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独特の苦みが人気「だいだいサワー」果物の皮を生かす新技術 広島県食品工業技術センター

5/6(木)  11:40 掲載

新しい商品やサービス、その誕生した背景を探ります。今回は広島県の食品工業技術センターの新技術に注目しました。その技術をいかした新商品が誕生し、今、その可能性が広がっています。

これからの季節にピッタリ!涼し気な橙サワー。独特の苦みが人気の秘密で、その苦みを実現したのが広島県の食品加工技術です。廃棄物から生み出された『酢』が味の決め手でした。尾道市で400年以上に渡り酢を作り続ける尾道造酢。一般的な酢に加えて、まちの特産の橙を使った酢やポン酢を生産しています。

【尾道造酢・丸尾仁人工場長】
「年が明けて1月2月と、もう毎日絞ってますね。1トンから2トンの皮のゴミが出てますね。お金払って処分してもらって、もうゴミですね。」

橙の実を絞って取れる果汁は、重さのわずか15%ほど。残りの皮は使い道が無く、これまでは処分していました。尾道造酢は県が新たに開発した技術を導入し、皮を液化することに成功。そのエキスを酢の原料として新商品を開発しました。開発の過程で新たな発見もあったといいます。

【尾道造酢・丸尾仁人工場長】
「橙果汁からこんなにちゃんとした酢酸菌が元気に発酵することしないんですよ。柑橘系の果汁、レモンにしてもそうなんですけど、こんなに元気に酢酸菌は活動しないんです。いいんですよ」

「皮からの方が発酵する?」「だからそこがビックリ。」

柑橘の皮を液化する技術とは一体どんなものなんでしょうか?

その技術の開発に携わったのが、坂井智加子さんです。県内の農業法人からの相談が開発のきっかけでした。

【県食品工業技術センター生物利用研究部・坂井智加子さん】
「搾汁する際にたい肥だったり、一部はお菓子に使っているんですけれども、大半は捨ていている状態だったので、それが非常にもったいないなというのがあって(開発に取り掛かった)」

柑橘の皮の液化には、食品工業技術センターが得意とする酵素の技術で挑みました。

【県食品工業技術センター生物利用研究部・坂井智加子さん】
「今回をお酢にするっていうことで、お酢の発酵阻害が起きないっていう点と、香りがどれだけ維持できるかていう所をポイントに」

坂井さんは柑橘の皮を効率よく分解する酵素を選び出し、分解に適した温度や時間を分析。
技術化に成功しました。酵素を加え、一定の温度で攪拌すると、数時間で皮をドロドロに分解することができます。

【県食品工業技術センター生物利用研究部・坂井智加子さん】
「果皮を使うので、香りが高いっていう面で、普通のお酢をポン酢にする際に普通のビネガーでは香りが足りない部分を果皮酢にすることで、香りが膨らむ可能性もある」

溶かした皮を濾すと、酢の原料となる橙の果皮エキスが取れます。尾道造酢は酢を作る設備を活用して、橙の皮を液化。県の技術を使った商品第1号として『橙果皮酢』を販売しました。皮の廃棄を1割ほど減らすことができ、まだ改良の余地があるといいます。

独特の苦みのある橙果皮酢は、サワーに合うと地元の飲食店で人気になっています。

【出汁と酢。・堀田健司店長】
「サワーに橙の果皮ビネガーを入れて、だいだい果皮ーサワー。酸っぱすぎず、少し苦味があるっていう感じですかね。サワーがすごくこう少し甘い感じがするので、それを逆に引き締めてくれるというか。」

猫島商店は広島の特産、広島菜漬けを製造する漬物店です。この会社でも県の技術を使って新商品の試作が進められていました。原料は漬物を作る工程で出るレモンの皮です。

【猫島商店・猫島泰伸常務】
「ペーストのこういったものを作って、これをお菓子の生地とかに練りこんでもらうという。アイスキャンディーの中に入れ込んでもらったりとかして使っていただきたいと。風味は皮にたくさん含まれていますので、皮ごとペーストにしたものが風味がいかせるかなと」

猫島商店が開発する新商品には、柑橘の皮を液化する県の技術をさらに改良したものが使われていました。レモンの皮に酵素を加え、一晩待つだけでドロドロに。加熱も撹拌もする必要がありません。

【猫島商店・猫島泰伸常務】
「簡易的にこういう固形からペースト状のものが作れるというところがいいと思います。特にこういったペースト状にするしようと思うと、煮たりとかしなければいけないのですけれども。煮るとどうしても風味が飛んでしまったりとか、あるいはレモンでしたら、ビタミンCが失活してしまったりとか。この酵素分解は風味も残したまま、こういったものを形にできるところが利点かと思います」

広島県の技術を核に、これまで廃棄するしかなかった食品の活用が進んでいます。

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