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介護予防の新たな形 見えてきた高齢者介護の課題 広島

5/27(金)  17:21 掲載

介護予防に着目した新しい形の介護事業所が去年、オープンしました。
取り組みを取材する中で高齢者介護の課題も見えてきました。

広島市中心部にあるちょっとおしゃれな建物。一見するとカフェのようにも見えますが、やって来るのは…若い人でも70代。80代、90代は当たり前です。ここで行なわれるのは血行をよくする足湯。そして足のマッサージです。

「気持ちがいい」
「足が温かいよ。そう足が温かくなった」

足で施術するフーレセラピー。

Q:楽しいですか?
「みなさんと会える。家だったら1人がぽつんと部屋にいて、だから楽しみなんです。ここに来るのが」

広島では珍しい介護予防に特化した短時間型のデイサービスです。去年、2月、コロナ禍の真っただ中にオープンしました。

(ケアチームたなごころ・小坂京子社長)
「1人で家にいると気分も落ち込んでしまうし体も弱ってしまう。そういう時だからこそ何か集って元気になれる場所が必要なのではないかと思ってオープンしました」

社長の小坂京子さん。20年以上、介護の仕事に携わってきました。重度の介護者のケアや看取り介護をしていく中で気づいたことがありました。

(小坂京子さん)
「どうも介護保険の仕組みの中でニーズが上手くくみ取られていないゾーンがあるという所が軽度のみなさんだった」

2000年に施行された介護保険は介護が必要な人にその費用を給付してくれる保険です。
40歳になると介護保険への加入が義務づけられ保険料を支払います。支給額には介護度に応じて支給限度額があります。介護度は「要支援」が2段階。「要支援」よりも重い「要介護」が5段階あり、介護度が重いほど限度額が大きくなります。

(小坂京子さん)
「介護度が軽い人たち広島市で言うと総合事業ですよね介護予防の総合事業だけだと報酬単価の関係もあってなかなか採算が取れない。だからどこの事業所も重度の人も受け入れて一般的な介護保険と抱き合わせた形での事業の展開になっているのだと思います」

事業所を経営していくためには重度と軽度の両方の人を受け入れる必要があります。ここに今の介護の問題があると小坂さんは思っています。

(小坂京子さん)
「デイサービスに通っているみなさんは結構我慢しているというのが話を聞く中であった。どうしても職員は介護度が重い人の方にケアが集中してしまうので、自分たちとしては同じ様にサービスを受けたいと思って行っていても自分で出来るからということでご自身たちの感覚としては放っておかれている」

(デイサービス利用者)
「私たちはぼさーっとテレビを1時間も2時間も見ていないといけない前の所はそれでやめた面白くない」

(デイサービス利用者)
「同じような程度の人と話がしたいんだけどそういう人がなかなかいなくて」

高齢者はみな同じではない。程度に合わせた細やかなケアの必要性に小坂さんは気づきます。

(小坂京子さん)
「もちろん看取りとか重度の方のケアはものすごく大切で重要なことですが、足りてはないかも知れないが一生懸命やってくれるみなさんが他にもいる。ただ軽度の所に目を向けるとあまりそこを一生懸命やっている人たちってまだまだ少ないのではないかなと思う」

小坂さんの思いを後押しした人がいました。会社の立ち上げを担当した吉田さん。お母さんの介護の経験から介護予防の大切さを痛感していました。

(ケアチームたなごころ・吉田恵専務)
「家族の立場としたらこういう期間に何をすればいいのかとか分からないんですよね。要介護になってその後寝たきりになってみたいな高齢者のレールみたいな所の入り口の体験をした立場としてはきっとこういう所(時期)でアドバイスをもらえたり寄り添ってもらえたりがあればずいぶん違うという体験をした」

それぞれの思いがひとつになって誕生したのが介護予防に特化した介護事業所でした。短時間型デイサービスではいきなり体操や運動をするのではなく足湯やマッサージで体を温め痛みやむくみを取っていきます。長い介護の経験から小坂さんはこの大切さを感じていました。

(小坂京子さん)
「むくみだったり関節の痛みがあると体操したり(運動の)機械に乗ることそういうことが難しい。まずは痛い所やむくんだ所を取ってからでないと体を動かすという所に参加できないのではないかという方たちがいる」

利用者に好評なのが「フーレセラピー」と呼ばれる足で施術するマッサージです。足を使うことで広い範囲で圧や振動を与えることができます。数々のプログラムに自家製のおやつも付いてこのデイサービスは1回、1350円。事業としてやっていけるのか?

(小坂京子さん)
「そうですねみなさんにも大丈夫なのですかと聞かれますし実際大丈夫ではないですね。総合事業(軽度を対象)だけでやろうと思うと」

今の介護保険制度の中で事業を経営してゆく事は難しい…しかし、小坂さんはこの介護事業所に新たな可能性を感じています。

(小坂京子さん)
「子育て中のお母さんたちとか一般の方たちにも利用していただいて地域の交流の場にここがなっていけばいいと思うし、国が目指している地域包括ケアシステムという出来る限り最後まで自宅で住み慣れた街で住み慣れた家で生活しましょうというそのサービスの中の1つとしてこういう形のサービスがあると思ってもらえればいいと思う」

高齢者はみんな同じではありません。段階に応じた細やかなケア。制度を含めてもう一度、「老い」を見直す時が来ているのかもしれません。

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