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肥料ショック! どうなる食卓への影響 肥料の値上げで野菜の小売価格は? 広島発

6/14(火)  18:28 掲載

値上げの影響はこんな所にも及んでいます。今、農業が大きな危機を迎える中、農業が直面する現実を取材しました。

これまでにない値上げが予想されるのは野菜の「肥料」です。肥料の三要素。
それは、成長を促す「窒素」開花や実りを促す「リン酸」根の発育を促す「カリ」の3種類。これら肥料の原料はほぼ、その全てを輸入によって賄われています。実は、肥料の値上がりは去年の秋に始まっていました。

【ルンビニ農園・今田典彦社長】
「秋ぐらいにあったのは中国起点でリン酸の値上げが結構ありました。わが社で見ると10%前後の肥料費の値上げになっています。リン肥料の原料となる「リン酸アンモニウム」は9割が中国から輸入されます。コロナ禍での中国の輸入制限が価格高騰の主な要因でした。しかし、今回予想されるのはウクライナ情勢による価格の高騰です。

【ルンビニ農園・今田典彦社長】
「今までにない過去最高の最大の値上げがあります。かなりのインパクトですね今回は・・今回はカリウムと尿素 窒素の部分ここがかなりの値上げをすると聞いています。」

特に値上げが予想されるのは「窒素」と「カリ」。窒素の主原料となる「尿素」は国産が4%。マレーシアと中国でおよそ85%を占めています。さらに問題なのがカリ肥料の原材料となる「塩化カリウム」。その全てを輸入に頼っていて最大の輸入国はカナダで全体のおよそ60%。ロシアとベラルーシでおよそ25%を占めています。ウクライナに侵攻するロシアとそれを間接的に支援するベラルーシ。この2つの国からの原材料が日本には入って来ません。

【ルンビニ農園・今田典彦社長】
(Q:野菜にとって重要な肥料?)
「カリ、窒素、これは野菜にとっては非常に重要な栄養素のなります。これをなしに野菜作りはできません。」

値上げは何時、どの程度の規模になるのでしょうか。農業関係者への取材でその内容が見えてきました。

【農業関係者の話】
「カリ肥料の原料の塩化カリウムは前年対比でおよそ80%の増額。但し、肥料によって配合割合が違うので、全ての肥料が同程度値上がりするわけではない。輸入量の問題以外に輸送コストの増加や円安基調も影響している。仕入れ価格はすでに値上がりしており、近く肥料の料金改定があると思う」

間もなく予想されるこれまでにない「肥料の高騰」。これによって野菜の小売り価格も上がるのでしょうか。

<スタジオ>
ここからは取材にあたった矢野記者に伝えてもらいます。食品の値上げが相次ぐ中でさらなる価格の上昇はとても気になります。

【矢野記者】
大きな問題なんですが、野菜の小売り価格、上がるのでしょうか。みなさんはどうなると思いますか?

「上がると思います」「上がるのイヤですね」

【矢野記者】
答えは「上がらない たぶん・・・」
何故かというと野菜の値段の決め方にあります。

野菜の値段は「市場の原理」によって決められます。例えば野菜を市場に出荷します。
需要に比べて供給量が多ければ商品は余りますから、その分、値段は下がります。

しかし、野菜の需要が供給量より多ければ「品不足」が起こって野菜の値段は上がります。つまり、市場では需要と供給のバランスで価格が決まるというわけです。野菜を作るのにどれだけの費用が掛かったか(生産者の費用)は野菜の取引価格には反映されないのです。
つまり、野菜には「コストの増加分を価格に転嫁できない」という大きな問題があるんです。

農業の現場では実は「肥料」の他にも大きな値上げ問題があります。

【ルンビニ農園・今田典彦社長】
「合わせて資材とかビニール、袋、箱、ビニールハウスの具材、10%から15%の値上げはあるのではないかという話は受けてます。包装資材費というのか肥料よりもウエイトが高いので、10%の値上げは肥料の50%と比にならないくらいの金額になります」

大幅な生産コストの増加が予想される中、その費用を商品の価格にそのまま転嫁できない第1次産業の現実。経営は次第に追い詰められていきます。

【ルンビニ農園・今田典彦社長】
(Q:コストがいくら上がると危険水域?)
「だいたい、わが社の経営で、この袋代、箱代、運賃、肥料代含めて1束2円から3円経費が増すと経営が成り立たなくなります」

コロナ禍による輸入の先行き不透明感やウクライナ情勢を受けた食料の国内自給率に注目が集まる今。農業の将来はどうなるのでしょうか。

【ルンビニ農園・今田典彦社長】
「年々厳しくなって来ています。価格は過去5年間を見ると(野菜の卸し売り)価格は実際下がっています。でも資材費は上がっています。どんどん生産性を上げない限り農業は今後続けていく事は厳しい状況。農産物の適正価格でこれ(農業)を持続させていくにはどうすればいいのかという事を今回の件を踏まえてみんなで今後考えていかなければいけない課題だと思います」

<スタジオ>
【矢野記者】
農業の現場、大変なことが起こっているわけですが、円安。原油価格の高騰などある中で。野菜の適正価格はいくらなのか。様々な要因が絡み合う中で農業が職業として成り立たなくなる可能性すらあるわけです。

【コメンテーター・広島大学大学院 匹田篤 准教授】
「国による補助や保護の議論も真剣にしないといけない」

【矢野記者】
野菜の価格が上がれば、今度は消費者の家計を圧迫する可能性もある。国も消費者もみんんが食料の国内自給率といわれる中、「農業を自分事として考える」ということをしないとこれから厳しいと思います。

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