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【広島から伝えたい】豪雨で水没した病院、地域の「命綱」が直面した危機 復興へ一歩ずつ

12/30(日)  11:47 掲載

西日本豪雨の災害から5カ月。豪雨災害では、住宅だけでなく住民の健康を支える広島県内の64の医療機関も被災し、地域住民の生活に大きな影響を与えています。そのうちのひとつ、浸水被害に遭った地域の総合病院が存続の危機に直面しています。地域住民にとって命綱となっている病院が、職員の雇用もままならない状況です。

病院が水没、医療機器やカルテが失われた

「茶色く濁った水が完全に町を覆っている状況です。道がどこにあって田んぼがどこにあったのか、その様子は現在はもう完全にわからない状態となっています」――。今年7月、泥水に呑み込まれた三原市本郷地区。100人あまりの入院患者を抱えていた本郷中央病院にも、その水が迫りました。

「避難したのははっきり時間は覚えていないけど9時ごろ。夜の9時に避難して、それからずっと夜中の1時2時ごろにはずーっと2メートル近くまで水位が上がってきて…」

当時を語る谷本康信さんは、この地区の地域医療を担う本郷中央病院の院長です。入院患者や病院スタッフは2階に避難し全員助かったものの、診察スペースだった病院の1階部分はほぼ水没。合わせて3億円相当の医療機器や患者の病状を記録してきた大切なカルテも失われ、病院は休診することを余儀なくされました。

医療機器は「全滅」。いま必要な機械はリースで借りていますが、今後、どの医療機器をそろえていくか、まだ計画もたてられる状況にないといいます。

西日本豪雨では、本郷中央病院を含む95の医療機関が浸水や停電などの被害を受け、入院患者を転院させなければならなくなったり限定的な治療しかできなくなったりするなど、水害対策への課題が浮彫りになりました。広島県内では、12の市町で64の医療機関が浸水被害を受けました。1階の天井付近まで浸水した本郷中央病院のほか、地下の電源室に浸水した病院もあります。広島市や坂町などの6つの医療機関には土砂が流れ込み、復旧には長い時間を要しています。

復旧は待ったなし

災害発生から5か月。本郷中央病院は現地での再スタートを決め、1階部分の改修工事を進めています。病院は保険の適用を受けながら多額のローンを組んで来年春に完全復旧することを目指していますが、被災地が多く、復旧作業に追われ工事業者が不足するなどスムーズに復旧工事を進めることが難しい現状があります。

街の復旧も道半ば。災害の影響で未だ通れない道もあり、迂回ルートを通っての訪問診療が続けられていますが、不安も残ります。
「家がだんだん少なくなり、壊されて、なんとなく人が帰ってこられるのかどうか。住み慣れた街にみんな最後は、という方は多いだろうけど帰れない人がたくさんでているんじゃないかと思うよね」(谷本院長)

災害以降街を離れる人も多い中、住民の健康や職員の雇用を守る病院の復旧は待ったなしの問題となっています。病院はほかの医療機関に職員をあっせんするなどしていますが、退職した職員も多く、何よりも職員が戻ってくることのできる環境作りが急がれます。

病室を待合室に、診察を再開させたが…

「楽になりました、お陰様で。」
病院では、ベッドを運び出した病室が待合室に。そして、手術室は診察室に。
いち早く診察を再開させようと2階の入院病棟を使っての仮の診察が始まりました。災害によるストレスや疲労が住民の体調にも影響を与えるなか病院が災害に立ち向かうためには何が必要なのか。いま、病院にできることは何か。課題は山積みです。

「火災や地震に関してはマニュアル化して年に1回か2回避難訓練もしていたけど、今後、地震、火災、水害についても合わせて考えていかないといけない」

災害から5か月。病院は復興に向け地域とともに歩みを進めようとしています。

「35年地元の人に支えられてやってきた。元の形にすべてというのは難しいかもしれないが、一歩一歩、前に向かって希望をもってやるしかない。がんばっていきたい」


この記事はテレビ新広島とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。西日本豪雨の被害の実情と復興の過程を、地元メディアの目線から伝えます。

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