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【広島から伝えたい】支援制度が知られていない 豪雨で被害受けた自宅、再建の資金をどうする

11/29(木)  14:11 掲載

西日本を襲った豪雨災害。広島県内では1140棟が全壊。3416棟が半壊するなど1万5458棟が被害を受けました。あれから4か月。生活再建のため被災者を救う支援制度について充分認知されていない現状があります。

実際に、被災者の方に支援制度を知っているか聞いてみました。「いろんな支援金があるじゃないですか?何がどうなのかよくわからないので」「私はよく知らないんですけどね。文書とかでそういう情報も発送というか配送してもらいたいですよね。」

東日本大震災など被災者の相談に長年あたってきた専門家は支援制度が知られていないと指摘します。広島弁護士会災害対策委員長の今田健太郎弁護士は「(支援制度を)本当に知らないという方がたくさんいらっしゃる。」と指摘。「先の見通しが立たないっていう心配が非常に多いんじゃないかなと思います。」と話します。

支援制度を利用する被災者

およそ400棟が浸水被害などにあった三原市本郷町船木地区で被災した山下伸恵さん。自宅と隣接する両親の家が被害を受け、今は仮設住宅にいる。あの日、1階部分が浸水し、両親の家の2階に家族6人が避難しました。

「2軒はどうしても直せるぐらいのお金がないので。たちまちトイレと洗面はすぐいるのでお願いして直してもらったんですけど。」(山下さん)

大規模半壊の認定を受けた山下さんがまず申請したのは国の『被災者生活再建支援制度』です。基礎支援金として全壊で100万円。大規模半壊で50万円。さらに住宅の再建方法に応じて加算支援金として住宅を建築・購入すると200万円。補修で100万円など最大で300万円が支給されます。しかし、制度を正しく理解できず申請していない人も少なくありません。

今田弁護士によると、過去の災害でも同様の状況があったといいます。「石巻市では例えば東日本大震災から7年が経過してますけれども加算支援金の申請がまだ40%の方が申請していないと、受給していないという事実があるんですね。」

山下さんは正確な情報を集め住居の改修を進めました。2軒分の修繕費はおよそ800万円と見積もったが生活再建はまだ道半ばです。「冷蔵庫も買わないといけないしそれこそ洗濯機からテレビから全部ですから。机もダイニングキッチンとか全部ですよね。もう何もないので。これからどうしようか言う感じ。」

支援制度を利用するために仮設住宅に入れない人も

山下さんと同じ船木地区で被害に遭った宗原芳輝さん。沼田川が氾濫し自宅は全壊と認定されました。仮設住宅へは入居せず自宅の2階で生活している。その理由(わけ)は。

「仮設に入ったらこれがでないんですよ。被災者住宅の応急処理いうことでね。58万4000円が出ないということでね」

災害救助法のもと、応急修理制度では水周りやトイレなど生活に必要な修理費用58万4000円が支給されます。自宅に戻ることが前提のため仮設住宅に入居すると支給を受けられないことから宗原さんはやむを得ず、自宅での生活を決めました。自宅の復旧に見通しが立たないため、妻の悦子さんは本郷の避難所での生活を選びました。11月7日現在、県内で唯一残る避難所には3世帯8人が暮らしています。

妻の悦子さんが苦しい胸中を明かします。「お金もねえ。保険だけでまかなえたらいいと思うんだけど車も2台ともダメになっとるけね。年越しまでにはちょっと無理だと思う。じゃけどここは出ようかなと思う。」

ローンを抱えた被災者を救う支援制度は

様々な選択が迫られる中、こういったローンを抱えて払えなくなった被災者を救うための支援制度はあるのでしょうか。今田弁護士に聞きました。

「被災ローンの減免制度というものがあります。住宅ローンとか自動車ローンなどを抱えていた方が災害によって支払いが非常に厳しくなったという場合に金融機関と弁護士とが交渉してその方のローンを一定額免除するといったような被災者支援の制度です」

例えばAさんは全壊した住宅ローン1500万円に家の修繕費が1000万円。いわゆる『2重ローン』を抱えることになる。Aさんは貯えのうち最大500万円までと義援金などの公的な支援金を手元に残した上でそれを超える資産を住宅ローンの返済にあて返済しきれない分は免除・減額してもらう仕組みです。他にも、住宅金融支援機構の高齢者向け特例制度があります。

これは60歳以上で手元の資金が足りない場合、自宅を担保に融資を受け生存中は利息のみの支払いとなります。元金は亡くなったあと自宅を売却して支払うので相続人がその家に戻る予定がないケースには使い勝手がよい制度です。例えば300万円を借り入れた場合月々の支払いは利息分の5000円を支払うだけでよいことになります。

今田弁護士は「これからなんです」と話します。
「みなさんがやはり3か月4か月たって体調を崩し始める方もいらっしゃいますし生活再建に向けての第一歩をどのように踏み出していいのかわからない。一人で悩みを抱えてらっしゃる方もたくさんいるのでいろいろな制度を正確に知っていただきたいなという思いはありますね。」

災害から4か月。被災者の生活再建に向け支援制度の周知も課題となっています。



この記事はテレビ新広島とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。西日本豪雨の被害の実情と復興の過程を、地元メディアの目線から伝えます。

【関連リンク】(外部サイト)
豪雨災害その時何が 緊迫の警察通信記録【広島】-Yahoo!ニュース

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