健康基礎知識

ギャングエイジの頃からの感情の変化と注意点

小学校中学年くらいから「ギャングエイジ」と呼ばれる時期を迎え、さまざまな変化が現れることがあります。思春期による心身の変化もともない、時には、感情のコントロールが難しく、キレたりする様子が見られることも。この頃からの保護者の対応や注意点について、こうの脳神経外科クリニックの副院長で、心療内科・精神科医の河野恵理先生にお話を聞きました。


環境の変化が、子どもの変化の引き金になることも
 小学校中学年くらいから、子どもが友達と関わる時間や質が変化してきます。それまでの友達関係は、近所、同じ幼稚園、親同士が知り合いなどによるものが多かったものが、自分と相性のいい友達などがわかるようになり、親の影響が薄れるのと比例するように、友達の影響が大きくなります。その年代のことを「ギャングエイジ」と呼びます。
 さらに高学年からは、第二次性徴期による思春期を迎えます。自分が何者か模索し始め、うまくいかないことなどに直面した時に、それが自己否定につながると自傷行為に走ったり、他人やまわりの環境などのせいにする他罰的な考えに陥ると、荒れるなどの粗暴な行為に出ることもあります。
 中学、高校では学校環境の変化や受験のストレス、大学に入ったら一人暮らしを始めるなど、ギャングエイジを皮切りに子どもの成長にともなう環境の変化は次々に訪れます。こうした変化が、それまであまり出ていなかった、子どもの持っている特性を前面に押し出す引き金になることがあります。

発達障害の素因が強く現れたり、精神疾患の可能性も
 その一つが、いわゆる「発達障害」と呼ばれる症状の「素因」です。発達障害の子どもは、小さい時から他の子と明らかに違うと考えている人もいますが、そうではありません。程度や出方が本当に人それぞれなので、環境の変化によって突然前面に強く現れることがあります。それは、小学生や大人になってからもあり得ることです。
 発達障害は主に、注意欠陥や多動性、衝動性などの症状が多く見られる「ADHD」や、人とのコミュニケーションや関わりに難しさが生じる「ASD(自閉症スペクトラム)」などに分類されます。それらは病気ではなく、強弱の差こそあれ、誰もが持っている特性のようなものです。何らかの環境の変化によって、その素因が強く生じるようになれば、その特性を理解しないままではコントロールが難しいため、折り合いの方法を身に付けていかなくてはなりません。もともと持っているタイプ、いわば血液型のようなものなので、その長所と短所を知り、上手に付き合っていけばいいということです。
 あるいは、何も原因がないのに突発的にキレたりパニックになったりする場合は、「統合失調症」などの精神疾患の疑いもあります。いずれの場合も、医療機関などの専門家への相談が必要になりますね。

風通しを良くして、第三者の見立てにも耳を傾けて
 子どもの感情が不安定な状態が続いた時、大切なのは一人で悩まないことです。「恥ずかしい」「育て方が悪かったと思われる」などと、内に閉じこもらないようにしましょう。自分では大変なことと思っていても、他者から見たらよくあることであったり、逆にそのうち何とかなる、自分で何とかできると思っていたことが、より深刻な事態を招くこともあります。
 まずは家の中、親子、夫婦間の風通しを良くして、何でも話し合える関係を築くことは、とても大事です。そして、ママ友達や学校の先生、スクールカウンセラーなど、相談しやすい人に気軽に相談してみましょう。学校、スクールカウンセラー、教育関係の相談機関、小児科、心療内科・精神科などの間にはネットワークができています。相談の内容に応じて、必要な機関へつながっていきますし、それぞれが連携してサポートもしていきます。一人で悩まず、気軽に第三者の目と声を入れてみてください。
河野 恵理(こうの・えり) こうの脳神経外科クリニック 副院長
心療内科・精神科
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こうの脳神経外科クリニック
広島市中区西白島町16-17
082-502-0036

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