子育てアドバイス

すぐ上の子を叱ってない?まずは自分の心の整理から

 下の子が生まれてから、「上の子が我慢していないかな?」「 寂しい思いをしていないかな?」と気にかけることはありませんか?また、兄弟や姉妹でケンカになったとき、どんな風に声をかけようかと迷うことはありませんか? そんな兄弟・姉妹の子どもとの関わり方について、コミュニケーション・コンサルタントの三上かおりさんにお話しを伺いました。
 親は多くの問題や不安を抱えながら子育てをしています。親の働きかけによって、子どもの心が落ち着いたり、兄弟で微笑ましく助け合うきっかけが生まれることもあれば、その反対に、ますます親が困ることを行うこともあります。
 1962年、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発した、親の役割を効果的に果たすためのトレーニング「親業」では子どもとの関わり方を考えるとき、まず、ご自分のモノの見方や捉え方、感じ方をそのまま捉えることをします。自身のことはわかっているようでわかっていません。そこで、下記の図「行動の四角形」という図を使って“心の整理”を行います。
今現在ご自分が感じていること「感情」と、子どもが何をしているか「行動」を、当てはめます。大きく2つに分け、真ん中が「受容線」です。
「受容領域」…受容できる子どもの行動
「相手が問題を所有」…子どもが問題を持っている
「問題なし」…子どもも親も問題を持っていない
「非受容領域」…受容できない子どもの行動
「自分が問題所有」…親が問題を持っている
行動の四角形を意識することにより、「あ、今日はイライラしていて受容線が高くなって、非受容領域が広くなっているな」という風に、少し冷静に客観的に見ることができます。

 頭の中で、なるべく行動の四角形をとおして人をみるようにできれば、思いがけないトラブルの解決方法がみつかったり、重要なサインを発見したりできるかもしれません。親子関係においても、子どもがSOSを発信しているのであれば、能動的な聞き方で対応したり、親自身に問題があるのであれば「何が」「なぜ」なのか考え、自分のありのままを受け入れることから始めれば、自ずとどう対応したらよいか道具や方法が見えてくると思います。
 たとえば、兄弟げんかをする子どもたちに対して、“どちらがいい悪い”と「裁く」のではなく、「子どもの話を聞く(子どもを理解する)」「自分の気持ちを整理する(自分を理解する)」しましょう。たとえ子どもを叱ったとしても、あとでフォローすることもできるかと思います。
 そうすることで、親子関係はもちろん、人間関係もいいコミュニケーションがとれるようになると思います。
最後に、親業訓練協会提供の講座で受講された方々の実践事例を2つ、参考までに記しておきます。

(事例1)
子たち(7歳・5歳)がけんかをして、次男が泣きました。けんかを止めはしなかったが、私は長男にいやな顔をしてしまった。長男の様子が気になり、手当の必要があるかと思い、声をかけてみた。
・お話しを聞きたいんだけど。
長男・いやだよ。どうせ僕のこと怒るんでしょ。
・怒ると思っているの?
長男・うん。いつも「お兄ちゃんだから」っていうけど、僕はお兄ちゃんじゃない!
・いつも怒られるのがいやなんだね。お兄ちゃんって言われるのもいやなんだね。
長男・弟と遊ぼうとしているのに、弟が悪いのに…。いつも僕ばっかり。
・弟が悪くても、僕ばっかり怒られると思っているのね。
長男・うん。話したらすっきりしたよ。もう眠いから、寝るね。

“お兄ちゃんあつかいせず、この子の話を聞く”
いつもは兄弟がいて話すことができなくても、本気モードで長男に話を聞くと、長男くんはちゃんと話をしてくれました。親としては「お兄ちゃんだから」と意識していなくても、長男くんは負担に思っていたということを知ることができました。その後は、学校でいやなことがあっても、子ども本人から「話をしよう」と言うようになり、コミュニケーションがスムーズに。

 
(事例2)
 夜、風呂から上がった娘(4歳)と弟(1歳)。私は弟くんの体を拭いてパジャマを着替えさせた。娘は裸のまま布団に寝転がっていた。
・娘ちゃんが裸のままでいると、風邪をひかないか心配だし、ママも休むことができなくて困るの。
・弟ちゃんは着替えさせてもらって、ずるい!
・娘ちゃんも着替えさせてほしいのね。
・うん。私ももっと甘えたい、いつも弟ちゃんばっかり。
・そうだったんだ!わかった。じゃ、次は着替えさせてあげようか。
・うん。
・娘ちゃんも甘えん坊したかったのね。いつもがんばっていたもんね。
・ママ大好き!

“親の気持ちを伝えたら、娘の本音が聞けた”
今まで娘に「早く着替えて」と言っても着替えないことが続いて悩んでいましたが、言い方を私メッセージに変えたら、思いがけない娘の気持ちが出てきました。能動的な聞き方へ切りかえたら、娘が本当は甘えたかったんだということがよくわかりました。

※親業訓練協会「ゴートン博士のヒューマンリレーションニュース 2012春」より抜粋

三上かおり (みかみ・かおり)
中学校教師歴15年、在任中より親業を学び、実践。1999年より米国留学し、シュタイナー教員養成課程修了。2003年帰国後、コミュニケーション・コンサルタントとして幅広く活躍中。親業シニアインストラクター、教師学上級インストラクター、リーダー訓練法トレーナー。

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