2019.10.11(金)  幻の橋へ

6月のブログで書いた「幻の橋」へと、ついに行って参りました。

 
北海道・帯広空港から車でおよそ2時間。舗装された道から林道に入り、車で15分ほど・・・。
 
深い森を抜けた先に、その橋はありました。

 

「タウシュベツ川橋梁」。
 

1937(昭和12)年に架けられたコンクリート製の鉄道橋で、
かつては国鉄士幌線がこの上を走っていました。


士幌線は森林を縫うように敷設された鉄路だったため、資材調達は困難を極めたといいます。


この橋梁も、ほとんどが現地調達の石や砂利、水を使って造られました。

誤解を恐れずに言えば、極めて粗製の橋梁といえそうです。


鉄道橋としての役目は短く、
1955(昭和30)年、ダム建設に伴う士幌線の線路付け替えにより、糠平湖(人造湖)の底に沈みました。

それからは取り壊されることもなく、
かといって積極的に保存されるわけでもなく、60年以上の月日が流れています。

湖水の増減によって姿が現れたり消えたりする特徴から、
いつしか「幻の橋」と呼ばれるようになりました。

 

北の大地ゆえ、季節によって氷結と融解を繰り返すダム湖。

その中に放置され、年月を重ねてきたため、
昭和の建築とは にわかに信じがたいほど風化が進んでいます。


橋のあちこちが崩れ、現地調達の砂利は元あった大地に還りつつあります。

聞けば、アーチ橋の姿を保っていられる時間は、もうあと何年もないとのことでした。

 

ただ、実際にその前に立つと、そのボロボロの姿から無数のコトバが聞こえてくる気がしました。

目を閉じると、橋の上を往来した汽車の音や、揺られるお客さんの話し声が聞こえてくるような。
・・・大げさかもしれませんが。
 

近いうちに崩れ去ってしまうかもしれない“ボロボロ”のタウシュベツ川橋梁。

しかし、そこには、今なお、美しく濃密な時間が流れていました。