広島ニュースTSS

【広島から伝えたい】来日20年、夢のマイホームが2年で豪雨被害 支え合う家族、残る不安

02/28(木)  10:13 掲載

西日本豪雨災害から7ヵ月経ちましたが被災者の生活再建はなかなか進まずさらなる災害への不安も募っています。日本に来ておよそ20年。共働きで2年前にようやく建てた夢のマイホームが被災した日系ブラジル人の武田アルベルトさん。仮設住宅で暮らす家族を取材しました。

夢のマイホーム、2年で襲った豪雨

広島県三原市沼田西町。去年7月の豪雨災害で近くを流れる川が氾濫し、あたり一面が水に覆われました。

日系ブラジル人で、三原市内の造船会社で働く武田アルベルトさん。被災したマイホームの中を記者に案内してくれました。

「ここはリビングですね。向こうがジャパニーズルーム(和室)というところがあってここがキッチン。あんまり来るのは好きじゃないいまの状態見たくない」

雨が強く降っていた去年7月6日の午後6時ごろアルベルトさんは仕事から早く帰り、奥さんと娘と3人で家に居た所に消防職員が避難を呼び掛けに来ました。

「15分で荷物をまとめて家族全員で船木小学校に避難していたんですけど、(家に荷物を取りに)戻ろうとしたらもう早かったですね。結構水が来ていた」

あっという間に濁流が家に押し寄せました。

1階が完全に泥水に浸かってしまい、部屋は変わり果てた姿に。アルベルトさんによると水の高さは、およそ2メートル30センチにも及びました。日本に来ておよそ20年。共働きで2年前にようやく建てた夢のマイホームには、楽しい思い出が詰まっていました。

修繕が進まないリビングの中で、涙を流しながら思いを伝えてくれました。「ちょっと寂しい。これから…頑張って、自分の好きな家に戻りたいです」。

仮設住宅で妻と娘と、家族3人の再出発

去年9月。アルベルトさん一家は家を直すことを決意し、修繕が終わるまでは、仮設住宅へと入居しました。

アルベルトさんの中学2年生の娘・バネッサさん 「もしかしたら引っ越して学校も転校するのかなって色々心配していましたけど何とかいい方に…」
アルベルトさん 「がんばろう」

家族3人で、再出発です。

「新しい1年も全部良いことになるように頑張ります」「家に戻ります。家に戻りたいね」

豪雨の前は、マイホームで年を越した大晦日。アルベルトさん一家は去年、広島県内のスロバキア人の友達の家で年を越しました。

家を修繕してくれる業者もやっと見つかり、ほんの少し、復旧の道筋が見えてきました。

仮設住宅で暮らし始めておよそ5カ月が経ちました。
中学2年生のバネッサさんは、仮設住宅から学校まで歩いて1時間近くかかるため、母親が毎日、送り迎えをしています。

娘のバネッサさん 「(仮設住宅は)狭くてもう嫌だ。ちょっと休みたい。1人で部屋に居たい。両親といつも一緒だから」

年頃の女の子には、ちょっと部屋が狭いようです。

妻のバルボラビゴバさん 「三原の町、色々やっているみたい同じことにならない為にね。みんな信じるね。また雨降ったらいつも去年のこと思い出す。しょうがない。忘れたいけど」

また被害にあうのでは、消えない不安

およそ2500戸もの住宅が浸水する甚大な被害となった沼田川流域では、高い費用をかけて修繕した家に戻っても、また浸水被害にあうのではないかという不安が住民の間で広がっています。

一方、被災したアルベルトさんの家の修繕は先月末に始まる予定でしたが、半月ほど先延ばしになると業者から連絡がありました。復旧が思うように進まない中で、アルベルトさんはこのような災害が二度と起きないことを強く願っています。

「せっかく自分の夢で建ててからたった2年で全部水に流れたりありえないこと。だからお願いしたい」

広島県内ではこの家族のようにおよそ1100世帯が未だに仮設住宅や公営住宅などでの生活を余儀なくされています。災害の復旧工事を巡っては労働力不足や建設資材の高騰などを背景に、なかなか進まないのが現状です。一方で、また雨が降る季節になる前に、防災対策も急がれます。



この記事はテレビ新広島とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。西日本豪雨の被害の実情と復興の過程を、地元メディアの目線から伝えます。

【関連リンク】
【広島から伝えたい】水道復旧に動いた父が死亡、うわさに苦しんだ息子 「災害関連死」を知らない人へ
【広島から伝えたい】情報弱者が災害弱者に 高齢者を「強制避難」させるカギはテレビ?学生の挑戦
【広島から伝えたい】豪雨で水没した病院、地域の「命綱」が直面した危機 復興へ一歩ずつ
【広島から伝えたい】支援制度が知られていない 豪雨で被害受けた自宅、再建の資金をどうする

直近のニュース