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新しい精米技術が日本酒に新風【後編】米を平らに削る感動の酒「真吟」 東広島市・サタケ

6/24(金)  18:37 掲載

広島から新しいジャンルの日本酒が誕生しようとしています。開発を支えたのは多くの困難を乗り越えてきた広島の酒作りの技と新たな技術でした。その【後編】です。

(今田美穂さん)
「吟醸酒の次に来るものは何なのかというのは、実は日本酒業界の長い間の結構大きなテーマだった」

そんな日本酒業界に一石を投じたのが、佐竹利市が創業したサタケでした。
その技術の発見は偶然でした。

(サタケ プラント営業部・新山伸昭 酒米専任部長)
「新しい材質の砥石でテストをしたところ、思いもしなかった平たくなる米が出て来て、我々も初めて目にしました」

通常、米は丸い形に精米されます。平らに薄く米を削る技術は「扁平精米」と言われ、酒作りに有効であることは以前から分かっていました。

(サタケ 先行技術本部・川上晃司 副本部長)
酒にした時に香りが乗らないなどあるのでたんぱく質をともかく取りたい。たんぱく質自体は米の内部まであるので、丸く削っていってもなかなか減ってこないという事がありました」

しかし、生産性に問題があり、長年、業界では実用化は不可能な技術とされてきました。

(サタケ・川上晃司さん)
「今までの精米機で平たく削ろうと思えば、(精米機の)回転数をゆっくりにして削らなければならない。時間はいっぱいかかるけども思ったような形にならないという、なかなか実用化が難しいという技術でした」

開発は何度も壁にぶつかります。

(サタケ・川上晃司さん)
Q:何が難しかった?
「米を削る時にロール(砥石)で削るのですが、どうしても米に強い力を与えたいとすると、米に強い力を与えると米自体が動いてしまって、そうなると米はどんどん丸く削られる」

「精米機の中で米がどのように動いているのか」目で見ることはできません。これまでの経験から推測するしかないのです。
これを「見える化」しようという技術者が現れます。精米チームの橋本悠希さん。コンピュータ上で精米機の中の米の動きを再現することに成功します。

(サタケ 技術本部ブランドグループ・橋本悠希 主務)
「開発者の思っていたことが実際にコンピュータ上で起こっていたことが分かった。逆に今まで自分がこうだろうと思っていたことと違うことが実際起こっていて、新しい発見が今回これで生まれた」

新たな技術が開発を前に進めました。

(サタケ・橋本悠希さん)
「経験と勘というのはひとりひとりが自分の心の中にあるので、みんな意見が違うんですけど、このシュミレーションを見ることによって1つの方向に進める。この結果だからこうやっていけばいいというのがより明確になったので、よりチームとして動きやすくなった」

開発を始めて4年後、新型精米機は完成しました。

(サタケ・川上晃司さん)
「今まで見たこともないような平べったさ、米の輝き。こんなことも出来るのかなというのが率直な気持ちでした」
Q:早く酒にして欲しい?
「そこも大いにあります」

(サタケ・新山伸昭さん)
「そういった形状に(米を)磨くことがいいのは分かっていた。ところが我々の業界の精米機の技術ではそれが難しくてできなかった。それが出来たじゃないかと」

サタケは「扁平精米」に由来する技術、米、酒を総称して「真吟」と名付けました。
しかし、酒蔵の反応は決して芳しいものではありませんでした。

(サタケ・新山伸昭さん)
「大多数のお客は理解はしてくれたが、その米を使って酒を造ろうとは思わなかった。このままこの技術を眠らせてしまう可能性もあると思ったのであせりはしました」

その時、ある酒蔵が名乗りを上げます。三浦仙三郎の故郷、東広島市安芸津町の今田酒造。
社長で杜氏の今田美穂さん。日本酒の現状に行き詰まりを感じていました。

(今田美穂さん)
「吟醸酒の次に来るものは何なのかというのは、実は日本酒業界の長い間の結構大きなテーマだった」

日本酒の新しいジャンルを作れるかもしれない。今田さんは出来たばかりの真吟の酒米で酒を造ります。今から4年前のことでした。

(今田美穂さん)
「出来た酒もすごくよかった。これは全然違うものだな確かに(と感じた)。今までの60%精米で作った酒の味と(真吟精米は)明らかに違っていたので、これはすごく面白い技術だと思った」

(サタケ・新山伸昭さん)
「女性や若者が好む、今流行りの酒というと語弊があるかもしれないが、そういった酒が出てきた」
Q:これまでは全く違う?
「そうですね。なかなか業界にはなかった。本当に最先端の味だったと思います。それが大きな潮目になったと思います」

今、新たなジャンルの酒作りに多くの杜氏たちが挑戦を始めています。

(藤井酒造・藤井義大さん)
「いわゆる純米大吟醸とか純米吟醸という概念自体がなくなる可能性も含んでいる」
Q:真吟【精米】というブランドができる可能性は?
「十分に考えられると思います」
(三輪酒造・三輪裕治さん)
「歴史に残る。真吟精米はひとつのポイントになるのは間違いないと思う」

(今田美穂さん)
「広島の底力ですよ。困難を技術で乗り越えてきたという広島の原動力というか。それを培ってくれた先輩たちが、活を入れた。お前らそんなぐじぐじ言ってないで、技術というのはいつも発展して新しい世界を作っていくものなのだ、何やってんだと言われたような」

125年前、三浦仙三郎と佐竹利市たちが起こした奇跡。
今、利市の遺徳を継ぐ者たちが磨いた米で仙三郎の思いを継承する杜氏たちが酒を醸す。
広島の酒蔵から新しい日本酒が生まれようとしています。

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