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「空飛ぶカキ」最大の消費地東京へ 苦境に立つ”冬の味覚”を救う”感謝と恩返し”

11/24(火)  16:25 掲載

新しい商品や話題のサービスの裏側を紹介するコーナー。今回取材したのは、先月から出荷が始まった広島の冬の味覚、カキです。この業界でも今シーズンは新型コロナウイルスの影響が懸念されています。消費拡大を目指す広島のカキ業界を取材しました。

【牡蠣打ち音】「カッカッカッカッ」

先月から出荷が始まった広島の冬の味覚、牡蠣。養殖業者からは早くも今シーズンの先行きを心配する声が多く聞かれます。

【米田海産・米田礼一郎社長】
「スーパーの方は割とお客さんが多いということで堅調だということを聞いているんですけれども、問題は飲食店さんですよね。今のところカキを集荷する業者からは出荷を制限されたりということはないんですけれども、本格的に回復してないということで需要が伸び悩むんじゃないかということを懸念していますね」

例年なら、宮島に多くの観光客が訪れ、牡蠣の売上も伸びる秋の行楽シーズン。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で観光需要も期待できません。

そこで期待が寄せられているのが…日本の人口のおよそ3分の1が集中する、首都圏での消費拡大です。東京・港区のスーパー。広島産のカキの傍には、生産量第2位の宮城産が並びます。

【クイーンズ伊勢丹白金高輪店水産担当チーフ・辻佑太さん】
「加熱用に関しましては広島。生食用は宮城も扱っている」

厳しい産地間競争が繰り広げられる中、今年3月下旬から広島産のカキに逆風が吹き始めました。新型コロナウイルスの感染拡大で飛行機による輸送が難しくなり、店頭に並ぶまでに1日多くかかるようになったのです。鮮度が命のカキにとって致命的です。

【クイーンズ伊勢丹白金高輪店水産担当チーフ・辻佑太さん】
「賞味期限が一日短くなってしまうということで、量が少なくなってしまうのかなと」

こうした状況に危機感を抱き、カキの出荷を担う業者が立ち上がりました。

タイトル「冬の味覚が苦境に…」

新型コロナウイルスがカキ業界にも影響広島市中区にある水産物の仲買を行うカネウ。広島市周辺のカキ養殖業者からカキを仕入れ、年間およそ1000トンを全国に出荷しています。

【カネウ・村田泰隆社長】
「これは静岡県お昼頃出て、今晩の午前零時から明日の早朝の午前1時ころに静岡につく」

出荷するカキの半分は最大の消費地、首都圏へ向かいます。そのうち半分は鮮度が最重要視される生ガキ。産地間競争に勝つため、飛行機で輸送しています。しかし…

【カネウ・村田泰隆社長】
「コロナが発生したのが今年の3月ころでして、その頃まだ前のシーズンの牡蠣もやっていましたし、徐々にその影響は受けてですね。4月以降はもう飛行機便が1割程度になりましたから。シーズンの終わりかけではあったんですが、物流に関してはもろに影響を受けたので。運送便に関しては昨シーズン終わってからずーっと危惧してました」

広島空港では、新型コロナウイルスの感染者が増え始めた今年の3月中旬以降、利用者が大幅に減少。東京・羽田便は相次いで減便され、運航する機体も小型化されました。首都圏へのカキの空輸は難しくなり、シーズン終盤はトラックに切り替えてしのいでいました。

【カネウ・村田泰隆社長】
「お客様に一番の迷惑をかけるのが発注時間の規制ですよね。『できるだけ早くいただかないとできませんよ』となると、お客さんの方も『それじゃあ、できるだけ遅くまで待っているところの産地に頼みますよ』ということになりますから」

タイトル「産地間競争を勝ち抜く!」

空飛ぶカキで首都圏での消費拡大を首都圏で激しい産地間競争を繰り広げる広島県産のカキにとって飛行機で運べないことは、大きな痛手です。広島空港からの出荷を担う運送大手の佐川急便。カキ業者からの要望を受け、飛行機を運航するJAL・日本航空に相談し、協議を続けてきました。

【佐川急便 広島空港営業所・菊地直人課長】
「陸送ですと12時間から13、4時間ですね。我々が抱えているカキの十数社のお客様全体に対してもやはり、航空便から陸送便に替わることでオーダーがとりずらい。売れないという部分を解消するためにお願いして売れやすく」

【日本航空広島支店・柴田康宏リーダー】
「やっぱり旅客の需要も落ち込みましたので、物量も予測の方は佐川さんから頂いて、運航するのに大型化するのに見合うかどうか。正直厳しい状況ではあるものの、ご協力させていただきたいなというところで…」

カキの輸送力増強を前向きに検討してもらえることになったのです。
そして今月1日。東京・羽田行の旅客機にコンテナが次々と積み込まれていました。中に入っているのはもちろん・・・カキです。

日本航空は今月から、午後1時台の羽田便を中型機へ替え、およそ3.5倍のカキを運べるようにしました。空港の利用者は羽田便でさえ前年の2割弱という厳しい現状が続く中での広島への感謝と恩返しの決断でした。

【日本航空広島支店・門屋秀臣支店長】
「獲れたばかりの新鮮なカキを翌日の競りに間に合わせるためには、このお昼の飛行機でなければ運べないという事情をお聞きしましたので、社内の中でもかなり検討を要しましたが、地元のために役に立ちたい。そういう願いで今回は大型化を決意いたしました」

消費拡大を願う広島のカキ業者の期待を乗せて飛行機は羽田空港へと飛び立ちました。機体の大型化で前の年と比べて80%アップの輸送を目指します。翌日、東京のスーパーには鮮度にこだわり、『空飛ぶカキ』と銘打った、広島県産のカキが並びました。

【クイーンズ伊勢丹白金高輪店水産担当チーフ・辻佑太さん】
「空輸で一日早く店頭につくということで、お客様に対しては鮮度をよりアピールできるのかなと考えております。出来立てのカキをお客様に届けることができると店でお客様に直接アピールできますので、それが本当に空輸が始まった最大の魅力かなと感じております」

【カネウ・村田泰隆社長】
「旅客が増えない中で機体を大きくしてくれたということは非常に感謝しておりますし、カキを全国の消費者の方に味わってもらえるというのは本当にありがたいことですし、佐川急便とJALには非常に感謝しています」

減便による輸送力の減少を機体の大型化で補い、最大の消費地、首都圏へ飛行機で新鮮なカキを送り込む、空飛ぶカキ。広島のカキ生産者たちの期待を乗せ、きょうも東京へと飛び立ちます。

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