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しなやかな手触り「マッサージ用の筆」を開発 歴史と伝統の技を活かす 広島

4/28(木)  17:39 掲載

広島のがんばる人を応援するコーナー。チーム広島で新商品の開発に取り組みます。舞台は筆の街、熊野町。しなやかな手触りの筆が今、意外なところで活用されようとしています。

【竹宝堂 取締役専務・竹森祐太郎さん】
「創業で、今年で70年になります。うちの方は、ほぼ化粧筆の製造を行っております。」

こちらは、筆作りで知られる街、熊野町にある、竹宝堂。
日本を代表するメーカーの化粧筆を数多く手がけている会社ですが、みなさんが今、作っているのは何ですか?

【竹宝堂 取締役専務・竹森祐太郎さん】
「今回、マッサージ用の筆の依頼があったものを作らせていただいてたところです。」
Q:マッサージ用の筆?

あまり聞きなじみがありませんが、その制作を依頼したのが、広島市中区でリンパドレナージュのサロンを開く小笠原さんです。

【小笠原実穂さん】
「顔の中に、色んなツボがあったりとか筋肉もありますし、血管もリンパ管もありますし、すごく敏感な場所なので、あんまり無闇やたらには触らないように、マッサージというほどそんなに触りはしないですけれど」

リンパドレナージュは、肌を優しく「さする」ことでリンパ液の流れを活性化させる方法で、リラクゼーション効果などが期待されます。
全国各地で活動している小笠原さん。年に数回はフランスに出向くなど、忙しく飛び回る日々が続いていましたが…。

【小笠原実穂さん】
「コロナが来たんですよ。私もパリに行けなくなったりとか、全国の皆様に会えなくなってきた。同時に皆さんも移動ができない、おでかけができない、今だから私の手が必要なんじゃないかってことで、ジ〜っと手を見まして、考え始めたのが3年前です。」

閃いたのは、自分の手の代わりになるような筆をつくれば、自宅で使ってもらえるのではないか、ということでした。

【小笠原実穂さん】
「この手を見た時にここ(手のひら)をお届けしたかったんですよ。そうすると、ここに一個筆を置いて、ここに筆を置いて、ここに筆を置くと…6個っていう形になったんですよね。」

筆づくりを依頼したのは、これまで企業のオーダーに合わせた筆造りの実績がある竹宝堂でした。

【竹宝堂 取締役専務・竹森祐太郎さん】
「色んな筆を見てもらいながら、どういった筆を作りたいか、こういう柔らかさのものが欲しいですとか、このぐらいの腰(コシ)感が欲しいですとか、まずは色んなものを見てもらいながら、ちょっとずつ形にしていって…」

【小笠原実穂さん】
「私が感覚で”もっと欲しい”とか言うと”何が欲しいんですか?”って言われるんですよ。”何だろうな、このワ〜ってくる感覚がもっと欲しい”とかお伝えすると、すごく困られてて、それでも”何とか小笠原さんの言ってることを形にしましょう”っていうことで、すごく協力してくださったと思います」

【竹宝堂 取締役専務 竹森祐太郎さん】
「これはうちの会社の会長だったりですとか、社長だったりが常々言ってることではあるんですけども、”筆を使って何をしてもいいじゃないか”というのはよく言われてるんですよ。そういった意味で言ったら、今回うちで作るような筆が、今までの化粧筆ではなく、こういったマッサージの筆に、実際使うことができましたので、筆の町の熊野町ではありますので、色んな筆の可能性、色んなモノに使っていくひとつの機会になれたらいいなと思います」

こうして穂先の目処は立ち、続いて必要になるのは、手でつかむハンドル部分の製作。
こちらを担当したのは、広島市湯来町から世界に向けて家具を販売する、マルニ木工です。

【マルニ木工・柳田康弘さん】
「板の状態の物を、この形状を削り出す工程なんですけど、あそこの機械の中で、穴を開けて、それからおにぎり状の三角をそれぞれ削っていきます。」

【マルニ木工 代表取締役会長・山中武さん】
「ウチは家具を作っているということもあって、木なんで何でもできちゃうわけですね。ですが、ウチの工場の特徴として、家具ですのでどっちかというと大きな具材を削り出すのは非常に得意なんですが、ああいう小さなものを大量に工場で流すというのは、決して得意ではないです。ただ一方で、家具をつくる際に、どうしても大きな板から具材を取っていくと、端っことかそういったところの端材っていうのが出ます」

そこで、家具づくりには使用できない小さな端材を使って、小笠原さんのハンドルを製作することにしたのです。しかし、大きな家具の生産が中心のマルニ木工。
今回のような小さなパーツを作ることはほとんどありません。そこで…

【マルニ木工 代表取締役会長・山中武さん】
「うちは工場のラインとは別に、試作をつくる職人達というのがいます。彼らはデザイナーから出たデザイン案を、一脚一脚ほぼ手作りで試作品をつくっていったり、あとは工場のラインでは難しい別注品をつくったり、言ってみればマルニの一番の強みの部分です。こういった人たちというのは、極端にいえばそういう小さなものでも何でもできちゃうんです。世界でもトップクラスの技能力、技術力を持った人たちだと思います。

大きな椅子であろうが、小さな具材であろうが、つくってって、言われれば、全力で丁寧に仕上げていくので。そういうのをこだわるというのも、改めて”おっちゃんたち職人たちにとっても良い刺激になるんじゃないかな”って思っています」

こうして、小笠原さんの思い描いた通りの商品が完成しました。
その名も、”SASUTTE (サスッテ)”

【小笠原実穂さん】
「広島の色んな技とか伝統とかが、ここに凝縮されているんですけど、なるべく穂先が肌全部に当たるように、穂先が6個あるので、筆の持つ”しなり”というものが、表面の凹凸に対して、フレキシブルに対応してくれる、今、優しい手が必要って時に、この筆があれば、優しい手、優しい感触っていうのが、ご自身で体感していただけるので、なのでこれは本当に、皆さんの歴史と伝統と技でしかできないと、私は思っています」

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