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『ZEROTOPIA(ゼロトピア)』のプロモーションで俳優の岸谷五朗さんと寺脇康文さんが来広。

『ZEROTOPIA(ゼロトピア)』のプロモーションで俳優の岸谷五朗さんと寺脇康文さんが来広。

地球ゴージャスプロデュース公演vol.15『ZEROTOPIA(ゼロトピア)』のプロモーションで、「地球ゴージャス」を主宰する俳優の岸谷五朗さんと寺脇康文さんが揃って来広。「地球ゴージャス」結成時から大切にしている熱い想いなどを語ってくれました。

(2018/03/19)

>>>岸谷さんと寺脇さんの出会い、「地球ゴージャス」結成までの経緯は?

寺脇●五朗ちゃんと初めて出会ったのは、34年前。僕が三宅裕司さんの「劇団スーパー・エキセントリック・シアター(通称SET)」に入った日です。五朗ちゃんは「SET」の1年先輩でして、新入団生歓迎会の後、二次会に流れて、その席で初めて五朗ちゃんと話し込んだわけですが、自分がイイと思うもの、映画・文学・音楽・作家・役者・アニメなどの好みが一緒で…。初対面の日に意気投合して、時間を忘れて語り合い、気がついたら朝だったという…。そんな出会いから10年が経ちまして、僕がちょうど30歳になった時、自分の人生について、いろいろ考えましてね。自分の“俳優人生の年表”を広げて見た時、そこに書いてあることが「三宅さんの劇団SETで活躍」という話で果たしていいのか。オトコだったら、自分で責任をとるような芝居をやっていくべきではないのかと思いましてね。五朗ちゃんとはこれから先もずっと一緒にやっていくんだろうなという予感もあり、三宅さんに“のれん分け”をさせてもらえないかと申し出て、了承していただいたわけです。

岸谷●劇団を抜けることは、とても勇気のいることでした。一大決心をして、さぁこれからだという時に、阪神淡路大震災が起きまして…。自分に何ができるかを考えた時、料理人のように炊き出しができるわけでもなく、大工のように家を建て直すこともできず、俳優業って何もできない職業だと落ち込んだんですね。そんな時、テレビで見たのが、どこかの戦地の兵隊や子どもたちがガレキに映したムービーに群がって大笑いしている映像でした。それを見た時、俺たちの職業は、直接誰かに食事を作ったり、家を直してあげたりはできないけれど、世界中の人々の心を豊かにできる! 地球をゴージャスにできる! そう思って立ち直れたことが、「地球ゴージャス」というユニット名の由来です。僕たちは、公演の日、お客さまを劇場に約3時間監禁するわけですが、その代償として、お客さまには元気になって帰ってもらいたい。お客さまが2千人いたら、2千通りのいろんな人生があるわけだけれど、今この一瞬は一緒にいて、「明日は頑張ろう!」と思ってもらえたら幸せだと。我々の演劇が明日を生きる活力になることが、「地球ゴージャス」の意義です。そんな想いが根底にあるから、「地球ゴージャス」の舞台は、エネルギッシュなんですよ。

>>>新作公演も、エネルギッシュなキャスティングになっていますね?

岸谷●新作公演『ZEROTOPIA(ゼロトピア)』に向けて、これまで以上に超個性的な35名が集まりました。柚希礼音さんは宝塚で、西川貴教くんは音楽界で、それぞれトップを極めたスーパースター。新田真剣佑くんはアメリカ、宮澤佐江ちゃんはアイドル界、花澤香菜ちゃんは声優界…と、生きてきた世界がまったく異なるところがポイントです。

寺脇●五朗ちゃんは、出演者が決まってから、当て書きをしていくタイプなので、出演者にオファーする時、台本も何もないわけですが、「ゴージャスだったら、信頼しているので…」と、快く受けてくださる。ありがたいことですよね。月日と本数を重ねないと、なかなかそうはならないので、「地球ゴージャス」もそれだけ時間を重ねたのかなと思いますね。

岸谷●出演者の皆さんが僕たちにある種の信頼を寄せてくださるのは、「地球ゴージャス」がいきなりエレベーターで上がってきたのではなく、34年間コツコツ階段を登ってきたからではないかと…。コツコツ時間を重ねてきての今ですが、「地球ゴージャス」の時間の密度は濃いですよ。たとえば、ブロードウェイでは、1つの作品に1人のコレオグラファーが当たり前。昨年、日本版の演出と脚本を担当させていただいた『キンキーブーツ』も、その方法で製作に7年かかったそうですが、僕らは1つの作品に7年もかけられない。だけど、ブロードウェイに勝つ作品を作りたい。だから、『ZEROTOPIA』には、3人のコレオグラファーがいます。その3人は出演者でもあるわけですが、大村俊介(SHUN)さんはSMAPの振付をずっとやってきた人、原田薫さんはカリスマダンサーとして極めている人、藤林美沙さんは劇団をもっている座長さんで、3人の世界観もまったく違うわけです。音楽家も1人ではなく3人。その3人の音楽性もまったく違っています。普通やらない手法ですが、「地球ゴージャス」はそういう掛け算を楽しむ濃密な舞台づくりを心がけています。そして、今回もその手法で、とても良い作品に仕上がりつつあります。

