を出しました。

改めて今回の裁判のポイントを見ていきましょう。まず性別の変更を認める要件はこの性同一性障害特例法におきまして、このような要件があります。
1) 18歳以上。
2) 結婚していない。
3) 未成年の子どもがいない。
4) 生殖腺がない・生殖機能を永続的に欠く。
5) 変更後の性別に性器が似た見た目を持つ

4番と5番、これは事実上手術が必要な条件となってくるわけです。

この4番についてはですね既に去年、最高裁が違憲という判断を出しています。ただ、今回の裁判この5番がポイントになりました。10日、広島高裁はホルモン療法で体の各部に女性化が認められている。それに対して自分の意に反した手術か、性別を変更するのを諦めるか、この二者択一を迫るのは、憲法に違反する疑いがあると判断をしたわけなんです。

一方でこの規定そのものに関しては、公衆浴場などで生じる混乱を回避する目的があるなどとして、正当性があると、この部分は認めているというわけなんです。

この今回の決定について専門家や当事者に受け止めを聞きました。

今回の決定についてセクシュアリティーなどについて研究している広島修道大学の河口教授は。

【広島修道大学 河口 和也 教授】
「申立人にとっては日々の暮らしに直結する問題なので、この度の決定と言うのは意味があるし、本人にとっても非常に良い決定だったと思う。今回はこの方の個別の状況が認められたということだが、すべての人に一様に判断が下るまではいってないかなという風には思います。問題を克服していって、より望ましい社会の在り方とか、当事者にとって生きやすい社会の在り方というのを考えていく、これにはすごく時間がかかることだと思います」

一方で、性別適合手術を受けたうえで、男性から女性に性別変更した当事者は複雑な胸の内を話します。

【県内に住む性別適合手術を受けた30~40代】
「身体的な疾患などで手術がどうしてもできないんだという方もいらっしゃるし、実際手術はかなりきついので、この当事者の個別の決定に関してはOKだと思う。(一方で)一律で誰でも性別適合手術を受けなくても性別が変更できますよという状況なのはどうなのかなと思っています。何か下心がある方が性別を変更するということが考えられなくもない。手術できるけれども手術なしで変更したほうが楽だよね。という考え方で多くの人が性別を変更することになってしまうと、周囲からのコンセンサス。まわりからの理解がなかなか得られない状況になってしまうかもしれない。そのあたりは皆さんに良識ある判断を各自でしてもらいたいという思いがある。これをきっかけに議論が活発になったら嬉しいなと思います」

<スタジオ>
性の問題、木村さん、例えばこれはアスリートの世界でも、この男性の体を持ったけれども女性の性自認の方がどちらの種目に出るのか、この辺り本当に世の中として考えていかなきゃいけない問題ですね。

【コメンテーター:木村文子さん】
(女子100mハードル元日本代表・エディオン女子陸上部アドバイサー)
「本当にいろんなケースで、いろんな考え方を持った方がいらっしゃると思いますので、その当事者一人一人に合わせたものを考えていく必要があるかなというふうに感じます」

今回はあくまでもこちらの方、個別の決定が出たということなんですけれども、どのようになっていくのか、世の中ますます変わっていきそうです。