>>>岸谷さんの書かれた台本を最初に読むのは寺脇さんと伺いましたが…。

寺脇●はい。岸谷大作家先生の担当編集者として、毎回最初に読ませてもらっていますが、今回も大変素晴らしい本なんですよ。大作家先生がお書きになる本は、いつも世界情勢というか、地球で何が起こっているかを考えて書かれておりまして…。ストーリーの詳細は、お話できませんが、めちゃくちゃ軽くて、めちゃくちゃ重くて、めちゃくちゃ楽しくて、めちゃくちゃ苦しくて、そのバランスが絶妙で、ちょうどいい。2018年にやるべき作品になっています。最初に台本を読んだ時、「大丈夫かな?」「ちょっと重いかも?」という感触もありましたが、実際にダンスや歌を加えてみたら、健全な今やるべき重みになっている。それがエンターテインメントのチカラだと感じましたね。僕も56歳、大作家先生も53歳。ただ楽しいだけの芝居ではなく、今思っていることをきちんと正面から提示して、「みなさん一緒に考えてみませんか?」と言える年齢になってきたのかなぁと思いましたね。今の大作家先生の想いが詰まっているオトナコドモな作品に仕上がっています。

岸谷●と言っても、大コメディですから。西川貴教くんは、河童ですからね(笑)。他のみんなも、初の役どころのようです。これまでに一度も演じたことがない、とんでもない役なのに、「でもコレ、絶対あなたの役ですよね?」というその人の要素が入っている。当て書きならではの役回りになっています。本人は「オレ、こんな奴じゃない」と思っても、みんなから見ると「あなた、そういうところ、あるよね」みたいな…。西川貴教くん曰く、「僕の看板メニューで勝負するのではなく、まかないで勝負しようとしている」。まさに看板メニューより実は旨い、知る人ぞ知るまかないを味わってもらいたい感じなんですよね。

寺脇●演技って、架空の人物を演じるので、自分ではないのだけれど、演技をしていると、その人の本質がどうしても出る。普段の方がごまかせるんですよね。だから、最初は「私、こんな役、できない」と思っても、演じているうちに、「そういえば私、こんなところあるかも」と、自分も知らなかった自分に気づいてきている時期なんじゃないかと。僕の役どころに関して言えば、五朗ちゃんが「俺が見たい寺ちゃんを書くんだ!」と張り切ってくれて、「地球ゴージャス」の寺脇史上、最も好きな役ですね。生き方としてカッコいい、こうでありたいなという男の役。だから、毎日稽古をしていて、楽しくてしょうがないです。

岸谷●「地球ゴージャス」の作品ラインナップをふりかえれば、それはすなわち、僕らが生きてきた“俳優人生の年表”なんだけど、自然にそこに行きついているものなので無理がありません。「地球ゴージャス」にはこういう作品を作らなければならないと言う決まりはないので、今回も初心に返ってゼロから書いてみようと思いました。その思いが『ゼロトピア』というタイトルにもなっていて、ゼロから作ったみたのですが、「地球ゴージャス」のチャームポイントは全部残っていて、最も「地球ゴージャス」らしい作品になったような気がしています。無理に変えようと思っていないから、当たり前のことなのですが…。

>>>稽古場の雰囲気はいかがですか?

岸谷●2月1日から稽古が始まって約2カ月。稽古は、基本朝10時から夜9時頃まで。稽古が7時に終わっても、みんな帰らない。「帰ってください」とお願いしないと帰らない。みんな稽古をしたくてしょうがない、良い雰囲気ができています。演出家にとって、稽古場づくりは何よりも大切な仕事です。作品を見ると、稽古場がうまくいっていたかどうか、すぐに分かる。だから、演出家としては、俳優が委縮せず、思い切った演技ができる環境を作りたい。コメディだったり、運動量の多い作品だったりすると、なおのこと。まずは恥をかくことがどれだけ大切かを伝え、自分のすべてをさらけ出す勇気を持たせたいです。そんな雰囲気づくりに関しては、寺脇さんのチカラが大きくて、とても助かっています。

寺脇●「僕らのやりたい芝居はこうなんだ!」とあらかじめ的確に伝えてあって、それを面白いと賛同してくれる人たちが集まってくれているから、良い稽古場ができている。稽古は楽しくてもいいけれど、なぁなぁではダメ。遊びに来ているわけじゃないから、ケジメが大切。わからないことはすぐに聞いて欲しいし、クチではなくカラダで表現して欲しいと伝えている。一人ひとりが自分の長所を生かしつつ、足りないところを補いつつ。みんなの持っているチカラを、マイナスとか割り算にしたくない。プラスや掛け算にして、増幅させたい。そんな僕たちの舞台づくりをお客さまも面白いと思ってくださるから、今回の『ゼロトピア』も12万人という動員を計画できるわけで…。幸運なことですよね。

岸谷●そうですね。寺ちゃんがそばにいると、昔から失敗する気がしないんですよね。自分がやりたい脚本、やりたい演出で突っ走っていいんだと思えるし、寺ちゃんがいるから絶対に成功できるという変な自信があるんですよね。

寺脇●僕って、女神のような存在ですね(笑)。身内で褒め合ってもなんですけど、五朗ちゃんは、みんなをまとめる力のある人。包容力があって、愛情も人一倍ある。男の中の男。僕は、一生ついていこうと思っています。

岸谷●俺たち2人の根底には、34年前に出会った時から変わらない、イイものをイイと思える同じ価値観があって…。だからこそ、「地球ゴージャス」の芝居に、歌とダンスとアクションとコメディとシリアスと…、どんな要素を盛り込んでも納得し合えるというか。そんな感じですね。今回の『ゼロトピア』もかなりエネルギッシュな作品になっていますので、どうぞご期待ください。

寺脇●広島と言えば、五朗ちゃんがカープの津田恒実さん、僕が北別府学さんの役で出演したドラマ『最後のストライク』の想い出がありますが、あのドラマの撮影の時に感じたのは、広島県民の熱さでした。ホットな広島の皆さんに是非見ていただきたい舞台ですので、どうぞよろしくお願いします。